【翌日の校舎裏】
ロミータは昨夜、採水したアミー水を入れたボトル缶を持って服部と向かい合っていた
「はい、これが約束の物よ。アンタの事だから、亜沙美の昨夜の配信を見てたんでしょうから知ってるんでしょ?」
校舎の中やグラウンド、何処からも死角になっている場所にロミータを呼び出した服部は、ロミータが差し出した300ミリリットルのボトル缶を受け取った
「( *¯ ꒳¯*)クンクン…ふむ、確かにアレの匂いがするでござる。亜沙美殿の排水と見て間違いないようだ♡…ところでロミータ殿。今朝はいつもと髪型が違うようでござるな?」
「えっ!?あぁ、コレ?今朝はいつもの髪型に上手く纏(まと)まらなくてね。応急処置でこの髪型にしたんだけど…亜沙美が褒めてくれたから、今後はこの髪型でいくつもりよ」
いつもと違う髪型に抜け目なく気が付き自然に褒められたので、ロミータは不覚にも喜んでしまった
「おや?顔が赤いでござるな?」
「ちょ…そんな事はどうでも良いのよっ!それよりも、貴重なアミー水を渡したんだから約束は守られるんでしょうね?」
半分照れ隠しだったが、約束が反故にされないか?心配して質問したロミータ
「モチロンでござる。我らは社会の闇に生きる者。約束事を違(たが)えていては生きては行けぬでござるよ」
「そう?じゃあ、ロミーは先に亜沙美の元に戻っているから早めに来てよね!」
少し離れた場所で報告を1人待っている亜沙美のことが気がかりだったロミータは、足早に彼女の元へ戻って行った
……………………………………………
「ごめん亜沙美。お待たせッ!」
「うぅん。で、どうだったのぉ?」
「服部さんの話からすると、上手くまとまったらしいよ。スグに来るから少し待ってて欲しいんだって」
「はぁ、良かったよぉ…」
亜沙美を校舎裏に残し、空にした300ccのコーヒー缶に入れた【アミー水】を服部に手渡して戻ってきたロミータ
数分待っていると…校舎の方から太一と今和泉がやって来るのが見えた。その後ろに…あの日、亜沙美を囲って脅迫した女子生徒5人と梨香も一緒に来ている
「ちょっと浅宮くん!今回のことで亜沙美に凄く迷惑が掛かったんだけど…分かっているのっ?」
「ごめんな亜沙美。俺もまさか、こんな事になるなんて思わなくて…ロミータちゃんもごめんね」
元凶となった今和泉を亜沙美に紹介した太一が、深々と亜沙美に頭を下げた。それに合わせて今和泉も謝罪した
「申し訳なかったです!ですが、彼女たちには凄く反省してもらったし、それに…」
「ごめんなさいね竹取さん。私、今和泉くんの事が好き過ぎて…必要以上に熱くなって貴女に八つ当たりしてしまいました。本当にごめんなさい!」
亜沙美を囲った女子生徒のリーダー格の女が前に出て、亜沙美に深々と頭を下げると残りの4人も合わせるように頭を下げた
「それで今和泉さん。どんな感じにまとまったのか、ロミーや亜沙美にちゃんと説明してもらえるんでしょうね?」
ロミータが1歩踏み出し、どういう話になったのか?説明を要求した
「いやね。そんなに僕のことを好きだ!って言うのなら、僕と付き合って楽しい高校生活を送らせてくれよ!と頼んだのさ」
「はい…その、今和泉くんとお付き合いさせてもらう事になりました…あ!あの…今後、竹取さんに絡む女子生徒が居たら私が責任を持って躾(しつけ)ますので…安心して高校生活を楽しんでくださいね」
「( °◽︎° ;)えっ!?…ええー!?」
話をまとめると…亜沙美を脅した女子生徒のリーダー格の女が彼女として、今和泉と付き合うことになったようだ。迷惑を掛けた詫びに校内で亜沙美に絡もうとする女子生徒は、彼女が責任を持ってシメてくれるらしい
「それじゃ私は今から今和泉くんと、デートに出掛けますので失礼しますね。何か困ったことがあったら、遠慮なく言ってくださいねー♪」
「本当に迷惑を掛けて申し訳なかったっす!僕も協力するから何かあったら遠慮なく言ってくださいね!」
そう言うと今和泉と女子生徒たちは、学校の外へと消えて行った
「やれやれ…ハタ迷惑な人たちですわね。それにしても太一くん。もう亜沙美ちゃんに迷惑を掛けるような事は迂闊にしないでよね!」
「うん、分かったよ。自信が無い時は梨香に相談してから決めることにするよ!」
「はい!それが良いですわ!」
「ふーん、何だかね…それで梨香たちは今からどうするのよ?」
取り敢えず亜沙美への脅威が消え去ったことを理解したロミータは、残った梨香と太一に今日これからの予定を聞いた
「えっと…俺は今から久しぶりに空手の部活に顔を出すんだ。俺は学校卒業したら親の空手道場を継ぐことになるから、あんまりサボってばかりもいられないからね」
「そうなんだ…前に私がナンパされた時も、太一が助けてくれたもんね。頑張ってね太一」
以前プールでナンパされた時に、太一に助けてもらった事を思い出した亜沙美
「ふーん…太一でも男らしい所はあるのね?良かったじゃない梨香?逞しい王子様が彼氏になってさ!」
「(´ ˘ `)えへへ。太一くんってイザって時には男らしいから、凄くカッコイイんですのよ♪」
そう言うと梨香と太一は体育館に向かった。梨香は太一が部活が終わるまで付き合って、それから晩ご飯を一緒に食べに行くようだ
「じゃあロミーたちも帰ろうか亜沙美?」
「うん、そうだね…何だか…カップルの幸せそうな姿を、魅せつけられたみたいになっちゃったねぇ…」
そうなのである。今回の件で亜沙美は、2組のカップルが仲良くなるキッカケの中心人物にならされた感じだ
「あの子も梨香ちゃんも彼氏が出来て羨ましいなぁ…私、当て馬にされただけだね!って気分なんだけどぉ…」
「なによ!亜沙美にはロミーが居るじゃない!さぁロミーたちも帰りましょっ!」
ロミータは梨香たちに負けないように!と少し大胆に出て、亜沙美の腕を取り並んで帰ることにした
「ねぇ亜沙美!」
「なぁに?」
「今夜も一緒にお風呂入ろうね?」
「良いけど…エッチぃ事しない?」
「…………(*¯ ꒳¯*)ムフフ♪」
「ちょっとぉ!返事は?どうなのぉ?するの?またエッチぃ事してくるのぉ!?」
今夜も亜沙美の家に泊まるロミータ。今夜こそ亜沙美は、静かに寝させてもらえるのだろうか?
続く