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第314話 天空基地誕生

―――船渠ドックに入港した天翔船黒の皇帝シュヴァルツ・カイザー


デッキに固定された黒の皇帝シュヴァルツ・カイザーに次々にクレーンが近づき、ドワーフ達が物資の荷下ろしを手慣れた手つきで始めていた―――


船渠ドックの中には大きな扉や配管が走り、それぞれ天翔船に水の補給など接続して魔力動力の機材が音を立てて動き出す。


船渠ドックでの監督はシュティーアが行ってくれていたので八雲は船渠ドックに降りた全員を連れ立って、そこから出て浮遊島の岩肌に突き出た窓付きの通路を歩いていく。


窓の外にはヴァーミリオンの浮遊島の山が近くに見えていた。


「まさか……ここまでの建物を建造していたなんて……八雲、お前の『創造』の力、ますます強力になっていないか?」


ノワールは少し不安そうな表情で八雲に問い掛ける。


「俺も自分で驚くほど想像力が働くんだよなぁ。でも、ステータスの知力がオーバー・ステータス状態になると10倍になるから、前にいた世界で見たSFとか鮮明に浮かんでくるんだ」


「これはお前の世界にあった建物なのか!?お前と雪菜の世界は一体どうなっている?」


「いやいや!こんな常識外れのぶっ飛んだ物はないよ。俺の世界で作られた空想の物語なんかにこういう造詣がよく出てくるから、それを参考にしただけだよ」


「なんだ、空想の創作物なのか……驚いたぞ」


「さあ、こっちに広間を造っておいた。そこで一旦この内部について説明するよ」


八雲が手で指し示した先に左右両開きになっている扉があり、そこにあるパネル状のガラスに手を置くと、扉が左右にシュオンという音を立てて開いた。


「フオォ……」


「ひろい……」


「しょっご~い♪」


「お外が見える」


そこは部屋の奥に大きなガラスの窓が取り付けられていて、浮遊島の下層部から突き出ていることは窓の外の景色を見ても一目瞭然だった。


「お外、見てきてもいい?」


ルクティアが八雲の手を引いて問い掛けてくるので、


「ああ、勿論いいぞ!見ておいで」


笑顔でルクティアに返すと、子供達とアルファ達はパタパタと広間の中を駆けて大きな窓際へと向かって行く。


「私も見てこよっと♪ マキシも見に行こう!」


「うん♪ それじゃあ、行ってくるね」


雪菜がマキシを連れて広間の窓際にいる子供達の元まで向かって行く。


そこで『収納』から予め保管してあった絨毯や巨大なソファーにテーブルなど、次々と取り出していく八雲。


アリエスとシリウス、アマリア達も手伝って、それらのインテリアを設置するも、広間の真ん中に置いてもまだ十分に遊んでいるスペースが広がっていた。


「ここって、お城の玉座の間くらい広いよねぇ♪」


ヘミオスも配置を手伝いながら八雲にそう告げると、


「そうだなぁ、面積だけだと同じくらいあるのかな?天井も高めに作っておいたし、こういうゆったりした空間が基本、俺は好きなんだよ」


と、八雲は笑って答える。


「兄さま兄さま!他にもお部屋があったりするのですか?」


初めてくる場所に少し興奮気味のジェミオスが矢継ぎ早にそう問い掛ける。


「ああ、勿論あるぞ!皆が使える個室も用意してあるから、今度皆で来て部屋を決めよう」


「わぁ~♪ 嬉しいです!」


黒の皇帝シュヴァルツ・カイザーの中やヴァーミリオンの浮遊島の屋敷でも部屋を用意してくれる八雲の優しさに、ジェミオスは喜びを隠さずに表情に現わしている。


「コゼロークもちゃんと部屋を用意してあるから。何だったら隣にぬいぐるみ達の部屋も用意するぞ?」


「本当ですか!?あ、ありがとうございます、八雲様/////」


シェーナとぬいぐるみ友達のコゼロークとしては、自作の人形達の部屋が貰えるというだけで顔を紅潮させて興奮していた。


「さてと……部屋のことはまたドワーフ達の頑張りで家具が揃ってから部屋割りしていくとして―――ラーン!」


「―――はい、我が主。何かご用でしょうか?」


子供達と一緒に窓の外を見に行っていたラーンが八雲の元に戻って来る。


「これから此処は『ラーン天空基地』とする。そしてお前には、この天空基地の管制官として働いてもらうぞ」


「かんせいかん……それは具体的には、どういったことをすればいいの?」


「それをこれから説明するよ―――お~い!雪菜~!移動するぞ~!」


「―――は~い♪ さあ、皆!次の場所に行くよ♪」


そう言って窓の外に夢中になっている子供達を引き連れて戻って来る雪菜。


子供達はちょっとした遠足気分でニコニコとしている。


そして八雲は全員を連れて、また部屋の移動を開始するのだった―――






―――白い壁の近未来的な通路を通って行く八雲達


そうしてまた、両開きの扉の前までやってくると、ガラスのパネルに手を置いて開く。


その奥には―――


「此処って!?まさか中枢の……」


現代から来た雪菜がその雰囲気から、此処がこのラーン天空基地の中枢司令部であることを感じ取った。


その広間には中央に玉座のような指令席と、その前に一段下になる形で幾つかのテーブル状の台がある。


窓の外は既に暗い闇に包まれて、その中で月と星が瞬いていた。


そして―――


「此処がラーンに管理して欲しい部屋だ!」


―――そう言った八雲が指令席のテーブルにあるスイッチを押すと、


「うわっ!?―――外が!?」


「何これ!?マルチモニター!?」


巨大な幾つものガラス面に、モニターの様に並んだ外の景色が指令室を取り囲むようにして映し出されていた―――


「この浮遊島の至るところに『索敵』を付与した監視装置を配置してある。その監視装置が捕らえた景色を、こうして此処に映し出せるようにした。扱い方は分かるか?ラーン」


「我が主の従僕となった時から貴方とは線が繋がっている。此処の扱いについても、大体は把握した」


そう言って指令席のテーブルにある三十cmほどの半球状になっているガラス球に手を置くと―――


「オオッ!!さすがは元天使!理解力がハンパないな!!」


―――モニターに映し出された景色が彼方此方に方向を変えて次々と場面を変えていく。


「更に~!この天空基地の周囲には、反射衛星リフレクション・サテライトを応用した監視衛星も配備してある。其方からの映像も映し出せるはずだ」


そう八雲が説明すると、天空基地の周囲に浮かんでいる菱形をして幾つものパネルや突起物を生やした黒い物体が、付与された『索敵』からの映像を此方に映し出してくる。


「フオォ~!シェーナ!」


「トルカ、あっちにもいる……」


「レピスのレピスがあそこにいるの!?」


「しゅごい……ルクティアがいる」


外からこの指令室の窓を映し出してきた監視衛星が、窓際にいたシェーナ達を映し出していた。


「おのれぇ!!我の可愛い天使達を覗き見するとはいい度胸だ!!!―――ちょっと待ってろ!いま、そっちに行って―――」


「―――いや、いつも龍眼ドラゴン・アイで覗き見しているノワール様には言われたくありませんよ?」


アリエスが呆れ顔でツッコミを入れる。


「ノワール、あれはこっちの指示で動いているから、今映してるのはラーンがこっちを映すように動かしただけだ」


「なんだ?そうなのか?だったら最初から、そう言ってくれ」


八雲の説明で大人しくなるノワールに苦笑しながらラーンに向き直り、


「今日よりこのラーン天空基地の管制官を命じる」


「畏まりました。我が主」


此処の管理を改めてラーンに命じるのだった―――






―――資材を下ろし終えたドワーフ達と監督のシュティーアを置いて、八雲達はヴァーミリオンの浮遊島へと帰還する。


そうして屋敷に着いた八雲達を、アクアーリオがウェンス達と食事を用意して待っていてくれた。


「お帰りなさいませ♪ 八雲様」


まるで新妻のように出迎えてくれるアクアーリオにトゥンク♪ と胸がときめく八雲。


「ただいま、アクアーリオ。飯の用意をしてくれてたんだな。今日は『創造』で力を使ったから腹が減ってたんだぁ」


「ええ♪ ウェンス達も手伝ってくれて捗りましたわ♪」


蒼い髪を清楚に後ろで纏めたアクアーリオは、上品な笑みを浮かべて答える。


「そうか、ウェンスとラピスラズリもありがとう。でもラピスって料理出来たんだな?」


そこで手伝っていた白い妖精ホワイト・フェアリーのラピスラズリに声を掛ける。


「そりゃあ健康な身体は健康な食事からだしね♪ 僕はこう見えて料理にはうるさいんだよ!」


普段は下ろしている瑠璃色のストレートな髪を、今日はポニーテールにして調理を進めるラピスラズリを見て思わず笑ってしまう八雲だったが、料理も出来てきたので皆で食事を取ることにした。


イェンリンは相変わらずフォウリンへの皇帝位引継ぎの件で、此方には顔が出せていない。


紅の戦乙女クリムゾン・ヴァルキリー達もまた、そのことが理由で紅龍城に詰めている状態だった。


そうして屋敷にいる者達で食事をする八雲。


今はシリウスと一緒にアマリアもこの屋敷に居候をしている身分だったので一緒に食事を楽しんでいった。


そして―――


食事も終わり、皆がそれぞれ部屋に戻っていく頃になって、


「おい、八雲。そろそろ部屋に行くぞ/////」


天空基地の件でしていた約束を覚えていたノワールが、そっと八雲に囁くように告げた。


「分かった」


此処で揶揄って答える様なことを言えば照れ屋のノワールが暴走するかも知れないと、その辺りを鑑みて八雲も無駄に煽る様な言葉は言わない。


そうして食堂からふたりで出てから、八雲はそっとノワールの手を握り自室へと向かっていくのだった―――






―――自室に入った八雲は手を繋いで連れて来たノワールと向き合う。


「ノワール……」


「八雲……んっ!……んちゅ……チュッ……んんっ……チュ……/////」


そっと抱き寄せたノワールに唇を重ねた八雲は、そのまま舌を使ってプルンと潤んだノワールの唇に割って入る。


八雲の舌を迎え入れたノワールは、自らの舌を絡ませて歓迎するように八雲の舌と踊る様に動き回り、吸いつき、唾液を混じり合わせる。


ほんのりと甘いノワールの唾液を味わいながら、八雲はゆっくりとふたりで寝室のベッドに向かって行った―――


―――黒いブラウスに白いネクタイ、プリーツスカートを身に纏ったノワール。


そのノワールをそっとベッドに横たえる八雲は改めてノワールの表情を見てみると、既に瞳はウルウルと潤んでいる。


そんなノワールの頬にそっと手を添えて再びノワールの唇を奪っていく―――


「―――アンッ……チュ♡……んっ、やくも……チュッ……/////」


徐々に激しく動かしていく舌と同時に、ノワールのブラウスを持ち上げる大きな膨らみに八雲は手を伸ばしていく。


「アンンッ!んっ!んんっ♡……あんっ♡/////」


ノワールは服の上からでも伝わってくる八雲の温もりと『神の手』の快感によって、途端に身体が反応し始めていた。


八雲は唇を重ねながらも器用に白いネクタイを解き、ノワールのブラウスのボタンを一つ一つ丁寧に外していく。


するとその下からは褐色の肌と相反して互いに栄えさせる白いレース付きのブラジャーが顔を見せる。


この異世界にある大きい胸用のブラは、得てしてフロントホックのものが多い。


今、ノワールが身に着けているブラもそれにあたり、八雲は片手でプツン!とそのホックを外すと―――


「あっ!/////」


―――ノワールのか細い声と共に大きなカップのブラが左右に弾けるように開いて、その下からは褐色の肌をした巨乳と先端にツンと尖り始めたピンクの突起が露出してきた。


恍惚とした表情のノワールを上から覗き込むようにして、


「可愛いな、ノワール。これから、もっと可愛がってやるからな」


期待に目が潤んだノワールに、これから始まる夜の開幕を告げるのだった―――



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