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第13話

 うぅ、旅人様にまた寝顔を見られてすごく恥ずかしいです/// とりあえず、頑張って平静を装って……無理です、恥ずかしいです、死にます……


「とりあえず、いいか?」


「あっ、はいっ」


「とりあえず、ギルドで聞き込みをしてきたが、どうやら迷いの森と呼ばれる帝国から公国に渡る巨大な森が存在するらしい……俺たちはそこを目指して帝国から公国への国境を無理やり抜けようとおもう」


「えっと、大丈夫なのでしょうか?帝国にはいったわけですし、もう普通に進んでもいいのでは?」


「いや、それはないな……まぁ、確実というわけではないが、王国側から指名手配をかけることもできないわけではない……姫だということは隠して危険な犯罪者として連絡をしてるからだろうな……その情報が回れば帝国兵に狙われる可能性もある……そのリスクを避けるならとにかく人目は避けるべきだ」


「うぅ、そうなんですね……わ、わかりました……」


「迷いの森は帝国の北東にあるらしい……とりあえず、目的地は迷いの森、その道中の村や街で物資を補給しつつ進もう」


「わかりました。お願いしますっ」


 私達はそのあと、この街である程度の準備をした後、北東にあるという迷いの森と呼ばれる場所に向かって馬車を走らせることになりました……あっ、もちろんしっかり一泊はしました。お金払ってるのに泊まらないのはもったいないですからね……


「あの、森まではどのぐらいかかるんでしょうか?」


「そうだなぁ……聞いた話だと大体、この街から向かった場合は1週間ほどだろうな……その間に、村が2、3箇所あるだけだ……道中は野営も必要になるな」


「そうですか……」


「まぁ、今の移動は気楽にすればいい……問題は森のほうだからな」


「迷いの森ってことは、ずっとおなじ場所をさまようとかそんなのでしょうか?」


「そうだな……迷いの森といわれる理由としては、とにかく広大という部分も影響してる……ほとんど見た目が変わらない森の中、しかも魔物も多く生息するため、道に迷い外に出れずに死ぬ人間も多いらしい」


「それは怖いんですけど……」


「まぁ、十分準備は整えて挑もう……森のすぐ傍にも村があるらしいからな、そこで準備を整えてから森を突破を目指す……」


「わかりました!」



 ◇



 あれから、5日ほど、途中で村にも寄りながら私達は順調に森に向かっていました……いえ、まぁ、道中に魔物や盗賊は出てきましたが……旅人様が強すぎてなかったも同然でした……


「私も最近慣れてきちゃいましたぁ……」


「なにがだ?」


「いえ、魔物が死んだり、盗賊が殺されても気持ち悪くなくなったというか……女の子としてそれでいいのかと思いますが……」


「まぁ、案外人間は慣れるものだからな……ただ、死に慣れてきたとはいえ、自分で殺そうとかは思うなよ?」


「そ、それは思わないですよっ!流石に殺しは怖いです……」


「そのほうがいい……」


「はい……あれ?旅人様、あっちの遠くの方にあるのってもしかして森ですか?」


「ん?んーあぁ、そうだな……このあたりの土地は平地だからなぁ……まだ遠いけど森が見えてきたな」


「これならすぐ着きますねっ!」


「まぁ、予定ではあと2日ほどは移動するけどな」


「え?でもすぐですよ??」


「確かに森ならすぐだ、今日中には着くだろうけど、森への拠点とする村まではまだ2日の距離だな」


「あっ、そっか……このまま森に入るのは無理ですもんね」


「あぁ、ついでに馬車もその村までだな……」


「え?」


「当然だろう?整備もされてない森の中を馬車で通れるわけがないだろ?」


「そ、それは、確かに……あれ、そうすると私どうなるんでしょう……」


 森の中で力尽き、倒れ、そして魔物に美味しくいただかれる私の姿が容易に想像できました……このままでは死んでしまいますっ


「いや、馬車は置いていくが、馬は1頭連れてくぞ」


「え?」


「一応ぎりぎり馬1頭でなら移動はできるらしいからな……まぁ、状況によっては馬を逃がすことになるかもしれないが……」


「あの、そうするとお馬さんはどうなるんでしょう?」


「1頭は村で飼ってもらう、連れてく1頭は逃がすとなれば、最悪魔物にくわれるな」


「そ、それはダメですっ!それなら私、がんばって歩きますからっ!お馬さんを危ない目にあわせないでくださいっ」


「お前、自分の体力を理解してるよな?足がない状態で進むとなると相当しんどいぞ?」


「だ、だだだ、大丈夫ですっ!頑張りますっ!」


「はぁ、わかった……馬は置いていこう……ただ、しっかり指示には従えよ?あと、無理はしすぎるな、疲れたらすぐ休憩をとる、森の中は普通よりずっと体力を消耗するからな」


「わ、わかりました、お願いします」


 正直不安ですが、しかたありません……私に懐いてくれたお馬さんを犠牲にするなんてできない……がんばって歩こうっ!大丈夫、私だって、ここまでの旅で少しは体力がついたっ!はず……



 さて、それから2日……野営を挟みつつ移動すると、やっと私達は目的地である、森の傍にあるカノト村と呼ばれる村に到着しました。


「んーーー!ふぁっ~馬車の移動は身体が痛くなりますねぇ……」


「アンナっ!」


「はっ、はいっ!」


「話はついた、村にはいるぞ」


「わ、わかりましたっ」


 村の中を進んでいくと、村の人がこっちをじろじろ見てきます……外から来る人は滅多にいないのでしょうか?とりあえず……うぅ、怖い……あんまりみないでぇえ


 というわけで、すぐさま旅人様の後ろに隠れてついてきます……人目は無理、緊張します……怖いです……関係ないのに責められてる気がします……


「あんたらはこの家を使ってくれ」


「あぁ、ありがとう助かる」


 村人に案内されて空き家に急いで入ります……失礼だとは思いますが、人目が怖いのでさっさと隠れます……


「すまない、あの子は人見知りが激しくてな…」


「まぁ、かまわんさ……とりあえず、問題はおこさんようにたのむぞ」


「えぇ、もちろんです」


 さて、村人さんがいなくなりました……いなくなりましたよね?いなくなったはずです……


「さて、どうにか村に滞在できたし良かったな」


「そうですね……」


「とりあえず、食事の準備でもするか……」


「はい!えっと、その……ずっと旅人様にしてもらってますし、た、たまには私が料理しますっ」


「……出来るのか?王室、そのうえ軟禁されてたお前が出来るとおもえないが」


「そ、それはっ……で、できますっ!見ててくださいっ」


「まぁ、わかった……そこまでいうなら」


 さて、はっきり言いましょう……前も言ったような気がしますが、私は前世では料理をしていました!だから知識はありますっ!ですがっ、ですがっ!


「重い……」


 鍋が、重い……水を淹れただけで重くてしょうがない、腕がプルプルする……ふふふ…私の虚弱性がここに来て……ちょっと、ふぅふぅ……よし、どうにか鍋を置けました……次は包丁を持って野菜を切ります。


「あ、あぅうう……手がプルプルします……ちょ、硬い、野菜硬いです、ちがっ、私が力なさ過ぎて切れなっ」


「大丈夫か?」


「うぅ……旅人様ぁ……ダメでしたぁ、お、お料理は作り方わかるんです、わかるんですがぁ……ち、力が」


「まぁ、わかってた……とりあえず俺がやるから大人しくしとけ」


「はい……」


 悲しいかな、結局お料理はできず、旅人様が今日も作ってくれました……お料理は自信あっても、この虚弱体質ではどうしようもない……包丁すら重いなんて最悪です……


「ほら、できたぞ」


「あっ、ありがとうございます」


 あぁ、おいしい……うぅ、女子力負けてる……とにかく、もう少しどうにか力をつけないと……


 とりあえず、片付けも手伝いましたが、基本的に足手まといでした(泣



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