目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第320話 集う、オーヴェスト

―――ラーン天空基地に『蒼の書』を保管してから数日


ある日の早朝ヴァーミリオンの浮遊島の屋敷では窓から朝陽が差し込み、八雲の自室にも朝陽が優しい光を室内に送り込んでいる……


そんな朝の微睡の中、八雲は下半身からまるでぬるま湯に浸かっているような心地いい感触が目覚めだした脳に伝達され始めて、やがて意識が覚醒し始める―――


―――下の方から聞こえる生ぬるくて柔らかい感触と、更には胸の辺りから敏感な部分に吸いつき、舐めてくる舌の感触が完全に睡眠状態を吹き飛ばす。


「ッ?!―――レオ!?リブラ!?それに、アリエスまで!?」


悪戯っぽい瞳を向けながら、チロチロと可愛い舌先で左右の乳首を転がし、舐めて、吸いついてくるレオとリブラ。


そして、今日も元気に朝起ちした股の間には序列01位のメイド、輝く銀髪に吸い込まれそうな蒼い瞳をしたアリエスが、恍惚とした表情でその小さな口を大きく広げていた―――


「ウフフッ♡ おはようございます、八雲様/////」


「おはようございます!気持ちいいですか?八雲様/////」


「ハァ……おはようございます八雲様♡ まだ学園に行くまでの時間はたっぷりございますので、どうぞ楽になさってお好きな時に私にください♡/////」


そう告げたアリエスは再び口をあ~んと開いたかと思うと―――


―――蒼い瞳で八雲を見上げる様にしながら見せつける様にして、その潤んだ柔らかい唇に包み込んでいく。


視覚と触覚で体感するアリエスの温もりに八雲の腰が一瞬ブルリッと震えて、左右から抱き着いて八雲の乳首に吸いつくレオとリブラの執拗に蠢く舌の動きが艶々として性欲を掻き立てる。


「ハァア……ちょっと、これは……ヤバいっ」


三人の美女が全身を愛撫する快感に、覚醒したばかりの脳が強烈な刺激に震える。


すると八雲の様子を見ていたレオとリブラが舌を離して今度はその細くて白い指を使って転がしながら、口を八雲の耳元に近づけてくる。


「うふふっ♡ もう果ててしまうのですか?八雲様♡/////」


「エへッ♡ 八雲様♡ 我慢しなくてもいいんですよ♡/////」


両頬にふたりの息がかかるほど、顔を近づけて可愛い声でエロい言葉を囀るレオとリブラと―――


―――そのふたりの言葉に合わせるように、淫靡な口撃を激しくシフトしていくアリエス。


「ああっ♡ 八雲様、気持ちよさそう♡ さあ、アリエスに♡/////」


激しく左右から乳首をカリカリと指で転がされた八雲は―――


「クゥッ!!!」


―――ビクンッ!と腰を跳ねさせて欲望をアリエスに放っていく。


「アグゥッ?!―――♡/////」


その瞬間を感じ取ったアリエスは噴き出す愛しい八雲の欲望を必死に受け止める。


そして寝汗を掻いた八雲に、


「汗を掻いてしまわれましたね♡ それではお風呂で汗を流しましょう♡ 勿論、私達もいっしょに♡/////」


隣で瞳を潤ませて囁くレオの言葉に、八雲は一言「行こう」と答えるしか出来なかった―――






―――浴室でお互い四人で身体を洗い流して、


自室に戻った八雲の通学の準備を三人のメイド達はテキパキとこなしていく。


アリエスも先に学園の幼年部に向かわなければいけないので、八雲にキスをしてから部屋を出ていく。


八雲にはまだ時間があるのでレオとリブラに紅茶を用意してもらうと、通学時間までを三人で過ごしていった……


八雲がそのような淫らな朝を迎えた頃―――


―――八雲の学園生活とは関係ない場所で、世界は動いていた。


それは―――


―――フロンテ大陸西部オーヴェストの各国から、王族や代表達が次々にシュヴァルツ皇国のティーグル公王領に向かって集っていった。


ティーグル公王領の公王エドワードは黒龍城の留守を預かるサジテールに懇願し、序列外の龍の牙ドラゴン・ファング達を各国のトップの元に向かわせてもらった。


八雲の開通した街道が役に立ち、黒麒麟に乗り黒龍城を発ったメイド達は日を置かずに目的の各国に到着し、ティーグルの公王エドワードの親書を各国のトップの元に届ける。


そして、その親書の呼び掛けに各国を出発する王や代表がティーグルを目指して進んでいた。


八雲の知らないところでオーヴェストは動きだす。


それぞれが思いを胸に抱きながらティーグル公王領に王達は集うのだった―――






―――ティーグル公王領に各国のトップ達が集ったのは、サジテールに各国へ使者を送ってもらった日から五日後のことだった。


ティーグル公王領の主都アードラーにあるアークイラ城に各国から王族用の馬車と、それを守護する護衛の兵士達が列を成してやってくる。


首都の住民達は最初こそ何事が起こったのかと慄いていたが城からの知らせが街中に掲示され、少しずつ動揺は収まっていった。


「お久しぶりですね……エヴリン」


「―――あら♪ ええ、お久しぶりです、レーツェル陛下」


「エルドナもお元気そうでなによりです」


「はい、陛下もご壮健でなによりですわ」


フォーコン王国から到着した女王レーツェル=ブルート・フォーコンに、レオパール魔導国の代表エルドナ=フォーリブスと、その相談役エヴリン=アイネソンが近づいて挨拶を交わす。


純白に黒と赤の模様が刺繍されたドレスを身に纏う毛先が赤くなっている白髪の美女、吸血鬼の女王が無表情で佇んでいる。


レーツェルの傍には護衛としてアトス、アラミス、ポルトス、ダルタニアンに女王の侍女としてコンスタンスも付き従っていた。


長寿であるエルフ族と吸血鬼の女王であるレーツェルは、長い治世の中で何度も顔を合わせたことがある。


「そういえば、先日のイロンデルの件では陛下自ら戦場の前線に立たれたと伺いましたわ」


ふとエヴリンがレーツェルに告げると、アラミスとダルタニアンが無言のままピクリと反応する。


「ええ……昔からの誼で仕方なく出陣致しましたが……黒帝陛下の御力でフォーコンは特に被害もなく……むしろ、その後に街道を築いて頂いたことで我が国としては……ありがたい結果となりました」


「レオパールも黒帝陛下の街道が繋がったことで、他国との貿易がより活発となりましたわ」


するとそこにひとりの男が現れる―――


「レオパールとの貿易が盛んになって、我がリオン議会領も喜ばしい限りですよ」


リオン議会領の評議会議長ジョヴァンニ=ロッシが現れた。


「これはリオンのロッシ評議長……ご無沙汰していますわね」


「はい、レーツェル陛下におかれましてはご機嫌麗しゅう」


仰々しくお辞儀をするジョヴァンニはエヴリンとエルドナにも挨拶を交わすが、商人としてオーヴェストを股に掛けるジョヴァンニもまたフォーコンの女王とは顔見知りであった。


「さて、どうやらエドワード公王の準備が整ったようです」


そう言ってジョヴァンニはアークイラ城の広間に手を翳して促す。


「それでは……エドワード公王のお話を、伺いに参りましょうか」


そう告げてレーツェルは、示された広間へと向かって歩みを進めるのだった―――






―――案内された大広間では


この度のことに合わせて大きな円卓と、各国トップのための豪華な椅子が用意されていた―――




―――リオン議会領

評議会議長ジョヴァンニ=ロッシ

そして同伴したカタリーナ=ロッシ




―――エレファン公王領

公王エミリオ=天獅・ライオネル

そして同伴した先代王レオン=天獅・ライオネル




―――エーグル公王領

女皇帝フレデリカ=シン・エーグル

そして護衛として同伴したエーグル騎士団団長キグニス=オスロ―




―――レオパール魔導国

代表エルドナ=フォーリブス

そして相談役のエヴリン=アイネソン




―――ウルス共和国

国王バンドリン=ギブソン・ウルス

そして同伴したイザベル=メル・ウルス




―――フォック聖法国

聖法王ジェローム=エステヴァン

そして同伴した聖法庁副助祭マドアス=コルトマン




―――イロンデル公国

公王カイレスト=ゴロク・イロンデル

そして同伴した公国宰相デビロ=グラチェ・エンドーサ




―――フォーコン王国

女王レーツェル=ブルート・フォーコン

そして同伴した吸血鬼騎士ヴァンパイア・ナイトの四騎士




今回の招集の発起人である―――ティーグル公王領

公王エドワード=オーベン・ティーグル

そして皇太子アルフォンス=プロトス・ティーグルとクリストフ=ヘルツォーク・エアスト公爵




そして最後に―――現在、黒神龍特区を預かる

龍の牙ドラゴン・ファング序列02位

サジテールが同席していた―――




九つの国の代表達とサジテールが集った広間では、席に着く代表達とその後ろで控える同伴してきた護衛達が立ち並んでいる。


そして発起人であるティーグル公王領の公王エドワードが全員着席していることを見回してから、


「この度は我が呼び掛けに応じて頂き、こうしてティーグルにお集まり頂けたことに心より感謝を申し上げる」


微笑みを讃えて開始の挨拶を述べるエドワードに、その場にいる全員の視線が集まる。


「本日、各国の王や代表にお集まり頂いたのは―――今、この時こそ黒帝陛下のオーヴェストがひとつになるべき時ではないか、ということに思い至り、こうして話し合おうと思ってのことなのだ」


エドワードの口から告げられた『オーヴェストがひとつになる』という言葉に、十人十色の動揺が走る―――


―――しかし、その動揺は八雲に対して負の感情を抱いている訳ではなく、むしろ好意的な印象を受けている者ばかりだ。


だが、そこでまず真っ先に声を上げたのは―――レーツェルだった。


「エドワード王……黒帝陛下の言をお借りすれば……シュヴァルツは、これ以上の他国を併合して大きくする気は、今は考えていない、とおっしゃっていらっしゃいましたが……そこはどうお考えなのです?」


シュヴァルツ包囲網の際にイロンデルの併合を断った八雲の記憶はレーツェルにとってもつい最近のことで記憶に新しい。


その言葉を聴いてエドワードは笑みを浮かべながら、


「これは私の言い方が悪かったな。たしかに黒帝陛下は四カ国を併合したシュヴァルツ皇国について、今はこれ以上大きくする気はないと常々おっしゃっている。だが、この場で話し合いたいことは併合しようという話ではないのだ」


エドワードの言葉に要領を得ないレーツェル。


「では……どういったお話なのでしょうか?」


レーツェルが続けて静かに問い掛ける。


「うむ。私が皆に持ち掛けたいのは、シュヴァルツ皇国とレオパール、ウルス、フォック、イロンデル、フォーコンの五カ国とで結ぶ同盟の締結!そしてシュヴァルツ皇国と、その同盟国によって誕生する―――『オーヴェスト=シュヴァルツ連邦』の設立を提案したいということだ!!」


「……『オーヴェスト=シュヴァルツ連邦』とは……それはまた、大きなお話ですわね」


エドワードの提案は広間にいる者達にどよめきを引き起こす。


「ですが……それだけではまだ国を預かる者として安心は出来ません。シュヴァルツのことは……ある程度の信用を置いておりますが……何しろ皇国はまだ出来たばかりの国。これからの国家間でのお付き合いも……慎重になるのは当然かと」


続いて語られたレーツェルの意見に、その場にいる他の者も口には出さないものの、頭の片隅にその不安が全くないと言えば嘘になる者が何人かいる。


レーツェルはそういった思惑もあるであろうと、予想した上でこのような問答を仕掛けているのだ。


「レーツェル女王の言われること、まったくその通りであろう。であるからして私は連邦の構造をこのように考えている」


―――そう言ってクリストフに目配せしたエドワード。


その合図を受け、家来に命じて大きな巻物を運ばせるクリストフ―――


その大きな巻物状の紙を広げると、そこにはフロンテ大陸西部オーヴェストが描かれた地図が記載されており、


そして地図には―――


『シュヴァルツ皇国』と、レオパール、ウルス、フォック、イロンデル、フォーコンの五カ国を囲んだ『オーヴェスト五大同盟』、そしてその九つの国家を総称して―――


『オーヴェスト=シュヴァルツ連邦』


―――と、総称している新たな勢力の地図だった。


「これは……」


その地図を一目見てレーツェルはエドワードの意図を見通した。


いや、レーツェルだけではなく、この場にいる代表者達には全員その意図が見えていた。


シンと静まった広間で、まず声を上げたのはエヴリンだ。


「なるほど♪ シュヴァルツ皇国とオーヴェスト五大同盟……相互関係はあくまで同等、そして万一にもどちらかの不穏な行いが露見すれば相互関係に基づいて制裁も発動出来る、ということかしら?」


「まあ、そうならぬようにするための連邦体制でもある。だが、黒帝殿はこのような形にでもしなければ、こうした結束に納得されん気がしてな」


エヴリンにそう答えるエドワード。


「まあ!?まさか、まだ黒帝陛下にはお話を?」


「うん?ああ、まだしておらんよ。だが、そのためにサジテール殿に御同席頂いている。我等がこの様に相互協力の体制を取りたいと意志を示せば、黒帝陛下は果たして反対するであろうか?」


「いいえ……恐らく反対されることはないでしょう。まあ、大変驚かれるでしょうけど♪」


エヴリンは笑ってそう話しを流す。


「フハハッ!我がウルス共和国は黒帝陛下に国を救って頂いた。天と地が転じても裏切る様な真似は致さぬ。何より吾輩の娘イザベルの夫である黒帝陛下を裏切るような真似をすれば、娘に恨まれますからな!」


「―――ちょ、ちょっと?!父上!!このような場でっ?!/////」


陽気なバンドリンから突然の爆弾投下にサジテール、フレデリカ、エヴリン、カタリーナそしてアラミスが表情を変え、その『龍紋』が反応する―――


―――イザベルも『龍紋』による『伝心』で挨拶を交わしたことはあるが、まさかこの場に『龍紋の乙女クレスト・メイデン』がこんなにいるという事実に、自らの『龍紋』から伝わってくる反応の感覚で驚いていた。


しかも、その中にアラミスがいたことには驚きを隠せないでいる。


何しろ男装の騎士の姿をしたアラミスから『龍紋』の反応が感じて取れたのだ。


(えっ!?男じゃないの!?えっ?そっちも!?―――八雲様!?)


だが、そこで取り乱すわけにはいかないと気を持ち直して、その場では何とか冷静を装うイザベル。


「娘が黒帝陛下のお傍に上がっているのは何もウルスだけではありませんぞ?私の可愛い娘も黒帝陛下の妻ですからな♪」


陽気な口調で、そう言って割って入ったのはジョヴァンニだ。


「お父様/////」


元が商人である彼にとっては空気を読むことにも敏感で、ここは異様な乙女達から漂う肩の力を一旦抜こうとバンドリンの話しに乗っかる形で、その場を和ませに掛かる。


ただ、イザベル同様に各国の王達の前で言われると照れてしまうことは抑えられないカタリーナは少し頬を染める。


「聖法王猊下はどのような見解をお持ちですかな?」


そこで上がったエドワードの問いに、聖法王ジェロームはニコリと微笑みを浮かべて、


「この同盟、そしてこの連邦は……オーヴェストに住まう人々の幸福のため、そういうことで宜しいですかな?」


逆にエドワードに問い掛ける。


「―――勿論です。もはや戦でお互いの領土を狙うような愚かなことを行い、兵や民の命を粗末にする時代ではありません。我等はオーヴェストの繁栄を願い、そして成すべきことを成す立場にいる者達です。であれば民の幸福が我等の幸福―――そのための第一歩なのです」


エドワードの胸中には、旧知の中であったイロンデルの前公王ワインド=グラット・イロンデルの件が過ぎっていた……


その返答を聴いていたジェロームは、また微笑みを浮かべて、


「崇高なティーグル公王陛下のご提案、フォック聖法国は喜んでお受け致しましょう」


聖法国の聖法王が、エドワードの『オーヴェスト=シュヴァルツ連邦』に賛同の意を示した。


「おおっ!では改めてリオン、エレファン、エーグルの御三方も反対はありませんかな?」


「私は賛同致します」


ジョヴァンニは真っ先に賛同の意を唱えた。


「エレファンもご提案に反対はございません」


エミリオも同じく賛同の意を示す。


「エーグルは我が夫、八雲様の御意向に従うまでです」


フレデリカは他の『龍紋の乙女クレスト・メイデン』達に伝わるように『我が夫』のところを少し強めに答える。


その答えにエヴリンがクスリと笑みを溢す。


「レオパールも元々、黒帝陛下に併合をお願いしたことがありますから、願ってもないお話です」


エルドナがエドワードにこの提案へ好意的な意志を示すと、その隣にいたバンドリンも、


「ウルスとしては先ほども申した通り、吾輩の娘イザベルの夫殿の国と事を構える気はござらん!」


「だから父上!!やめて!!!/////」


何故か対抗意識を燃やしたバンドリンが「娘の夫」を強調することで、イザベルの顔が益々赤く変わっていき耳まで染まっている……


「フォーコンも……この五大同盟に加盟してという構図であるならば……喜んで連邦に名を連ねると致しましょう」


レーツェルも同意したことで、最後に残ったのは―――


「では、イロンデル公王カイレスト殿……イロンデル公国のお考えをお伺いしたい」


―――イロンデルのカイレストのみとなった。


「わたくしは、本来であれば我が父の行いにより……黒帝陛下に国ごと滅ぼされていても、おかしくはありませんでした」


カイレストの突然の言葉に娘の夫、黒帝の嫁発言で密かに盛り上がっていた広間は静まり、後ろに控えている宰相デビロも顔色が暗くなっていく。


「ですが……そんなイロンデルにまで黒帝陛下は整備した街道を繋ぎ、こうして生かして頂いている身なのです。本来は五大同盟に加盟させて頂くことも恐れ多いことだと考えております……ですが!このオーヴェストのために我が国が成せることがあるのであれば、わたくしは我が国とオーヴェストに、少しでも幸福をもたらせるよう全力を尽くさせて頂きたい!!!そのためにどうか―――皆様と轡を並べることをお許し願いたい」


そのカイレストの言葉に、エドワードも大きく頷き返して―――


「そのご英断、立派な公王ですな。イロンデルもまたオーヴェストの大切な一員である。では、ここに『オーヴェスト=シュヴァルツ連邦』の設立を宣言する!!!この連邦は黒帝である九頭竜八雲様を改めて盟主としてお迎えすることとして、これより龍の牙ドラゴン・ファングのサジテール殿に立会人となって頂き裁決とする。そして後日に黒帝陛下も御参加の元、同盟と連邦の加盟式を行うこととする!!!」


―――その宣言に広間では、この場にいる全員と警備に立つティーグルの警備兵達に至るまで盛大な拍手喝采が広間の中で大きく鳴り響いていった。


こうして、この場で西部オーヴェストは『ひとつの連邦』として纏まり、そしてこれより後の時代を突き進むこととなる―――






―――そんな中で、


【―――と、いうことに決まったぞ。八雲様】


サジテールの『伝心』を通じて広間の様子を聞いていた八雲は―――


【ハァッ!?何それ!?―――俺、全然聞いてないんですけどォオ!?】


―――寝耳に水の状況で『西部オーヴェスト連邦の盟主』という立場にまで昇りつめてしまったことに激しく動揺するのだった……






―――そしてその会議の後、エドワードからは、


「ああ~!それとこの度、黒帝陛下とその妻となった我が娘の留学しておるヴァーミリオンのバビロン空中学園で執り行われる『学園祭』に、我らが盟主殿も盛大な催しを行うということだそうだぞ。どうであろう?―――皆でその『学園祭』とやらを、お忍びで覗きに行こうではないか♪」


という、とんでもない提案が持ち出された……


そして、その提案に『龍紋の乙女クレスト・メイデン』達の瞳が強くキラン☆☆と光を放ち、その学園祭の日程について早速、スケジュールの調整を始める。


日程には余裕もあるので各国の代表者達も現地集合ということで話を合わせ、一旦自分達の国に戻る段取りを進めていく。


そんなオーヴェストのトップ達のお忍びに関してはサジテールも八雲には伝えずに、ちょっとしたサプライズとして仕組むことにしたのは文字通り此処だけの話しである―――




この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?