「はぁ……」
「だ、大丈夫ですか?」
「あぁ、すまんな……中々いい人材が見つからない」
「しょ、しょうがないです……」
「とりあえず、また人は探して見るが……何分人数が多すぎるのが問題だな」
「人数……」
そっか、この街には世界中から魔法使いが集まってるわけだし、その中で研究機関に所属してる魔法使いというだけでもかなりの数がいるんだろう……非所属も含めたらどれほどいるのか……その中から図書館に入るために紹介状を出してくれる人となるとやっぱり難しんだろうなぁ……
「今日は問題はなかったか?」
「あっ、はいっ……えっと、変わったおじさんに飲みのとおつまみをおごってもらいました」
「なんだそれ?」
「わ、私もよくわかりません……さ、酒場にいったら誘われて」
「まぁ……どこにスパイがいるかもわからんからな、注意だけはしろよ?」
「わ、わかりました」
まぁ、確かにそうですよね、知らないおじさんと一緒って……女将さんもいたからって危ないですよね……心配かけてしまいました。
「まぁ、別に怒ってるわけではないが……注意だけしてくれればいい」
「は、はいっ」
さて、次の日……私はまた、酒場に降りてきていました……
「おー嬢ちゃん!」
「あっ、ど、どうも、今日も来てたんですね?」
昨日のおじさんが今日もカウンターでお酒をのんでいました……
「あぁ、ここが一番飲みやすいんだよ」
「は、はぁ?そうなんですね」
「どうだ、お嬢ちゃん、今日もお奢るからおっちゃんに付き合ってくれんかね?」
「えっと……」
どうしよう、昨日の今日で……で、でも、旅人様も注意しろっていってただけだし……
「わ、かり、ました」
「おぅっ!」
そして、今日もおじさんに奢ってもらっておつまみをパクパク……おいしい♪
「そういやぁ、お嬢ちゃんの連れは今日もいねぇのかい?」
「あっ、はい、今日も図書館を紹介してくれる人を探しにいってます」
「なるほどなぁ……なぁ、嬢ちゃんにとって図書館に入るのはそこまで重要なのかい?」
「えっと、し、知りたいこと、どうしてもあって……と、図書館なら、もしかしたらって」
「なるほどねぇ」
「あっ、えっと、お酒、おつぎします?」
「おっ!いいのかい、ありがとよぉ」
私はおじさんにお酒をついであげます……まぁ、このぐらい問題ないはず?おじさんも嬉しそうだし。
「いやぁ、お嬢ちゃんみたいな美人に酒をついでもらえるとはおっちゃん嬉しくて泣きそうだよ」
「そ、そう、ですか?」
「おぅっ!おっちゃん気分よくなっちまったから、お嬢ちゃんにいいこと教えてやるよ」
「いいこと?ですか??」
「あぁ……星読みの魔女ってやつを知ってるかい?」
「えっと、しらない、です」
「まぁ、お嬢ちゃんは外から来たわけだしなぁ、知らなくてもしょうがないか……まぁ、この街だとある意味で有名人なんだがな……その星読みの魔女は研究施設所属の魔法使いでな、ただ他の連中からは嫌われてるっていうか苦手がられててなぁ……ただ、知識量に関しては国随一と言っていいほどだし、当然図書館の紹介もできる、そいつなら、お嬢ちゃんの力になってくれるかもしれねぇ」
「そ、そんな人いるんですねっ!じゃ、じゃあ、その人を訪ねれば……」
「あぁ、つっても変わり者だ……この街にいる魔法使いどもの中でも変わり者って呼ばれるほどだからな、普通じゃ人にあいやしねぇ」
「そ、そんな……」
「ただなぁ、おっちゃんには特別な伝手ってやつがあってな……特別にお嬢ちゃんに紹介してやってもいいぜ?」
「いいんですかっ!?」
「おぅ、お嬢ちゃんはこんな昼間っから酒飲んでる酔っぱらいに付き合ってくれるからなぁ~」
「じゃ、じゃあ、お、お願いしますっ!ぜひ紹介してもらいたいです」
「あぁ、つっても相手が相手だからなぁ、すぐに返答が出るわけでもねぇ、すまんが1週間ほどは待ってもらえるか?」
「は、はい、大丈夫ですっ」
「おぅ、そういや……今更だけど、嬢ちゃん名前はなんてーんだ?」
「あっ、そういえば、自己紹介してなかったです……あ、アンナ、アンナです、ただのアンナ」
「アンナちゃんか~可愛い名前だねぇ」
「ありがとう、ございます////」
「ちなみに、おっちゃんはボルダンって言ううんだ、よろしくな」
「は、はいっ、よろしくです、ボルダンさんっ」
「よっしゃ、まだまだ飲むとしようっ!嬢ちゃんも付き合ってくれやっ」
「えっ、わ、わかりましたっ?」
そのあとも昨日のようにボルダンさんとお話をしながら飲食をしたのでした……
◇
「どうした?」
「ふぁっ、ご、ごめんなさいっ、間食しちゃって、そこまでお腹が空いてないんです///」
「また酒場に降りたのか?」
「は、はい……ダメ、でしたか?」
「いや、別にいいが……どのぐらい使ったんだ?」
「あっ、いえ、今日も、そのボルダンさんが奢ってくれて…」
私がそういうと旅人様は一瞬驚いたような表情になると少し考えてから私を見てきました。
「ボルダンっていうのは、昨日奢ってくれたっていう、酔っぱらいのことか?」
「は、はいっ!そ、それでですねっ!ボルダンさんの伝手で星読みの魔女さんって人を紹介してくれるって言われたんですっ」
「星読みの魔女を?」
「そ、そうです、旅人様はご存じですか??」
「あぁ、一応情報収集してる間にその名前も聴いてはいる……ただ、星読みの魔女に会うのはかなり難しんだが」
「そうなんですか?」
「あぁ、変わり者であり、人と滅多に会わないらしい……あとは、もし面会の機会があっても気に入らないと判断されたらその場で打ち切られるとか……それになにより、星読みの魔女はこの街の研究施設に属す中でも高位魔法使いの1人……一般の方法では面会を取りつけるのは不可能だ」
「ふぇっ!?で、でもボルダンさんは伝手があるって……」
旅人様の言葉にすごく不安になります……もしかしたらボルダンさんの言葉は嘘だったかもしれません、で、でも考えたら昼間から飲んでる酔っぱらいのおじさんですし、そんなすごい人と伝手があるわけないですよね……
「いや、そのボルダンって人が俺が思ってる通りの人物なら……可能性はあるな」
「そうなんですか?」
「あぁ……そうだな、とりあえず俺も引き続き協力者は探すが……アンナ、お前は明日以降もボルダンという男と交流をもて」
「?わ、わかりましたっ!」
ボルダンさんて何者なんだろう?でも、お酒に付き合えばいいだけだよね?