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第27話 ドキドキお風呂

【ホテル勉強部屋】

「へくちっ!」


冷えた身体を温め濡れた服を乾燥させる為に入ったホテルが、ラブホテルだった事に驚いていた亜沙美は、身体が冷えている事をすっかり忘れていた


「風邪引いちまうぞ…風呂、入ってこいよ…待ってるからさ…」


「う、うん。そうするね…」


タオル等を持って慌ててイソイソと、お風呂場に向かう亜沙美

「ガチャ」

脱衣所で服を脱ぎ浴室内に入った亜沙美は、シャワーを捻った。髪を濡らし最初にシャンプーで頭を洗う亜沙美


手とハンドタオルで髪の水分を軽く落とすとリンスを使う。リンスを頭部に残したまま身体を洗う


そうやって長くリンスを浸(ひた)す事で、その成分の効果を強く効かせるのだ

(うはぁ…予想外だったけど…太一とラブホテルに来ちゃったぁ……ま、まぁ、ナニかする訳ではないんだけどね…うん(汗))


まだ15歳の亜沙美は、初めて異性とホテルに来た。それも大人なら男女の営みをする為に利用するラボホテルにである


しかも風呂に入り身体を清めている…それが、ある行為を連想させてしまい彼女の顔を真っ赤にさせていた。もちろん間違いなど起こるハズはないのだろうが…


「ガチャ!」

(えっ!?)

部屋と脱衣所の間のドアが開かれた!

(う、嘘!?太一が入って来た!?)


まさかの太一がやって来た。純粋で奥手な太一が大胆な行動に出れるハズが無い。と踏んでいた亜沙美はその意外な事実に、心臓が暴走しそうなほど動悸が早くなった


「あの!す、すまない…そのまま聞いてくれ。だ、大事な話なんだ…」


脱衣所と浴室を隔てる薄いガラス扉の向こうに立つ太一が、震える声で話しかけてきた


「ど、ど、どうしたの?そんなに大事な話?」


(ど、ど、ど、ど、どうしよう!大事な話って何?も、もしかして…もしかしてぇ!私たち今日やっちゃうのぉ!?)



「た、太一どうしたの?私、お風呂に入ってるんだよ?裸なんだよ?ナニをするつもり?」


「俺…異性の身体に……亜沙美の裸に興味があるんだ!亜沙美の全てを知りたいんだ!」


「う、嘘だよねぇ?私たち高校1年生なんだよっ!そういうのは早すぎるって!」


「もう…我慢できないんだー!!」

(きゃああああ!どうしよ?どうしよう??)


………………………………………………………………………………


「あのさ……おい!亜沙美、聞いてるか?」


「えっ!?あ、うん。聞いてるよ(汗)」


どうやら亜沙美は妄想が暴走していたようだw


「なぁ…学校に来ないか?」


「えっ!?」


亜沙美のエッチぃ妄想とは全く別の話題が太一の口から出ていた。どうやら亜沙美に復学させたいようである


「風呂に入ってる時に話して悪いな…けどさ、部屋で向かい合って話したら…なんか、上手く言えない気がしてさ…」


「うん…そうだねぇ…」


「この前は「学校辞めたら?」なんて酷い言い方をして悪かった。って思ってるんだ。ゴールデンウィーク前に少し登校しといたら、休み明けてから学校に来やすくなるだろ?不登校のままゴールデンウィークを迎えたら、本当に来れないだろ?」


「そ、そうだね…半月以上休んだら流石に自主退学が確定しちゃうかも…」


「お前のことを、からかう様な奴が居たら…お、俺が味方になってやるから、学校に来いよ……いや、来てくれよ!」


「ど、どうして太一は…そんなに私に学校に来て欲しいの?」


「そ、それは……俺が亜沙美を…」

「へくちっ!!」


太一と会話してる最中、シャワーも浴びず湯船にも入っていなかった亜沙美は、まだ身体が冷えているのでクシャミをした


「わ、悪い!風呂出てきてから続き話すな。濡れた服は部屋に干して置くからな!」


「あ、ありがとう…」


そう言うと太一は、亜沙美の替えの服と下着以外を手に取り部屋に戻って行った




【部屋のベッドの上】

亜沙美はベッドの上で女の子座りをしていると…太一からの熱い視線を感じた

(あれ?お風呂から出てから何か太一ずっと私の方を見てない?どうしたんだろぅ?)


天然気味の亜沙美は気付いていないが…この部屋の着替え(コスチューム)として置かれていたセーラー服を来ているのだが…


それは、この区域の中学校にしてされている制服と酷似していた。カップルが彼女(もしくは嫁さん)に中学校の制服を着せてお楽しみするのだろうか?太一も中学生の亜沙美と居る。とかいう妄想でもしているのだろうか?


結局、ガン見されている理由に見当が付かなかった亜沙美は、先ほど太一から言われた言葉を考えていた


「俺はお前と高校生活を過ごしたいんだ!それで、お前と一緒に卒業したいんだよ!」


思い詰めた想いを吐き出すように言った太一の熱い言葉が、亜沙美の頭の中を駆け巡っていた


「アレって告白?…でも、好き。とか言われた訳じゃないもんね…でも、太一凄く必死だった…」


あんなに熱い言葉を掛けられたのは、亜沙美にとって初めての事だった。太一の言うように、このままゴールデンウィークを迎えたら、あまりに長い日数学校に行ってないから…そのまま自主退学は避けられない気がした


(ここが正念場かもしれないなぁ…どうする?)


配信活動が楽しくなってきていたので、すっかり学校をどうするか?考えていなかった亜沙美は今、太一の言葉で真剣に考えていた




続く

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