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第75話 ロミータ・アナメル

【亜沙美たちのクラス】

休憩時間が来る度にクラスメイトは【ロミータ・アナメル】の所に集まっていた。海外から来た転校生に興味津々なのだろう


更に彼女が日本人の様に日本語がペラペラなので、コミニュケーションが取りやすいのも理由だった。そのクラス以外でも、彼女の事が噂になっているようだ


「り〜か〜…たーすけ〜てっ!」


「ヽ(`Д´#)ノ こらー!!ひとりを囲んじゃ駄目です!って亜沙美さんの時にも言いましたわよ!散ってください!」


ロミータの従姉妹でありクラス委員長の梨香が、取り囲んでくるクラスメイトから彼女を守っていた


「久しぶりの日本はどう?」

「英語も喋れるの?」

「好きな食べ物は何?」

「どんな男がタイプなの?」


「えっと…好きな食べ物は…ハンバーガーですっ。後はその…イッキにたくさん喋られると…理解が追いつきませんっ…」


クラスメイトに質問責めになっているロミータを、亜沙美は離れた位置から見守っていた

引き籠もりだった亜沙美に見知らぬ相手…しかも、いくら日本語がペラペラであっても外国人に話し掛ける勇気など無かった


加えてロミータを中心に数人のクラスメイトが集まる場に、自分から入って行くことも出来るハズがなかった




【放課後】

「ねぇ、ロミー。ティータイムしない?」


「放課後にティータイムっ?」


学校から開放されたロミータは、従姉妹の梨香に手を引かれそそくさと学校を後にした。ソコへ亜沙美と太一が加わり、梨香の提案で喫茶店に行くことにした




【喫茶店】

「ダージリンと…ハンバーガーでっ…」


ロミータは、かなり疲れた顔をしていた。それもそのハズで、休憩時間が来る度にクラスメイトが取っかえ引っ変えアレやコレやと質問に来られていたからだ


梨香が防波堤のようにガードしてくれたものの…外国人の転校生など、この高校始まって以来のビックイベントだったから、他のクラスからも彼女をひと目見に集まる野次馬が彼女たちのクラスに押し寄せていた


「た、大変だったね…えと…ロミータちゃん。あの…私は亜沙美。私も少し前に…今日のロミータちゃん程じゃないけど、群がられて大変な目に会ったから少し分かるよ。あはは…」


今から2月ほど前、不登校ギミだった亜沙美が久しぶりに登校して一時かなりの話題になっていたから、亜沙美には今日のロミータの精神的疲労はよく分かったのだ


「亜沙美?……梨香の友達なのっ?」


今日の自分と近い目にあった事がある。と言う亜沙美に興味を持ったロミータ


「えぇ。亜沙美ちゃんは学校サボってたんです。久しぶりに登校した時にね…大丈夫だったロミー?」


どうやら梨香とロミータの仲はかなり深いようで、梨香は「ロミー」の愛称で呼んでいるし、ロミータは梨香と話している時は、とても嬉しそうな笑顔をしていた


その後、梨香の親戚である太一も紹介された。が、ロミータは彼に対して警戒が強い感じに見える


「あのね…2人とも宜しくねっ…」


基本ロミータは梨香以外に対しては警戒心が強い感じがしていた。けど梨香と仲の良い2人(亜沙美と太一)だから仲良くなろう!という事なのだろうか?




【帰り道】

「それじゃ俺たちはここで失礼するよ」

「また明日ね。梨香ちゃん、ロミータちゃん」


ロミータは梨香の家にホームステイするらしい。亜沙美と太一は違う街に住んでいるので、途中で2人ずつに別れて帰ることになる


「あ、あのっ!亜沙美も、明日…学校で助けてねっ!」


今日1日クラスメイトに揉みくちゃにされたロミータは、亜沙美に自分と近いものを感じたのか?単に梨香1人では防波堤として足りないから亜沙美にも協力して欲しいのか?

その真意は分からないが、何とか亜沙美とも仲良くなりたそうな雰囲気を出していた



「太一ってさ梨香ちゃんの親戚なんでしょ?なんかロミータちゃん見てたら太一と初対面なの?って感じに見えたけど?」


「小学校に入るまでは梨香の家にホームステイしてたんだけど、小学の6年間親の仕事の都合でアパート借りて別の街に住んでたからな…

小学生以下の時に数回は会っているらしいんだけどな。正直あんま覚えてないんだ」


「なるほどね…だから初対面みたいな空気だったんだ。それにしても…ロミータちゃん可愛いね♪本当にお人形さんみたいだよね」


亜沙美は新しい友達が出来そうな予感を感じていたのだが…亜沙美にとってロミータは、単に友人関係だけでは終わらない間柄になる事など、この時はまだ知る由もなかった


それよりも亜沙美は、今夜のVTuberとしての活動で、何のゲームを配信しようか?悩んでいた




続く

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