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「俺はクラスメイトどもを見殺す」3

 「…………は??」


 何を言われたのか分からないみたいなリアクションをする元クラスメイトども。


 「じょ、冗談言ってる場合じゃ………っ」

 「冗談じゃねーよ。俺がテメーらの為に動くことはない。心配すんな、このモンストールどもはテメーらが全滅した後でちゃんと討伐してやるから。だからそこで無惨に死ね」


 どんどん近づいてくるモンストールどもを見て悲鳴を上げた鈴木保子が、最初に殺される。プテラノドンの嘴で串刺しにされて死んだ。

 それが合図となって、元クラスメイトどは再び殺戮の波に呑まれていった。


 「はぁ!?ふざけんな!!ちゃんと謝って懇願したじゃねーか!!おい甲斐田――」


 カチッ

 “あんなクソ野郎に謝罪する気なんか微塵もねーよ。けど今は下手に出てあいつの機嫌を取らねーと化け物どもに殺されてしまう。嘘でもここは謝っておくに限る!”


 「な、な……?」


 俺の手元にあるボイスレコーダーらしき機械からは、大西の打算まみれの言葉が出てきた。固有技能を具現化させたアイテム“真実の口”で、大西がさっき言った言葉を録音してその言葉の真偽を判定したのだ。

 結果、今の大西の言葉は嘘であることが分かり、こうやって本当の言葉が出てきたってわけだ。


 「まぁどうせそうだろうなって思ってたさ。というわけでテメーらゴミカスどもを助けたりなんてするかよ」

 「待てよ!!俺はそんなこと言って――」


 そう言っている間に、須藤と同じヤニカス仲間である柿本と早川が怪獣にバリバリと食い殺されていった。醜い悲鳴を上げて血肉をまき散らしながら、二人は怪獣の腹の中へと消えた。


 「あの時……テメーらは俺を見捨てたわけだが。

 今度は俺がテメーらを見捨てる番だ。見殺しにしてやるよ」


 俺は無表情に言い放って、元クラスメイトどもを切り捨てた。


 「ぎゃあああああ!!助け、助けて助けろよおおお―――」


 ベキベキ、グチャ……ッ


 「嫌だ、殺さないでくれ―――」


 バキゴキ、グシャゴリィ……!


 里中優斗と小林大記……二人ともサッカー部で親友的関係だったっけ。二人はいつも結託して俺に不快なちょっかいをかけてきたことあったな。この世界でも大西どもと同じように、罵声と暴力で俺を虐げた。こいつらも地底へ落ちていく俺を嘲笑っていたに違いない。

 その罰が今下った。ああやって化け物どもにグロテスクに潰されて殺されるという罰が。エーレと怪獣に踏みつぶされ噛み砕かれて、最期に見たあいつらの姿はもう人の形など留めていなかった。わずかに残っていた里中の顔半分は、激痛と絶望で苦しみ引きつっていたものだった。


 「甲斐田……甲斐田皇雅様!!お願い、です!私だけでも助けて下さい!!助けてくれたら何でもする…しますから……!私の体も好きにしていいですから!だから助けて下さい、皇雅様ああああああ!!」


 安藤久美が慣れない敬語で俺に助けを求めてくる。あいつは……学校でも俺を相当ムカつかせ、陥れてくれやがった。この世界ではゴミを見る目を向けながら魔法をぶつけて大怪我も負わせた。

 そんなクソ女が今、醜く俺に媚びてきている。どこからの自信なのか、お礼に自分の体を差し出すとか言いながら。

 こっちに近づこうとしている安藤に、俺は無表情のまま冷たく言い放つ。


 「アホ通り越して愚かかテメー。誰がテメーみたいな存在ブスを抱きたいって思うかよ。つーか名前呼びとかしてんじゃねーよマジで気持ち悪い。というわけで助けません」


 中指突き立ててそう言った俺を見た安藤は、


 「こ、のクソ野郎がああああ(グサ、ドス、ブシュグチュ!)――あ”……ぁあ”あ”あ”…………ッ」


 最後の最後で罵声を浴びせようとしたところに、プテラノドンの嘴で頭を滅多刺しにされて脳みそをぶちまけて死んだ。


 「うわああああ弾も剣も切れた…!おい甲斐田……いや甲斐田様!!マジで頼む、頼みます!!もう二度と甲斐田様の気に障ることを言ったりしませんから!俺の全財産とか女とかも全部やりますから!!だから許して、助けてくれええええ!!」


 今度は須藤が真っ青な顔で泣き叫んで赦しと救助を乞うてくる。クラス内のヤニカス筆頭。俺にとって害悪でしかないクソ野郎。頭の中のも素行もクズ、全てクズだ。百害あって一利なしの存在がまさにあいつだ。


 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!?死にたくな―――(ズバン、ズバン、グサドス!!)」


 しつこく俺に縋ろうとしたところで、エーレに斬り刻まれプテラノドンに串刺しにされて無様に死んだ。


 「あ、あいつ……マジで俺たちを見殺しにする気だ……。もう、助からねぇ」

 「は、はは……なあ拳銃持ってね?化け物どもに殺されるくらいならいっそ自分で……」

 「…………」


 まだ残っているのは山本と片上、そして大西だ。三人とも生気の無い顔をしていて、走って逃げることすら放棄している。

 いや……大西だけは俺を恨みがましく睨みつけているように見える。その目からは憎悪の念すら感じられる。


 ふらふらと歩き始めた山本と片上に目ざとく反応したモンストールどもは、二人を囲み……残酷に蹂躙していった。

 山本は斬撃と魔法攻撃で体をズタズタに破壊されてから怪獣とプテラノドンに食い殺され、片上は精神が崩壊したのかケタケタ笑ったまま体をバラバラにされて潰され、最後は焼き滅ぼされた。

 大西はそんな残酷な光景を恐怖で引きつった目で一瞥してから俺に再び顔を向ける。

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