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第88話 ロミータ強襲

【夏休みの数日前の木曜日】

太一から、もう高校生なんだから男女関係というものを少しは意識した方が良い!と教えられた亜沙美だったが…今までの彼女の人生の中には、ソレをちゃんと吟味する為の土台になる経験がゴッソリと不足していた


「ε٩(๑>ω<)۶з 考えても分かんないよ!」


結局のところ、考えても頭が痛くなるだけで答えの出てこない日々だった。学校では梨香と少し距離が空いてしまった感じがしていた


「やほっ!亜沙美。今日は良い天気ねっ!」


反対にロミータの方は、気持ちが悪いくらいに陽気に話し掛けてくれていた。ロミータが梨香を慕っている事を知っている亜沙美には…家のスペアキーの件で梨香を動揺させた自分に、どうしてそこまで好意的に接してくれているのか分からない。それがいっそう亜沙美を困惑させた



【Soul Buster配信中】

「よっしゃー!初めて3連勝したよぉ♪」


✱「おめっとー」

✱「でも負け越してるけどな」

✱「上手くなってるよ」

✱「初めて勝ち越ししたら記念にアミー水ください」


「ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!なんで私が勝ち越しした記念に、私が視聴者(アミーゴ)にプレゼントする側になんのさ!!」


考えても男女関係というものに対してコレっ!といった答えが出なかったので、アレから対戦ゲームやレースゲームなど視聴者参加型の配信をして「ギャーギャー」騒ぎながら変に考え込まないでよい配信をしてストレス発散していた亜沙美



今から1時間ほど前の…

【立華家の晩ご飯】

「ご馳走様でした…」


「はい、お粗末さま…」


晩ご飯を食べ終えた梨香は、見るからに元気なく自室へ戻って行った。不安そうに背中を見送る立華パパ


「ロミータに任せてくださいっ!」


梨香を追いかけるように2階に上がっていくロミータ。「そういう時期なんですよ」と不安そうにしている立華パパに優しい言葉をかける家政婦の佐藤さん



【梨香の部屋】

「ん?ロミー…どうかしましたか?」


梨香が自分の部屋に入ってから、5分以上後に彼女の部屋に入ったロミータだが…梨香は制服のままで何もせずに「ボー」っとしていた


「梨香…まだ亜沙美たちの事を気にしているのっ!?」


「うっ!…どうなんでしょうか?私もよく分からないんです…」


学校から南東の方向、立華家からは東の方向にある大型ショッピングモールで、亜沙美が太一に家のスペアキーを嬉しそうに渡している顔を見てしまった梨香。その時の動揺から彼女はまだ立ち直っていないようだ


(梨香お姉ちゃん…そんなに太一の事が?…それに、ロミーが1週間側に居ても癒せないんだ…)


ロミータは彼女なりに梨香を元気にしようとこの1週間、彼女に色々と気を使ってきたのだが…梨香は変わらなかった。自分では梨香の癒しにならない!その事がロミータを傷付けていた


「梨香…もう少ししたらお風呂呼びに来ます…」


梨香に対して穏やかな顔でそう言ったロミータ。向きを変えて部屋から出る時の彼女の顔は全くの別物になっていた

ロミータは自室に戻るとパソコンを起動し、何やら準備を始めていた


「ふっふっふ…魅せてもらいましょうか?亜沙美の格闘ゲームでの性能とやらを!」


最初ロミータは、梨香を迷わせている原因は太一だと考えていたが…この1週間、学校で観察していて気が付いたのは、亜沙美が3人の中心に動いている事だった。なので彼女は、亜沙美を知ることに決めたようだ




【亜沙美の部屋】

2日前はクイズゲーム。昨日はレースゲーム。そして今日はお気に入りのゲームのひとつ【ソウルバスター】で視聴者(アミーゴ)たちと賑やかに対戦中である


「対ありでした〜♪さーて次の対戦者は……【ロミー】さんが次の相手…ですね。よろしくお願いします…」

(Σ(゜д゜;)えっ!?ロミーってもしかしたら…ロミータちゃん?うそ、何で?)


✱「おい…もしかして…」

✱「ロミーちゃんて登録者30万人超えてるイングランド人の?」

✱「マジか?」

✱「どうして駆け出しのアミーちゃんの所に?」

✱「本物か?」

✱「ナリキリさんじゃねーの?」


梨香の事で亜沙美に対して強い想いを抱いているロミータは、遂に亜沙美に宣戦布告をする為に自分のアカウト名で、彼女の配信に参加してきた。そんなロミータの目的は?

ついでに亜沙美との格闘ゲームの勝敗は?




続く

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