【竹取家リビング】
「ねぇ太一、居る?」
「いつも迷惑かけてごめんね」
「なんだかんだで優しいよね」
「今日も楽しかったぁ♪」
「くっ、くそっ!…あ、亜沙美って…あんな可愛い声してたのか?いや、配信してるくらいだから声は良くて当然か!?」
太一は薄いすりガラス越しに会話していた亜沙美の(ドキドキしていた)声に、何だか胸の内から熱く湧き上がってくるモノを感じていた
「太一〜。私もう出るねー!」
「お、おう!」
亜沙美が浴室から出てくる。脱衣室に居て話し相手になっていた太一は、慌ててリビングへと移動した
「な、なんか歩きツライな……うっ!?」
太一のキカン棒が亜沙美の照れた可愛い声に反応して、ギンギンに直立していた。そこへ脱衣室から亜沙美が声を掛けてきた
「あ、太一…その、ありがとうね。だいぶ元気が出てきたよ。それでね、明後日からまた…」
「お、おう!元気が出たか!良かったな、じゃあ俺もう遅いし帰るぞ!親が待ってるからな、じゃな!」
太一はテントを張っているキカン棒を見られる訳にはイカない!と、亜沙美が出て来る前に慌てて竹取家から脱出した
「何、太一。どうかした…の?」
太一が早口で何か叫んでいたのは聞こえたが、全ての言葉を正確に聞き取れなかったので、急いで身体をタオルで拭いて出てきた亜沙美だったが…既に太一は帰っていた
「え〜、何で居ないの?……私、太一に何か失礼なこと言っちゃったかなぁ?…ちゃんと向き合ってお礼言いたかったのになぁ…」
さっきまで面倒見の良かった太一が、亜沙美が出てくるのを待たずにイキナリ帰ってしまった理由が、全く分からないのでしばらく困惑していた
いつものタオルで念入りに髪の毛の水分を拭き取る作業を丁寧にこなしながら、最近の太一とのコミニュケーションを振り返って色々考える亜沙美
【20時】
とりあえずキッチリ着替えてから、冷凍食品の【水の要らない大関ラーメン】をコンロで温めて食べる亜沙美
食後、明日も学校へ頑張って行こうと決意したので教科書などを用意した。ふと、時計を見た時には配信まで後1時間を切っていた
「ん〜…今日の配信は何しようかなぁ?…視聴者(アミーゴ)たちはホラー系で絶叫するか?エロ朗読でエッチぃ声を聞きたいか?…のどっちかなんだろうなぁ…さて、どうしようかなぁ?」
(でもなぁ、今日は学校であんな気分になっちゃったから…エロい朗読しても、視聴者が喜んでくれるようなエッチぃ声は出ないだろうなぁ…)
今日は学校でテンパり過ぎてメンタルを戻すのに、かなりの時間を必要としてしまった。と言うか、まだ戻りきってはいない
今日のメンタルでは、エッチぃ系はおろか真面目に話すのも難しそうだ。そこで亜沙美は…
【21時】
「皆さ〜ん、こんアミーゴぉ!AA(ダブルエー)VTuberの浅宮アミでーすっ!ゴールデンウィークまで、アミと同じ学生の人も働いている社会人さんも後1日ですね!」
✱「せやねー」
✱「サービス業は仕事なんやw」
✱「学校たるいわ」
✱「ゴールデンウィークも部活あるけどな」
✱「明後日から休みだよ」
「あら、サービス業ですか?お仕事の方はご苦労さまです。アミが労ってあげるね…ヨシヨシ
( ᐡ´• ·̫•)ノ(-‧̫ - `ᐡ)ダイジョーブダヨ♪…さて、今夜は放ったらかしにしてた【バイオパニック】の第2章をplayしていくよっ!」
✱「マジっすか」
✱「ホラー系克服したんか?」
✱「鳴き声期待」
✱「無理すなよ」
視聴者(アミーゴ)達から様々なコメントをもらった亜沙美。おおかたの予想としては、亜沙美(アミ)がビビリplayすると予想されていたが…
「ふんがぁっ!…wryyyyyyyyyy!!とあっ!」
✱「アミ覚醒か?」
✱「やけくそか」
✱「勇ましいけどMissばっか」
✱「鳴かんのかーい」
✱「これもまた良し」
「きゃあああ!?どっから出てくんのよぉ!もぉ、意地悪な登場しないでよねぇ…ふひぃぃ!!」
✱「結局鳴いてるやん」
✱「ビビりは変わらずか」
✱「良い悲鳴だ」
✱「若い子は元気だねー」
亜沙美は学校で、我慢の限界まで蓄積させられたストレスを【バイオパニック】にぶつける様にplayした。視聴者(アミーゴ)の期待していた感じとは大きく違ったが、半分やけくそでplayするその声が新たなファン層を獲得し、配信が終わる頃にはチャンネル登録者は3000人を超えていた
続く