10-2
「それで、本題だけど……」
引き続き、
ふいに秋羽が時計を見ると、それほど時間は経っておらず、まだ10分程度しか経過していなかった。
「ある日、俺は姫崎四季が事故ではなく自殺だと知った。あんたもよ~く知っている、ある事件の報道からね」
「! お前、まさか……」
「そう、そうだよ、
「鮮血ずきんちゃん事件」。
姫崎四季の死をきっかけに起きた、女子高生の連鎖自殺事件。
――おい、ちょっと待てよ。これ……どこまで、繋がっているんだ?
「鮮血ずきんちゃん事件」の背後には公にはされていないが、彼女達に復讐の方法を教授した人物がいる。
――『俺……多分、近日中に殺されるから、その犯人を絶対に捕まえてほしいんだよね』
――『俺は確実に近日中に殺される。その事自体は確定している。そういう筋書きなんだよ』
――『あの『演出家気取り』も、俺の存在は邪魔みたいだね。ここまで言えば、あんたなら分かるだろ? 白石秋羽さん』
ふいに、初めて会った時に来栖が言っていた言葉が脳裏をよぎった。
――もし、あいつが今回の事件全ての黒幕で、灰崎来栖を利用して……いや違う。
――
断言するように、秋羽は思った。
そもそも、こいつは利用されるたまじゃない。
「お前……どこまで、知ってる?」
「ははっ、前にも似たようなこと聞いてきたよね。でも、それ……ここで、本当に言っていいの? 言ったら困るの、
「……っ」
秋羽が思わず息を呑んだ時、遠くからゆっくりと近づいてくる足音が響いた。
「来栖くんの言う通りだぞ、白石」
「
先程まで自分の席で倒れるように座っていた
子供に甘い茶園からしたら、来栖も「守っていけない幼い子」であり、普段に比べると雰囲気や口調は穏やかではあるが――
「来栖くん。私達は席を外すよ。そこで思う存分、話し合いなさい」
「え~、班長、それって初夏もってことですか~」
「まあ、少しだけ……そうだな、制限時間は30分だ。30分経ったら、私達は戻ってくる。それでいいだろう?」
茶園の口調は穏やかだが、有無言わせない迫力があり――初夏も珍しく「は~い」と気の抜けた返事と共に立ち上がった。
そして、二人とも部屋を出ていこうとした。
「班長!」
思わず立ち上がった秋羽に、子供を諫める親のような目で茶園は言う。
「決めろ……自白刑事」
「……! でも俺……」
「前にも言った筈だ。お前にしか解けないものがある。それを解け。それがあの男への反抗と、
「……っ」
喉まで出かけた言葉を呑み込み、秋羽は茶園の背中に頭を下げた。
それを近くでずっと見ていた来栖はふっと笑みを零す。
「なんか、あんた達も訳アリって感じ?」
「何を今更……この世に、理由を持ってねえ奴なんていねえだろ」
「それじゃ、始めるぞ。灰崎来栖……今から、お前の罪を暴く」
「たはっ♪ やれるものなら、やってみせなよ……自白刑事」