そんなある日のこと。
敗血症性ショックになった母は、要介護5の認定が出ているから、今のところ、家に帰れないことが確定に近いので、実家の断捨離の意味も含めて、兄弟にて、応接間を徹底的に掃除しようと動きました。
今後は、手の空いた時間を使って、随時、実家を片付ける予定ではあるのですが…。
その掃除中に出てきたのが、前話で述べた、大きなパワーストーンの塊だったわけです。
もう一度、30年間も放置したパワーストーンの状況をまとめれば…。
1.このパワーストーンは、30年も前に、うちの会社にいた日系ブラジル人のお土産であって、父母が買ったものではない。
2.アメジストの結晶が集積しているクラスターが2つあり、7cm×15cm、厚みが4cm程度。
3.紫水晶の小粒の石が沢山…。
4.デュモルチェライト入り水晶の塊。青い色をした宝石に、水晶のクラスターが雑じっているような原石を磨いたような形で、直径で15cm厚みが4cm程度あるモノが1つ。
それらを持った瞬間に禍々しさが込み上げてくるのですから、『とても酷い』としか言いようがありません。
それらの石を持つと、周りの空気がドンヨリとして、持っている手が震えてしまいます。
『これは、完全に特級呪物だぞ…。』
-それは…、そうです。
30年間、浄化もせずに放置した石ですから、この家やウチの町工場の悪い運気を全て吸った挙げ句、それが悪循環を招いているのが容易に想像ができます。
ここで、端的な結論から申し上げると、このパワーストーンに関して、怨霊や呪詛が、その石を触媒として栄養源として、漂っていると推測しました。
日系ブラジル人に頂いた時点で、このパワーストーンの素地が、あまり良くなかった可能性も高かったとも思います。
私たちに最初から知識があって、定期的にキチンと浄化をしていれば、いわゆる『特級呪物』となることはあり得なかったと思いますが、何しろ、30年も放置している状況では、その手の筋金入りだし、年季が入りすぎています。
しかし、諦めずに、やるべき事はやろうと努力をしてみます。
私と妻が出した結論は『とりあえず、セージの煙で炙ってみよう』でした。
妻は、パワーストーンの知識が少あるお陰で、セージを持っていたので、それを焚いて、煙で水晶の浄化を試みます。
浄化を試みて、暫く後に、周りにあった禍々しい感じが少しだけ取れてきたので、私が目を閉じて石に触れて、意識を集中させ石のチェックをしたのですが…。
…完全にダメです。
簡単に悪いモノが取れるような雰囲気はしませんでした。
最初は良かったのですが、パワーストーンの表層だけが浄化されたぐらいで、ストーンの中身を探ると全身から身震いがしたと同時に、涙が出るほどの恐怖を感じて、それ以上、どんなモノが入っているのか、恐ろしすぎて、石の中を見る事ができません。
霊感が皆無な妻でさえ『この石があると、周りがドンヨリする』と、言っている程ですから、相当に禍々しい状態です。
これで、これらの石を処分をする方向性に傾いてはいますが、適切な処理方法がないかを必死に模索をしました。
それに、パワーストーンを捨てるにしても、適切な浄化や供養をしないと、悪い思念が残ったままになりますから、ロクな事にはならないのは明らかです。
ネットで色々と調べてみて、パワーストーンに関して、浄化や供養の方法が幾つか出てきました。
○1つ目は『土に返す』方法。
方角が良い方向を見つけて、穴を掘って石を埋める対処法もありましたが、これだけ禍々しいと、たぶん悪影響のほうが強くて、実行するのを止めました。
○2つ目は『パワーストーンを供養する寺社に持ち込む』
浄化が上手くいけば、そのまま持っておきますが、ダメなら何処かの寺社に持ち込んで、処分するしか手がないと考えました。
これが、ベストな選択ですが、この石が発見された時点で夕刻なので、寺社に持ち込む時間がありません。
○3つめは『塩に埋める』方法。
次善の策として、一晩だけ石を塩に埋めて、悪いモノを浄化することを試してみました。
もしも、悪いモノが出て、なんらかの障害が出ても、被害が最小限度に留まると考えたのです。
繰り返しますが、この石が発見された時点で、夕刻だったので、寺社に持ち込んで供養や祈祷をする時間もありません。
何にしても、塩に埋めておいて、一晩、放置しなければならぬ状況に陥っていたのです…。
◇
私たちは、すぐに動きました。
石を単に塩に埋める訳ではありません。
まず、塩を2kg買ってきて、神棚に供えます。
神棚の祭壇に蝋燭に火を付けて『今からこのお塩で清めます。お力を下さい』と、祈りながら神棚にお参りをします。
全部の石が入る大きさの段ボールを用意して、石が見えなくなるぐらいに塩を敷き詰めたのです。
私は念のために、神棚のそばにパワーストーンが入った箱を置きました。
もしも最悪の事態を招いても、神棚にいらっしゃる神様が何とかしてくれる…と、少しだけ楽観視していたのですが…。
当然の如く、私のツメが甘かったのは、言うまでもなかったのです。