【亜沙美たちの教室】
土曜日は午前中で授業が終わった
「それじゃロミー、話がまとまったら電話してください。手配は私がしておきますから…それでは亜沙美ちゃん、さようなら」
「うん、梨香ちゃん。さようなら…」
梨香が何やらロミータに伝えたあと亜沙美の方にやって来て、挨拶をして教室を出ていった。それと入れ替わる様にロミータが亜沙美に話し掛けた
「ねぇ亜沙美……ん!?どうかしたの?浮かない顔してない?」
「う、うん。ちょっとロミータちゃんに聞きたい事があってぇ…」
何やら亜沙美は悩み事があるようだ。亜沙美から相談話しが出来るのはロミータしか居ない。ロミータが教室を見渡すと、いつの間にか教室には亜沙美とロミータしか居なかった
土曜日なので午前中に授業が終わりなので、クラスメイトは足早に帰宅し寄り道でもするのだろう
「ちょっと見て欲しいんだけど…」
「( „❛ ֊ ❛„)んっ?…オリビア先輩じゃない!その人がどうかしたの?」
「うん…昨夜ね、私がいつもの配信をしようとしている時にこの人からメールが来たんだ。今度コラボ配信しませんか?…って。ロミータちゃんが契約している企業のVTuberさんだよね?」
「そうよ……あー!ほら、この前亜沙美がソロ配信の時は再生数が上がらないから、ロミーが半契約している企業に入れないかな?って言ってたじゃない?その返事をする気なんじゃない?…もしくは亜沙美のVTuberとしての力量を計るつもりかもね」
亜沙美がロミータに見せたスマホの画面には【VTuber アメリカン・ショーツ】のアバターが映されていた。彼女はロミータが半契約している企業の最古参VTuberらしい
「ふえぇ…その人とコラボして「貴女の実力じゃ契約するなんて論外ね」…とか言われちゃったらどうしよう?」
半年前まで不登校していたコミュ障の亜沙美には、見知らぬ相手でもありVTuber界で上位の人といきなりコラボするなんて、胃が締め付けられるほどのプレッシャーを感じているようだ
「そうね…ロミーが思うに亜沙美ならオリビアさんに否定されるなんて事は、まぁ有り得ないと思うわよ。かなり寛容的な人だし…でも芯の強い人だから根性の曲がった性格してる人は嫌う傾向にはあるかな?」
「:(´◦ω◦`):ふえぇ、否定されたらどうしよう?どうしたら良い?ねぇロミータちゃんってばぁ!」
「そ、そうね…じゃあさ今日はロミーに付き合ってくれない?ロミーからも話があるから、心構えを伝えるついでにロミーの話も聞いてよ?」
「うん、分かった!」
【スーパー銭湯】
「えっと…ロミータちゃんの話ってなぁに?」
今日は土曜日で、ロミータの父親も再び転勤の為に母親が待っているアパートに戻っていた。なので今夜は1ヶ月振りに亜沙美の家に泊まる予定なのだが…
ロミータは亜沙美と1度、彼女に家に帰り荷物を置くと入浴に必要な物を用意して、スーパー銭湯に来ていた
「あのね亜沙美…ロミーを亜沙美の家にホームステイさせてもらえないかしら?」
「Σ(゜д゜;)えっ!?…それって…ずっと2人で一緒に住む。っていうこと?」
ロミータと知り合って半年弱、何度も彼女を家に泊めてたくさん話をしてきた中で「同居しても良いよ」という話は何回か出てはいたが…いざ改めて頼まれると少し驚いた亜沙美
「あ、あのね…亜沙美にエッチぃ事をしたいのが目的って訳じゃなくてね…いえ、しないとは断言出来ないんだけどね…」
「Σ(ㅇㅁㅇ;)えっ!?出来ないんだ…」
「ほら、梨香が太一と付き合い始めたじゃない?それで太一が梨香の家によく来るようになったのよ。だから、ロミーが梨香の家にホームステイしてると梨香に気を遣わせちゃってるから申し訳ないなって…それに配信者が居ると家の人にも気を遣わせちゃうから…」
「そっか…うん、そうだよね…」
「だからって亜沙美にロミーを住まわせる義務とかは無いんだけど…父親と一緒に住む選択肢もあるんだけど…どうせならロミーは亜沙美と一緒に生活したいの…駄目かな?」
亜沙美は考えた。正直に言ってロミータの事は好きなのだ。1番信頼している友人なのだから。ただ、告白されてもいるし…スキンシップも多い彼女なので多少の心配は有るのだが…
「良いよロミータちゃん。じゃあ一緒に住もうか♪」
「良いの?…亜沙美、大好きよ♪」
すんなりとOKの返事がもらえて嬉しいロミータは、無意識に亜沙美に抱きついた!
「ちょ、ちょっとロミータちゃん?他のお客さんも見てるから…ね?」
「ん〜、好き好き亜沙美、大好きよ!」
日本人なら普通、大衆浴場であるスーパー銭湯の中とかの人の目に触れる場所では、恥ずかしくてスキンシップとか出来ない人の方が多いのだが…外国人だからなのか?ロミータの性格なのか?亜沙美は周りのお客さんの視線を集めながら、ロミータから愛情表現のハグを全裸のままされていた
「(// ^//)だからみんなに見られてるんだってばぁ…それに、熱いしぃ…」
「もちろん住まわせてもらうからには、食費や光熱費も出させてもらうわよ。遠慮なんかしないでよ、ロミーはけっこう稼いでいるからねっ♪」
彼女はチャンネル登録者35万人超えの配信者だ。企業にも半契約していて僅かながらもCMコラボもしているので、一般的サラリーマン並の収入があるので金銭面で亜沙美に迷惑はかけないで済む
こうしてロミータが、亜沙美の家で同棲する事が決まった。2人の共同生活には何が待ち受けているのだろうか?
続く