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第152話 変化していく心境

【亜沙美の部屋】

「………それじゃ今夜も遊びに来てくれてありがとうございました!また明日ね〜お休みなさい。乙アミーゴぉ♪」


✱「乙アミー」

✱「楽しかったよ」

✱「明日〜」

✱「お休み〜」



「ふぅ…今夜も無事終わったぁ……」


何事も無く配信を終えた亜沙美だが…彼女の顔は満足している感じではなかった


「どうしたの亜沙美?そんな真剣な顔してさ…」


「んーとね…やっぱりなのは分かってはいたんだけどさぁ…私ってソロ配信だと同接数が少ないなぁ…って」


亜沙美は自分1人だけで配信した時は、同接数や視聴数が「ガクン」と低下している事に気が付いたようだ


「亜沙美も配信者としての自覚が出てきたみたいで良かったわ。でもね、それは当然の事なのよ」


「私ひとりの配信じゃ面白くない。って事なのかなぁ?」


「ヾノ・ω・`)イヤイヤ。そうじゃなくってさ、個人勢はメッチャ人気の人以外は案件が来ないのが普通だしさ…コラボ相手もそんなに居ないし、垢BANされるスレスレを責めた内容とかでもないと、個人勢の同接数はそんなもんだよ?…亜沙美はまだ見られてる方なんだって…」


亜沙美は配信者デビューしてからまだ5ヶ月目。企業と契約もしていなくて、エッチぃ内容を責めないスタイルの亜沙美の配信では、視聴者数を稼ぐのは難しい話なのだ



「ロミータちゃんとオフコラボ配信した日とか【アミー水】が絡んだ時とか、ホラー系ゲームで泣き喚いた時じゃないと伸びないんだよぉ…」


亜沙美は毎夜21時から欠かすことなく配信を続けてはいるのだが…それだけでは数字が伸びなくて悩んでいた


「…とは言ってもねぇ…個人勢でゲーム配信をメインでやってる人は、そんなもんなんだよ?…ロミーが半契約している企業に入ってみる?」


「( °◽︎° ;)えっ!?私でも入れるの?」


「入れるよ。でもさ【オロライブ】みたいな超大手じゃないから、個人勢よりかは少しマシになる程度だと思った方が良いわよ?」


「……お願いします!」


「……じゃあ…まずはロミーと同じ半契約社員で話しといてあげるわ。それとね…来週末からしばらく…」




【10月中旬の学校】

あれから1ヶ月後。ロミータが半契約しているVTuber企業に、亜沙美をロミータと同じ状態での契約を希望した日から、ロミータは亜沙美の家に泊まりに来なかった


「みんなぁ、おはよぉございます…」


✱「おはよう竹取さん」

✱「今日は遅刻しなかったね」

✱「おはよう亜沙美ちゃん」

✱「おはよう亜沙美」


学校では、あの日から亜沙美に嫌な形で絡んでくる女子生徒は居なくなった。今でも亜沙美に好意を寄せる者は居るようだが…常にロミータがベタベタしているので、声を掛ける隙が無いという理由もあった


「ガラガラ…梨香!今日なんだけどさ…部活が早く終われるから…」


「本当なの太一君?」


代わりに女子生徒の間では、堂々と付き合い始めた【梨香と太一】と【今和泉と女子生徒】の2組のカップルが話題になっていた




【梨香の家】

「ピンポーン♪…浅宮です。お邪魔します!」


カップルとして仲を深めている太一が、梨香の家に泊まりに来た。明日は土曜日で授業も無い日なので、梨香の家に泊まりに来たようだ


「いらっしゃい太一君。待ってたわ♪」


「あ、梨香。これを…」


「浅宮くん。そんな気を遣わなくてイイんだよ。気にせず気軽に来てくれたまへ」


梨香の父親は数年前に奥さんを事故で亡くしており、今は梨香に子供が出来て孫の顔を見る日がもっぱらの楽しみになっている


「高一から異性が泊まりに来るのを許してたら…梨香が妊娠するかも知れませんよ?」


「わっはっは!それは望むところだ。太一君、梨香が他の男に興味を持ってしまう前に出来ちゃった婚しても、私は一切反対しないからね!」


「パパったら何言ってますの!?」


孫が欲しい梨香の父親は、むしろ梨香たちが間違いを起こす事を望んでいるようだ


「ロミータも良い相手が見つかったら、何時でも紹介してくれよ。パパは応援するヨ!」


ロミータがあれから1ヶ月間、亜沙美の家に泊まりに行かなかったのは…仕事の都合でロミータの父親が立華家に泊まっていたからだ

父親が居るのに自分(ロミータ)が立華家に居ないのもどうか?と思い、ロミータは立華家に毎日帰っていたようだ




【ロミータの部屋】

「ロミー。今夜の配信は何時からしますの?」


「20時から1時間するわよ?」


「じゃあ太一君。私たちは外に行きません?」


「そうだね…カラオケでも行く?」


「ごめんね。気を遣わせちゃって…」



ロミータは半契約して35万のチャンネル登録者を誇る配信者なので、配信回数を下げる訳にもいかないのだが…居候している立場なので、配信するのに周りに気を遣わせていた


「う〜ん…太一が頻繁に遊びに来るようになってから、ロミーが居ることで梨香に気を遣わせちゃってるわね…」


……………………………………………


「ロミータちゃんが私と同居してくれたら…私も色々と助かるから…ロミータちゃんが良かったら一緒に住んでも良いんだよぉ…」


「今夜からしばらく泊まりに来れない」

と告げた日の夜。しばらく考えた亜沙美は、ロミータさえ良ければ同居してもOKと言った。もちろんエッチぃのは控えてもらう。のが条件ではあるが…


「ロミーがこの家に居なかったら…梨香も太一を呼びやすいよね?梨香のパパさんも、その方が喜ぶだろうしなぁ…」


ロミータは考えていた

彼女の父親は、また明日から転勤に合わせてロミータの母親が居るアパートに戻っていく。だから梨香と亜沙美と、何より自分の為にも亜沙美の家に同居しようか?と本気で考え始めていた




【亜沙美の部屋】

20:30

「個人勢は普通にゲーム配信してても数字は伸びにくいんだよ」

ロミータの言葉を思い出していた亜沙美は、ソロ配信で唯一高成績を出せているホラー系ゲームの配信をしようと考えていた


【9番GATE】

「間違い探し系だけど、ホラー要素も多くて絶叫が出やすくて閲覧数が稼ぎやすいゲームか…出たばかりだし、旬のうちにやっておくかなぁ…」


配信者として閲覧数を伸ばすには、新しく出たゲームは熱が冷める前にプレイして、流行りに乗っかっておくのは大事なのだ

スマホを見て話題の最新ゲームを漁っていた亜沙美だったのだが…


「他に何かあるかな……んっ!?メール?…オリビア・ショーツさん?………誰だっけ?」


亜沙美のスマホにショートメールが来たのだが…その名前に全く覚えがない亜沙美。オリビアという女性は何者なのか?亜沙美に何の用なのだろうか?




続く

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