「「「——うおぉぉぉぉぉ!!」」」
カルメリア中の各所から、歓喜の鬨の声が響き渡る
ソフィアがベラリオを断頭し、目撃していたアルムによって伝えられた結末に誰もが喝采を挙げ、逆に帝国軍は打ちひしがれていた。
そんな中、一つの金属が擦れる足音がソフィアの前に現れた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!!」
「おーマスター、随分とお疲れのようだな」
「ア、アイリス……?」
力を使い果たし、倒れそうになるソフィアを帝国軍服を着たアイリスが支える。
顔を向けるだけで精一杯。満身創痍なその姿にアイリスは思わず笑っていた。
「にしても、マスターはいつもズタボロだな。人間なんだから無茶してたらすぐに死ぬぞ」
「無茶……するくらいで……明日を手に入れられるなら……いくらでも私は無茶するわ……。それよりも……アイリスの方は……」
「オレは問題ないよ。力は使い切ったけど、アルゴスは殺したし伯爵もちゃんと連れてきたぞ」
アイリスが襟だけになったサルードをソフィアの前に投げ捨てる。
「生きて……いるの……?」
「当然。機獣ならまだしも、コイツをオレの手で壊すわけにはいかないだろ」
「どうして……?」
横たわるサルードを見て、ソフィアが小さく首を傾げた。
「復讐ってのは自分の手で成し遂げてこそだからな。オレの復讐はオレだけのモンみたいに、マスターとついでに
「アイリス……」
苦笑したソフィアが、力を抜いてその身体をアイリスに預ける。
「ほんと……変なところで律儀なんだから……」
重みが増したソフィアの体をしっかりとソフィアは支えた。
「んなことより、喜びなマスター。この戦いはお前たちの勝利だ。良かったな、これでマスターの復讐が一つ達成だ」
「アナタのおかげよアイリス……。でも、これで終わりじゃないわ……私の最期まで、付き合ってもらうんだから」
「あぁ分かってるよ。あの日から、マスターはオレのモンだからな。誰にもその役目は譲らないよ」
「そっか……それなら良かった、かな——」
「おっと」
ほっと安心して気が途切れたのか、ソフィアが意識を失う。
アイリスは右腕でそっと体を支え、ほんの一瞬だけソフィアの唇にキスを落とす。そして僅かながらに力を補充すると左腕を形成。
ソフィアを横に抱き抱え、勝鬨を上げるアステリアたちの方へと歩いていくのだった。
「——にしても、レストアーデの言ってたお姫様抱っこ……だったか? 実際にやったのはマスターが初めてだが、これで合ってるのか?」
『レストアーデ』と『アイリス』を繋ぐ