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第51話

「ただいま」


「あっ、おかえりなさいっ!」


 次の日、私は大人しく宿屋で待っていると、お昼ごろになって旅人様が戻ってきました。


「どうでしたか?」


「あぁ、残念ながら入ることはできなかった」


「え、そうなんですか?一般開放はされてないんですか?」


「あぁ、図書館の使用は紹介状がいるらしい」


「紹介状……えっと、どうすればいいんですか?」


「あぁ、一応確認してきたが……紹介状を発行してくれる魔法使いを探す必要があるな……ただ、そこらの魔法使いじゃなく、研究機関に所属してる魔法使いしかダメらしい」


「えっ……け、研究者……」


「あぁ……ただ、俺らのことを考えればそこらの研究期間所属の魔法使いに頼むこともできないからな」


 研究者……私の魔法のことを知られたら研究素材にされる!?カペラが見つかってもやっぱり研究材料にされるっ!?こ、こわいっ、どうしようっ……


「た、旅人様ぁ……」


「あぁ、わかってる……とりあえず、そのあたりも考慮して信用できそうな人間を探してくる……悪いがこのまま宿屋での待機になるがいいか?」


「は、はいっ、もちろんですっ」


 旅人様にお願いするしかないのは心苦しいですが……ここは私にとって危険地帯……外にでるとか怖すぎて無理です……


 そのあとは、旅人様とご飯を食べてから、再び旅人様が外に情報集めにいくことになりました……私はといえば部屋にもどって、旅人様が戻るのを待つわけですが……


「暇、だなぁ……」


「きゅぃ」


 そう、暇なのだ……宿から出れない状態で部屋にずっといるのはとっても暇……本もないし、魔法の練習は実はここではしないように言われてるのです……周りに魔法使いが多いから、魔力を感じて気づかれる可能性があるからって……だからやることがないのです……



「そうだ、酒場なら、大丈夫だよね?」


 そう、宿屋と併設されてる酒場なら宿から出たことにはならないのではなかろうか……それに、正直暇すぎて仕方ないし……娯楽品ないもん……


「カペラ、ちょっと私は下に降りてくるね?ここにいてね?」


「きゅぅ」


「あっ、絶対に見つかっちゃダメだよ?」


「きゅいっ」


「じゃあ、少しいってくるねっ」


 私は部屋から出ると、下の階に降ります……1階に酒場があるのでそこに降りてみました……時刻はお昼をややすぎたころ、大体14時ごろかな?時計はないので大体の感覚ですが……


「んー人は、1人だけいる?」


 まぁ、流石に今の時間は皆さん仕事してるはずですし、昼食も終わってるの人は基本いないです……ただ、唯一カウンターにお酒おを飲んでるおじさんの姿がありました。


 まぁ、見た目としては、銀髪?白髪?のちょっと薄毛のおじさんです……おじさんはこんな時間からお酒を飲んでほろ酔い?なのかな、機嫌よさそうにしています。


「んぁ?おーこりゃべっぴんのお嬢ちゃんじゃないかっ」


「ひっ」


 ど、どどど、どうしようっ……酔っぱらいのおじさんに見つかってしまいました……


「おー嬢ちゃんも一杯どうだい?ひっくっ」


「えっ、えっと……あっ、あう……」


「お~どうした~?」


「ちょっと、お客さんにへんな絡みしないでくださいなっ」


 酔っぱらいのおじさんに注意してくれたのは奥からでてきた宿屋のおかみさんでした……


「お嬢ちゃん、大丈夫かい?」


「は、はいっ、ご、ごめんなさい、その、ひ、人と、は、話すの、に、苦手なんです」


「ありゃりゃ、そりゃ悪いことしたなぁ~よっし、ここはおっちゃんのおごりだっ!なんでも好きなもん頼みなっ!」


「えっ?で、でも……」


「まぁ、この人もそういってるし、せっかくだしなんか摘まんでいきなさいな」


「あ、は、はいっ、ありがとう、ございましゅ」


 女将さんに、軽くつまめるものを貰って食べます……ふあぁ、ご飯以外の時間に食べられるのはちょっと嬉しいけど罪悪感が……


「どうだいっ、美味いか?」


「ふ、ふぁいっ」


 なにやら気のいいおじさんはお酒を飲みながらこちらに話しかけてきます……心臓バクバクしますし、怖いですが、悪い人っていう感じはしないので、おとなしくしています……


「嬢ちゃんは、どうしてこの街に来たんだい?」


「ふぇっ?え、えっと……し、調べもの、調べもののためにきました」


「調べものかい、てーと図書館か?」


「は、はひ……で、でも……えっと、はいれなくて、その」


「あーなるほどなぁ……あそこは紹介がないとはいれないからなぁ」


「そ、そうなんです……それで、えっと、護衛してくれてる人が今、その、紹介をしてくれる人を探してて」


「ふむ、なるほどなぁ……だがぁ、この街の魔法使い、それも研究者どもとなると面倒だからなぁ~あいつらぁ、自分の利益にならない限りは手をかすなんてまずねぇからなぁ」


「そ、そうなんですか?」


「あぁ、そうだぞ~あいつらぁ、面倒なんだよ」


「え、えっと、どうすれば……」


「まぁ、手っ取り早いのは金だな」


「お金……」


「あぁ、研究やってるとどうしても研究費が必要になるんだよ、だからあいつらはとにかく金を欲してる」


「ち、ちなみに、え、えっと、ど、の、どのぐらい払えば……」


「んーそうだなぁ、最低でも500万はよこせって言ってくるだろうな」


「ごひゃっ!?」


「ひひひっ、まぁ、大金だよなぁ」


 500万なんてお金はとてもじゃないけどもってない……それは流石に無理だ……


「あとは、やっぱやつらが興味を引く研究対象だろうなぁ」


「うっ……それは……」


「まぁ、これは滅多にないけどなぁ!ぐははははっ」


「まったく、あんたいい加減飲みすぎだよ」


「あぁん?まだまだこのぐらい問題ねぇって」


「そうかい、金払ってくれるなら問題ないけどねぇ」


「安心しろって、金はあるからよぉ~」


「お嬢ちゃんはお代わりいるかい?」


「ふぇっ!あっ、え、えっと、じゃ、じゃあ……み、ミルク、ミルクくだしゃいっ」


「はいよっ」


「なんだぁ?嬢ちゃんも酒頼んでもいいんだぜぇ?」


「ご、ごめんなしゃ、えっと、の、飲めない、です」


「あんたは、絡むんじゃないよ!」


「そりゃわるかったなぁ!はっはっはっ」


 そのあとは、おじさんが満足して帰るまで一緒にお話することになりました……なんだったんだろう、不思議な人だったなぁ……はっ!勝手に飲み食いしちゃった!怒られるかな……


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