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第40話 梨香の提案

【翌朝】

「寝る前に亜沙美から来たメールには…ゲーム配信で「難しいエリアがクリア出来て気分良く寝れそう♪」ってあったから…今日は機嫌良いのかな?」


亜沙美と待ち合わせしている場所(亜沙美の家の近く)で、亜沙美が来るのを待っている太一は亜沙美の機嫌が良いことを期待していたのだが…


「おはよう太一…」


「おっ!?ちゃんと来たな!今日は気分良く登校出来そう………!?…か?」


背後から聞こえてきた亜沙美の声に、元気な姿を期待をして振り返った太一だったが…


「この顔が気分良く登校できそうな顔に見えるぅ?」


視聴者(アミーゴ)たちと楽しい配信時間を過ごせて、気分良く寝たハズの亜沙美だったが…


「目が覚めてからさ…登校準備してたら…昨日の学校での事を思い出してさ…テンションが地に這いつくばった後、地中に埋もれて行っちゃったよ…あはは…私って駄目な子だね。学校行くだけで、こんなになっちゃってさぁ……」


「お、おう( ̄▽ ̄;)かなり凹んでんな…昨夜。親戚の…お前のクラスの委員長してる梨香に、少しで良いから亜沙美のフォローしてくれ。って頼んでおいたからさ…頑張れよ…」


「そ、そう…ありがとう…頑張ってみる」


太一の予想の斜め上を行くほど凹んでいる亜沙美。その可能性も考慮して、昨夜の内に梨香にdiscordで頼んでおいて正解だったと思う太一

(頼む亜沙美。折れんじゃねーぞ!)


明日からゴールデンウィークに入るので、何とか紙一重で良いから今日を乗り越えてくれる事を願う太一




【ホームルーム】

「みんなぁおはよーっ!」


今朝も元気の良い担任の男の担任教師がやって来た。チラリと亜沙美の方を見る


「起立」

「礼」

「着席」


担任教師はおもむろに教壇机に手を置いて、前のめり気味に話し始めた


「みんなも知っている通りだが…ながらく欠席していた竹取が昨日、今日と登校している」


(うひっ!?…うっわぁ!朝からイキナリ私の話ですか!?…今日は担任から、わざわざ何なんですかぁ!?)

昨日に続き、今朝も登校した直後からクラスメイトに質問責めされている亜沙美は、全身が「ビクン」と反応した


「竹取は中学の最後の年…つまり、去年に父親を亡くされている。母親がその仕事を継いで大変らしい!みんなからは興味を抱く話かもしれんが、竹取にとっては大変な事なんだ。面白半分であまり弄らないようにな!

イジメとかじゃなくても、竹取を弄りすぎて再び不登校に追い込んだ者が居たら…内申点に響く可能性が高い!と覚えておいてくれよ」


「げっ!マジかよ?」

「そんなんで就職響いたらたまんねー」

「竹取さん!うるさかったら言ってね」

「弄り過ぎた。スマン!」


担任のフォローでクラスメイトの考えに変化があったが…不登校に触れられなくなったとしても……亜沙美と太一の関係には興味津々なクラスメイトは多そうだ




【昼休み】

「ねぇねぇ竹取さん。ゴールデンウィークは予定あるの?」

「何処か遊びに行かないの?」

「旅行とかは…やっぱ、しない?」


不登校の会話は避け始めたクラスメイト達だが話題はゴールデンウィーク……いや、亜沙美と太一の関係を探ろうと誘導尋問が繰り出され始めた


「えっと…今のところは、ノープランだけど…」


「えぇ〜予定無いの?」

「浅宮君から誘われてないの?」

「2人で外泊しちゃったり、とか?」

「もしかして…竹取さん家に泊まりに来る。とか?」


「そ、そ、そ、そんな予定はぁ…」


またしても始まる亜沙美への質問責め。自分や太一が過敏になってフォローし過ぎるのも良くない。と思って、ここまで黙っていた梨香が遂に動いた


「太一君と外泊ですか?…良いですねぇ♪私は彼と親戚ですから、昔は何度か一緒に寝泊まりしましたよ…大概、親同伴でしたけどね

ですけど久しぶりに彼と旅行も良いですわね!竹取さん、彼を誘って3人で近場に外泊するなんて如何(いかが)かしら?」


進展が無いから逆に騒がれている。と判断した梨香は、逆転の発想で太一を含む3人で、近場への旅行を提案してきた


「Σ(*oωo艸;)エェ!?旅行っすかぁ!?」


✱「おお!委員長も大胆だ」

✱「ひと春の思い出作り?」

✱「かー!羨ましいなぁ」

✱「浅宮くん、両手に花じゃん」


真面目な雰囲気の梨香の口から大胆にも、3人での旅行が提案されて驚くクラスメイトたち


(竹取さんみたいに控えてばかりでは、いつまでも話のネタにされ続けますわ。むしろ、それくらい普通にしてしまえば良いんですわ)


梨香の対処法が正解なのか?は分からないが、亜沙美の意思が介入する隙も無く旅行に行くことが決まる。果たして、3人のゴールデンウィークはどうなるのか?




続く

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