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第33話 久しぶりの学校

【5月1日】

時刻は7:50分。竹取家の前で待っている亜沙美に声を掛ける太一

実は今朝のこと。「やっぱり学校にもう1度行こう!」と決意した亜沙美は、太一に電話し待ち合わせて一緒に登校する事にしたのだ


「おっ、おはよう亜沙美」


「あっ!太一……」


「……………」


「ど、どうかな?制服姿おかしくないかな?」


実に10日ぶりに学校の制服に袖を通した亜沙美。その感覚がぎこちなかったし…毎日通っていればなんて事はない登校だが、やむを得ない理由もなく休んでいた亜沙美には、学校に行くことへの抵抗感は半端ないモノだった


「良いんじゃないか?似合ってるぞ……もしかして、学校行くの怖かったりするのか?」


「うん、そりゃあね……自分のせいだけど、10日も休んでたからやっぱり怖いよぉ。クラスのみんなから弄られそうだもん…」


太一にだけは素の姿を見せられる亜沙美だが、彼女は人見知りのコミュ障を軽くわずらっている。クラスでレアキャラ扱いされるのが予想されるだけに、その事を考えただけで亜沙美は吐きそうな程の緊張を感じている


「俺は隣のクラスだからな…何かあったらスグに言いに来いよ。もし見るに耐えられない状況だったら、勝手に飛び込んで助けてやるからな!」


「太一…ありがとぅ♪」


このまま自主退学も有り。だと考えていた亜沙美が、再び学校に行く気になれたのは太一の言葉があったから、こそだった


「けど良かったのか?一緒に登校して…」


彼女のクラスメイトが久しぶりの亜沙美を見れば、質問攻めに合うのは予想できるが…幼なじみの異性である太一と一緒に登校したら【リア充爆発しろ!】的な扱いを受けるだろうというのは、更に容易に想像できるのだが…


「Σ(゜□゜)あっ!!そ、そうだねぇ。ソレは考えてなかったよぉ…」


「お前な〜…ま、亜沙美らしいったら亜沙美らしいか。先生に頼まれて首根っこ掴んで連れて来た。って事にしとくよ」


「何だか私、犬みたい…でもありがとう太一」


学校に久しぶりに登校する事の恐怖感に襲われていた亜沙美は、同い年で異性の太一と一緒に登校すれば周りからどう見られるか?まで気が回っていなかったようだ


「で、でもさ…どのみち困ったら太一を頼る訳じゃない?そしたら…遅かれ早かれ、そういう噂話に花を咲かれちゃうのは避けられないでしょ?ならさ、最初から見せたのもありじゃない?」


「そうか…それもそうだよな。安心しろよ、どれだけ亜沙美が弄られても俺が絶対に助けてやるからな!」


「うん、(/// ^///)嬉しいよ太一…」


亜沙美の学校への登校。その鍵は太一が握っている。と言っても過言ではない程、亜沙美は太一を頼りにしていた




【亜沙美の教室】

「ガラガララ…」

教室の扉を開けいかにも体育会系の教師がジャージ姿で入ってきた。高校1年生のクラスの朝なんてザワついていて当たり前だと思っている担任の教師だが、今朝はいつになく騒がしいと感じた


「おらー、お前ら静かにしろー。ホームルームを始めるぞっ!えー…出席を撮るからな…

………高野麻里っ」

「はい」

「竹取亜沙美っ」

「は・い………」

「…ふぅ、相変わらず欠席か…」

「あ、あの…居ます……」


「………∑(๑ºдº๑)!!なに〜!!」


「あの…亜沙美です…長い間…休んでいて…すみません…でした…お、おはようございます…」


体育会系の担任教師は、毎日欠席しているのが当たり前になっていた亜沙美が教室に居る事に驚いた。今朝のクラスが騒がしかったのは、亜沙美が居ることへの生徒の反応による騒ぎ声だった


「お、おおぅ………竹取。よく登校してくれたな。先生は心配してたんだぞ」


「はい…すみません…でした…」


亜沙美が、物凄く居心地の悪そうな顔をしている事に気がついた担任教師は気を利かせて叫んだ


「お前らー、静かにしろーっ!出席を続けるぞーっ!………良し!ホームルームは自習にする。竹取は俺と職員室に行くぞ。付いてこい!」

「は、はいぃ……」


久しぶりの登校で亜沙美を見掛けたクラスメイトから、予想通りの質問攻めに合ったので彼女の心は既に疲弊していた。更に担任教師から職員室に呼ばれてしまう。亜沙美の登校復帰は上手く行くだろうか?




続く

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