―――旅人side―――
さて……俺の持つ天啓は4つ……人類では最高位の数を持ち、そのうち2つが特別なスキルだ……その1つがスキルコピー……人には教えることのない天啓……これは最大で3つの天啓を真似て扱えるようになる……ただし、本来の天啓よりは効力は落ちる…知られたら妬まれるなり、利用しようとするアホが湧いたり、とにかく面倒なもの……
コピーしている天啓のうちひとつが水魔法……本来よりは弱くなるから、効果の低い天啓をコピーしてもほとんど意味がない……だから、ある国でも有数の魔法使いの天啓を覚えた……
(さて……いい一撃がはいりますよう……)
「おいっ!そろそろやばいぞっ!」
「……よし、準備完了……でかいのを行くぞっ!全員避難させろっ」
「っ、わかったっ!お前らでかいのが来るぞっ!逃げろっ!」
冒険者達が、フレイムワイバーンから離れていく……当然ながら、それを逃がそうとしないフレイムワイバーン……口を大きく開き、ブレスを吐こうとしてくる……
「やばいぞ!」
「どうすればいいっ!」
「まだかっ!?」
「大丈夫だっ!……さー決まれよ……《水霊の爆流》」
「グォッ!?」
さー撃ちだされた大魔法……天啓が高クラスの力がないとまず使えない……俺が使える切り札の一つ……あらゆるものを呑みこみ押し流す質量の暴力……
「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
ブレスを吐こうとしたフレイムワイバーンを呑みこむ……圧倒定な水の塊、呑まれればあがることもできずに水圧に潰される……
「うわぁ……すげぇ……」
さて、誰がつぶやいたか……誰もが呆然とその光景を見つめている……いやぁ、やらかした……ここが狭いこともあってより一層……あたりにあった木々もすべて流し、岸壁を削り、あたり一帯水浸しになり、すっかり広々とした空間になった……
「ふ、フレイムワイバーンはどうなったんだ?」
「そうだな、流石に死んだと信じたいが」
「と、とにかく確認するぞっ!あいつの死体を見るまで安心できねぇっ!」
ということで次々と冒険者たちが確認に動き出す……俺はといえば一気に魔力を消費したことで、流石に疲れて座り込む……
「はぁ、疲れた」
―――アンネレーゼside―――
「た、旅人様っ!」
「んーあぁ、お疲れ」
「だ、大丈夫ですか?とんでもない光景だったんですけど……」
あのおっきなワイバーンが水に呑まれて流される……あたりの木々もなにもっかも巻き込んで……これまで見てきた魔法が子供に見えるほどの圧倒的な大魔法……旅人様は一流の剣士なのに魔法も一流……すごすぎる…
「まぁ、俺の切り札だからなぁ……ただ、使うとこの通り、一気に魔力を失うからだるいんだよ」
「そ、そうなんですね……」
「あぁ、アンナぐらいの魔力量があれば楽なんだろうけどなぁ」
「ふぇ?えっと、私の魔力量だとあれ使えるんですか??」
「んーあぁ、使えるだろうなぁ……まぁ、水魔法の天啓がないと使えないけど」
「なるほどぉ……あっ!何時も水をくれましたけど、自分で出してたんですね」
「あぁ、水魔法が使えるからな」
「なるほどぉ」
つまり、私が毎日の用に飲んでる水は旅人様の水……旅人様、の、水……はぅっ///
「どうした?急に赤くなったが?」
「い、いえっ!な、なんでもないでしゅっ!」
「そうか……ん?」
「ふぇ?」
「フレイムワイバーンがいたぞぉおおおおおっ!!!」
どうやらフレイムワイバーンが見つかった見たいだが……あの様子だと……
「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
「う、そ……」
さて崖下から顔を出したのはフレイムワイバーン……
「どうやら、直ぐに崖下に流されたせいで、効果が最大限に発揮する前に逃げ出せたぽいな……」
「そんな、ど、どうすれば……」
「俺は、まだちょっと無理だな……」
「ブレスが来るぞっ!!!!」
全身ボロボロで、翼も折れたフレイムワイバーンが口に炎を貯める……ブレスが、くる……
「逃げろぉおおおおおおおおおお!!!」
(ダメ、間に合わないっ!?)
フレイムワイバーンがブレスを吐く……高温の炎が私達に向けて放たれた……
(ダメっ、どうにか、どうにか……どうすればいいのっ……このままじゃ、皆死んじゃうっ……旅人様が死ぬ……ダメ、「ダメッ!!!」
「アンナっ」
その瞬間、私達を炎が呑みこみました………
「……あ、れ?なに、が……」
「アンナ、お前……」
「ふぇ?なんで、炎がとまってる??」
「いや、炎を吸収してるような……」
「え?あの、これなんですか?」
「いや、アンナが使ったんだぞ、これ」
「ふぇ?」
「まぁ、アンナの3つ目の天啓か……」
「え?私の……あれ?3つ目?」
「あぁ、呪もあれも天啓だからな、一応……」
「なるほど……いや、え、これどうすればいいんですか?」
「お前の天啓なんだから自分で使いかたわかるだろ」
「えっと……あっ、なにか頭に言葉が浮かんできました」
「ほぅ、言ってみればいい」
「は、はいっ!えっと…《反射》」
その瞬間、透明な壁のようなものに防がれていた炎が弾きかえったようにフレイムワイバーンに向かっていきました……
「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!?」
「おー反射かぁ……すごいな、あれをはじき返したのか、しかも見た感じ威力があがってるか?すごいな」
「ふぇぇ……」
自分のブレスに呑まれてフレイムワイバーンは燃えて、そのまま崩れ落ち動かなくなりました。
「ふぇぇぇ!!!!??」
「うぉおおおおおおおおっ!すげぇえええええええええええ!!!」
「アンナさんすごいですよぉおおおおお!!!」
「アンナちゃん!あんな力隠してたのっ!?びっくりだよっ!!」
「え?え?えっと、わ、私、えっと、じ、自分でも、しらなくて、えっと……」
「え?今初めてしったの??うそ、ということは後天的な覚醒っ?」
「すごい、初めてみた」
周りにいろんな人がきて私はパニックです……旅人様は、笑ってるだけで助けてくれません……
「えっと、えっと……あうぅうう///」
そのあとも色んな人から声をかけられ、私はてんぱりつつも返事を返すのでした……あと、感激したのかもしれませんが、どさくさ紛れに抱き着いてきたマグナスさんはカウンターでラニィさんに殴り飛ばされて気絶したのでした……えっと、ご愁傷様です??
「お疲れ、予想外だったが、よくやった」
「旅人様……ふぇぇ、色々よくわかりませんが、よかったぁ……」
「あぁ、今回はマジやばかった、アンナのお手柄だな」
旅人様は私の頭に手を置くと、頭を撫でてくれました……撫でられるのは初めて、やばい、すっごい恥ずかしいけど、すっごく嬉しい////
「あ、ありがとう、ございましゅ////」
「おぅ」
そのあとしばらく撫でてもらってから、私達は再び出発のために準備をするのでした……新しい力、私はどうなってるんだろう??