目次
ブックマーク
応援する
2
コメント
シェア
通報

第309話 益荒男墜とし

―――七野の繰り出した忍術『花魁地獄道中おいらんじごくどうちゅう』の空間に捕らわれた八雲。


岩を切り出したベッドのような台座に二色の忍術糸に絡まれて横に倒された八雲に、着物をすべて脱ぎ捨てて全裸になったくノ一のひとり、七野ななのが足元側に近づいて来る―――


「……七野、一体何をする気だ?」


岩の台座に足元から上ってきて、ゆっくりと八雲の下半身に纏わり付く七野に問い掛ける。


「八雲殿……これより貴殿には快楽の淵へと沈んで頂きます……」


静かにそう答えた七野は、その白く細い指を八雲のズボンへと伸ばしてベルトを外して下着を剥き出しにする。


「おい……やめろ!七野!」


その淫らな行為を止めようと声を上げる八雲だったが、七野の手が止まることはない。


そうして下ろしたズボンの下にある下着を一気にズリ下ろした七野だったが―――


「キャッ?!―――こ、これは……/////」


―――ブルンッ!と勢いよく飛び出してきたのは、八雲の雄の象徴である。


極悪なシンボルが目の前に飛び出してきて逞しくそそり立っている様子を目にして、くノ一として修業してきた七野でもそれは目を見張るほどの大きさだった。


その場面を見ていた一葉達もまた、圧倒的な大きさの八雲の雄に思わず目が釘付けになっていた。


「流石は八雲殿……これもご立派でいらっしゃる。それでは我が手練手管……とくとお楽しみあれ/////」


そう言ってスベスベとした白い指をクネクネとその周囲に纏わりつかせてきたかと思うと、徐々にその手の感触がヌルヌルとした滑りのいい感触に変わっていく……


「おお、何だ?何か使ってるのか!?」


特に何も持っていなかった七野の触れる感触が変わったことに驚く八雲だったが、


「我等は修行により、こうして身体の好きな場所から粘液を生じさせることが出来ます……どうですか?このヌルヌルした手の感触、得も言われぬ快感でございましょう?/////」


「クッ!これは……」


ヌチヌチと厭らしい音を響かせる七野の手淫は、八雲にとってはローションプレイと言える快感が襲っている。


「我慢などいりません……好きな時に、好きなだけお出し下さい/////」


熱い視線を向けながら、紅潮した表情を浮かべて淫らな手の動きで八雲の爆発を引き出そうとする七野。


「おお、これは、スゴイ……」


隙なく攻めてくる七野のテクニックに、素直に腰がビクつく八雲だったが、


「フフッ……この程度では満足なさいませぬか?……では、これはどうでしょうか/////」


そう呟いた七野が開いた口の中には―――


「まさかお前!?―――スプリットタンだとっ!?」


―――舌先から長く割れた二股の舌が覗いていた。


「この特別な舌で……イカせてあげますからね/////」


そう言って七野が開いた口から伸ばしたスプリットタンになった舌先が左右で交互に上下に動き、そして股を開くように左右に広がる……


「ゴクリッ……」


その淫靡な表情と舌の動きに八雲も思わず息を呑んだ。


「では……参ります……にゅぷぅ……ちゅる―――/////」


七野に飲み込まれその口内で今まで経験のない感触に絡みつかれる―――


「うおおっ!?これは、マジですごい!」


仰向けの八雲の腰の上で丸呑みにしながら、上下に頭を揺らす七野の黒髪のツインテールが乱れ舞っているのを快感に酔いしれながら眺める八雲―――


―――すべて快感のぬるま湯に浸けているような感覚に、八雲のそれは高まってグツグツと煮えたぎるように欲望が立ち昇って来ていた。


そのことを察知した七野は更に丁寧に優しく、そして吸い上げる―――


その絶妙な加減に八雲も耐え切れなくなる。


「―――ウオォオオッ?!」


深く咥えて吸い上げてきた七野の喉奥に、一気に欲望を解放する八雲―――


巧みな技で吸い取り絞り出していき、身体の中身がすべて吸い出されるような錯覚に陥るほどの快感が八雲の脳を襲う―――


―――その妙技は雪菜ですら追いつけないほどの技術を七野は持っていた。


「おっ!おっ!オオォ……ス、スゲェ……一緒に、魂まで吸い出されるくらい気持ち良かった……」


七野のテクニックに八雲は素直な感想を述べるが、そこで口を離した七野は―――


「や、八雲殿!?まさか、まだ意識があるのか!?」


―――と、普通に会話している八雲のことを驚愕の表情で見て叫ぶ。


「え?ああ、そりゃあ気持ちよかったけど、流石に気を失ったりはしないぞ?」


その八雲の返事に、七野のみならず一葉や他のくノ一達まで驚愕の表情を見せていた。


「信じられん……我らの『益荒男墜ますらおおとし』を受けて、正気を保っているなど……」


そう呟いた一葉の隣で二色が告げる。


「一葉!―――あれを見て!」


そう言った二色が指差した先には―――『絶倫』スキルによって萎えることもなくそそり立つ八雲の剛直があった。


「クッ!こうなったら―――七野!!『本番の義』を行えっ!!!」


そのヒクつくチンポを目にして七野に新たな指示を出す一葉。


「ッ?!―――はい!!」


一葉の言葉に驚きつつも返事をした七野は、蜘蛛の糸で拘束された八雲の顔の上に立って跨ると、M字開脚でしゃがみ込み、八雲の目の前に自身の股間を曝け出す。―――


「八雲殿……これより『本番の義』を執り行わせて頂きます……お覚悟を/////」


「本番の義って……まさか……」


目の前の七野の雌としての部分がヒクヒクと蠢き、なんとそこにある肉も左右で交互に規律正しく動いている―――


「我等は只の女のそれとは違います……修行により、どんな男根も虜にする魔性の身体です/////」


―――七野の言う通り、左右で交互に動くそこは想像しがたい修練を積むことで可能とする作為的な動きであることは八雲の目から見ても推察出来る。


「口だけでは貴方の精は吸い切れなかった様子……だったら、我が身のすべてを使って八雲殿の精気を吸い尽くさせて頂きます/////」


「何それ!?淫魔サキュバスかよ!?」


先ほどもそうだが、くノ一達のこの手の性技は行為に見せかけて男の精気を根こそぎ吸い取り、文字通り骨抜きの腰砕けにするための秘術だった。


―――本来なら先ほどの手淫や口淫だけで並みの男なら精気をすべて吐き出し、身動きひとつ出来なくなって意識も保てないはずだったが八雲は違う。


八雲に『本番』宣言した七野は、八雲の剛直にそっと指を添えると、跨ったその腰に向けてゆっくりと下ろしていく―――


「んっ! ンアアアッ!! お、おおきいぃ! ご立派です……ハァアッ♡/////」


「うおぉおっ!?―――な、なんだこれはっ!?」


吸いつかれたところから躍るように絡みついてくる―――


「んっ♡ んっ♡ んあっ♡ ウンッ……ハァハァ、本当に、ごりっぱな、ものをお持ちです/////」


「ウオッ!な、七野も、良すぎる!!」


M字に開いた股を八雲に見せつけるようにして腰を上下に揺らしながら、汗ばんだ大きな胸がプルンプルン♡ と八雲の目の前で揺れ動くのまで見せつけてくる。


「んんっ♡ 私があなたの精を全部、うんっ♡ 吸い取ってあげますから♡/////」


七野の腰使いはただ上下に動くだけではなく、時に左右に振り回されて擦り上げられ、時に小刻みに前後に揺らして密着してくる身体は八雲に快楽を与え続けてくる―――


「……ゴクッ/////」


―――同じく『益荒男墜とし』の修行を受けている他のくノ一達も、その七野の快感に震える肢体と八雲にあてられて興奮が伝染していった。


だが―――


その場にいるくノ一達も、八雲と繋がっている七野自身も気がついていない……


八雲が発動していなかった『神の手』スキルを徐々に力を強めていき、今では最大出力値まで発動していることに。


一葉達が見ている七野の行動は、八雲を見た目で喜ばそうとしている『益荒男墜とし』の際の偽物の喘ぎ声だと思い込んでいたが、真実は八雲の『神の手』に呑まれた七野が自ら喜びと快楽のために腰を振り続けて本物の喘ぎ声を上げているのだった。


「あっ♡ ああっ♡ も、もう、むりぃ♡ は、はやくぅしてぇ♡♡/////」


最大値の『神の手』は如何なる女も完全に八雲の虜に変えてしまい真面な意識を保つことも出来ず、その快楽で半白目になり舌まで突き出して懇願する七野に、


「ああっ!!気持ちいい!!いいぞ―――受け止めろォオオッ!!!」


そう叫んだ八雲が下から腰を打ち上げて七野を突き上げると、そのまま欲望を解放する―――


「ア“ア”ア“―――ッ♡! オ”オ“オ”ッ―――ああ♡/////」


―――解放された欲望に七野は今までに経験したことのない熱と快感、そして八雲の最大級の『神の手』の出力に理性も意識も焼き切れたようになって何度も飛んでいた……


そこまで来て、七野が普通ではないと気づいた一葉だったが―――


―――その時にはもう、七野の下腹部には輝きを放つ『龍紋』が刻まれていた。


「貴様……今一体何をした?その紋様はなんだ!!!」


ここまで冷静だった一葉が、普段の『益荒男墜とし』とは違う様子に叫び声を上げる。


「これは『龍紋』だ。つまり七野を―――俺の女にしたって証しだよ!!!」


「貴様ぁ―――!!!」


七野を自分の女にしたという八雲の言葉に一葉のみならず、二色、三樹、四谷、五石も同時に襲い掛かる―――


―――その瞬間、八雲は自らを縛っていた二色の鬼蜘蛛縛鎖おにぐもばくさの白い糸をアッサリと引き千切った。


「なにぃ!?私の糸を―――」


「―――ああ、これ?いつでも千切れたよ♪」


驚愕する二色に笑顔でそう返した八雲に、三樹のカタナが襲い掛かる―――


―――その三樹の攻撃を『収納』から取り出した黒刀=夜叉で受け返す八雲。


身形を整えて岩の台座から下り立つと、今度は四谷が手裏剣を投擲する―――


―――左手に黒小太刀=羅刹も抜いた八雲は、夜叉と羅刹で次々と襲い来る手裏剣を打ち墜としていった。


(クナイだけじゃなく手裏剣まであるのかよ!?異世界くノ一、マジでパネェ……)


すると一葉が―――


「封魔限定解除!―――本気で掛かるぞっ!!!」


―――他の者にそう叫ぶ。


すると五石が両手を組み合わせて印を結ぶ―――


―――すると突然ズブズブと足元から巨大な石の巨人が姿を現し、その肩に乗った五石が命じる。


「九頭竜八雲を捕らえよ!―――石鬼せっき!!!」


石鬼と呼ばれたその巨人は、確かに額には二本の角が生えている―――


「随分と硬そうなお友達だな!!」


―――そう叫んだが早いか、神速の斬撃で石鬼に斬り掛かる八雲。


―――『身体加速』

―――『身体強化』

―――『思考加速』


肉体強化系を発動して石鬼の身体に次々と斬り傷をつけていく―――


―――しかし、そんな八雲の背後から、巨大な蜘蛛が襲い掛かる。


「今度こそ捕まえるのよ!―――鬼蜘蛛おにぐも!!!」


巨大な蜘蛛の背中に立つ二色が足元の角が生えた蜘蛛に命じると、その尻から無数の太い触手を伸ばしてきた蜘蛛が一斉にそこから白い粘膜状の糸を噴射して八雲に襲い掛かってきた―――


―――その無数の糸攻撃を神速で躱す八雲だが、次に待ち受けるのは四谷の操る無数の蛇達だった。


「―――蜘蛛の次は蛇かよ!?しかも数が多いな!!!」


四谷の操る蛇の群れは見た目では普通の蛇に見えるが、その中には幾つもの羽根を生やした飛べる蛇までいる地上と空中の軍団だ―――


―――空と地面から飛び掛かってくる蛇の軍団を、八雲は次々に目にも止まらぬ剣裁きで両断していく。


しかし、今度はそんな八雲に黒い巨大な影が空中から襲い掛かってきた―――


―――その影は巨大な鷹であり、三樹がその背に乗り、鋭い爪で八雲の身体を掴もうと襲い掛かってくると同時に羽ばたきで突風まで噴き荒らしていく。


「次から次へと!!―――今度はお前か?」


驚いていた八雲の前には、何も呼び出さず、何も操っていない一葉が立ちはだかっていた……


「何?そのラスボス感……あんたは何を取り出すんだ?あんたも隠し芸があるんだろう?」


問い掛ける八雲に、一葉は何かを呟いている―――


「我が身、すでに鉄なり……我が心、すでに無なり……」


―――その声を聴いて、ただならぬ一葉の気配を察知した八雲はふざけた態度は改め両手の夜叉と羅刹を構え直す。


すると一葉の身体がドス黒く鋼色に染まって、何か文字が浮かび上がってきたかと思うと―――


「―――ッ?!」


―――忍びの者だけあって足音も立てずに八雲の正面まで飛び込んできた。


その一葉に夜叉で斬り掛かった八雲だが、その夜叉を一葉は腕で受け止める―――


「なんだとっ!?」


―――いや、正確には腕ではなく、腕だったところがカタナの刃のように変化して、夜叉を受け止め火花を散らした。


「……」


無言のままに八雲の剣圧に堂々と立ち塞がる一葉―――


(コイツ、ただ身体を変化させているだけじゃない!?)


―――八雲の夜叉を受け止めるだけでも驚嘆に値するが、更には八雲の腕力まで受け止めていることについては脅威でしかない。


打ち合った八雲と一葉の周囲では地面に亀裂が入り、クレーターのように陥没していく―――


―――だが、そこでフッと一葉の力が抜けたかと思うと、


一気に後退して八雲から距離を取り、そして―――




黒髪をひとつに纏めた一葉、


黒髪を二つに分けて結ぶ二色、


黒髪を三つ編みにした三樹、


黒髪をボブにした四谷、


セミロングの黒髪である五石、




―――そうして並び立った五人は、何も言わずにその場から掻き消えるようにして姿を消していった。


それと同時に七野の『花魁地獄道中』も解除されて、そこは最初の森の中の草原に戻っている―――


八雲の傍らには『龍紋』を刻まれて気を失っている七野が草原の草の上に全裸で転がっていた。


「これは……余計な荷物を置いていってくれたもんだ。まあ、『龍紋』を刻んだのは俺だから、文句は言えないか」


そう呟いて、蒼く広がる空に目を向ける八雲だった―――






―――その後、


八雲とは別行動で港を見張っていたスコーピオ達だったが、結局八雲から伝えられた特徴に見合った女の集団はアンゴロ大陸行きの船に乗り込む姿を見つけることは出来なかった。


しかも事前にスコーピオ達に指示していたのだが、八雲が予想していた港町の彼方此方で突然集団凶暴化した暴徒による暴動騒ぎが次々に発生した。


予め暴徒が現れた際の分担を指示していた八雲に従いルビー、サファイア、エスペランザと蒼天の精霊シエル・エスプリの序列外メンバーを港町の各方面に配置して、港には直接スコーピオとジェーヴァが待ち構えていたがそれは空振りだったのだ。


町の暴徒はルビー達により、迅速に対応されたため大事になるような死亡者や重傷者は出なかった。


そして、その騒ぎが落ち着いた頃に姿を現した八雲。


港に現れた八雲と、その場で見張っていたスコーピオ、ジェーヴァが合流した―――


「どうやら逃げられたみたいだな」


「御子、しかし船を使っていないということは、まだこの町にいるんじゃないのか?」


「う~ん、どうだろうなぁ?俺のことを試していただけのような感じだったからな。それに……こっちに土産も置いていったことだし、向こうがこのまま残る意味もないような気がする。それに、海なら船を使わなくても別に渡れるからな」


「どうやってッスか?」


「―――走って渡ればいいだろ?」


「ああ、確かにそうッスね」


「いや、それは御子や俺達のような特別な者だけだからな?……その女達は出来そうなのか?」


「たぶん出来るんじゃないか?でも、逃げた五人のうちのひとりが、巨大な鷹の使い魔を操っていたから、あれで空を飛んで逃げることも出来るだろうし、逃げ道はキリがないな」


「そんな使い魔まで……そうなったらもう取り押さえようがないな……」


スコーピオも諦め顔で溜め息を吐く。


「それで八雲様、その集団の置き土産って一体何だったんスか?」


ジェーヴァの疑問に八雲はニヤリと笑みを浮かべて、以前に白金を捕らえた際にも用いた『空間創造』で造った異空間を広げると―――


「―――あっ♡ あっ♡ あっ♡ アフゥ♡/////」


何も無い暗い空間の中に、八雲の最大出力の『神の手』の後遺症が抜けない七野が、意識を朦朧としたまま恍惚とした表情を浮かべ全裸で全身をビクビクと震わせて横たわっていた……


「これは!?……御子が捕まえたのか?」


「捕まえたというか、置いていかれたって感じだな。俺が無闇に殺すことはないだろうと高を括っていたのかも知れない。まったく……思った以上に強かな奴等だったよ」


「でもこの人……『龍紋』が刻まれてますけど?どういうことッスかね?」


ジェーヴァが七野の下腹部に刻まれた『龍紋』を指差して、スコーピオと一緒に八雲へジト目を向けてくる。


「おっと!?目聡い!!―――それには込み入った事情があるから、後からちゃんと話すよ」


そう言って、サッサと七野がいる異空間の扉を閉じた―――


「兎に角!葵達がこっちに着いたら、これ以上此処にいても仕方がないし、アズールまで戻ってヴァーミリオンに帰ろう」


港から海の向こうのアンゴロ大陸がある方向を見つめながら、八雲はヴァーミリオンへの帰還を決めるのだった―――


「アンゴロ大陸……まったく、何を考えているのか……」


―――港に寄せる波の音が繰り返し八雲の耳に心地よく響く。


そして、これよりヴァーミリオンへと帰還した八雲に、学園での生活が再び始まるのだった―――



この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?