―――コーラン伯爵side―――
「こんなところか……」
「お疲れ様です、伯爵様」
「あぁ……だが、この程度の内容ぐらい君が処理してくれてもいいだろう?」
「ダメです、最終確認は伯爵様のお仕事ですから」
「いや、そうではあるのだがね」
「そういえば、手紙が届いております」
「誰からだ?」
「星読みの魔女から」
「どれ、見せてくれ」
私はメイドから手紙を受けとると、封を解く……そして手紙を見ると、そこには短く一文だけが書かれていた……
「ふむ」
「問題がありましたか?」
「いや、前の返事だ……最低限ではあるが彼女の興味を引くぐらいは出来たようだな」
「それはようございました」
「他になにかあるか?」
「はい、謁見の申し込みが来ています」
「ほぅ、どこからだ?」
「はい、アルクレイン王国の近衛第3騎士団の団長であるグランツ・ドルメール様からです」
「王国の騎士か……面倒だな……だが、放置もできんしな……わかった、予定を入れておいてくれ」
「かしこまりました」
「さて……仕事はもうないな?私は出てくる」
「またですか」
「問題があるかね?」
「いえ、ですがくれぐれも……お分かりですね」
「わかっている、恥を晒すほど飲みはしないさ」
「では、行ってらっしゃいませ」
メイドに後を任せ、私は貴族服を脱ぐと外出するための服に着替え外に出るのだった。
―――アンネレーゼside―――
「あの、旅人様」
「どうした?」
「あっ、はい……えっと、ボルダンさんが旅人様にお会いしたいみたいでして」
「ボルダン、さんがか……そうか、ふむ……わかった、今日は時間を取ろう」
「ありがとうございますっ」
やったっ♪ 今日は旅人様と一緒にいられる♪ そう思いながら、旅人様とカペラと一緒に部屋で時間を潰したのでした……さて、それから何時ものの時間になったところで、部屋にカペラを残して、旅人様と一緒に酒場に降りたのです……
「おー、アンナちゃん今日もきたかー」
「こんにちは、ボルダンさん」
「おぅっ、お、そっちが嬢ちゃんのコレかい?」
「??」
「伝わらねぇかぁ……いや、いいよ」
よくわかりませんが、旅人様に視線を向けると彼はわかったみたいです?なんでしょう?とりあえず、何時もの用に椅子に座り、私の隣に旅人様が座りました。
「おぅ、兄ちゃん、俺がボルダンだっ!いつもアンナの嬢ちゃんにお酌をしてもらえて助かってるよっ!気分がいいからなぁっ!はっはっはっ」
「いえ、いつも彼女に奢ってもらってすいません」
「なに、気にしない気にしない、この子みたいな美少女にお酌してもらえるとか最高だからなぁ」
「も、もぅ……///」
「そうそうっ!アンナちゃん」
「はい?」
「実はなー予想より早く、連絡がきてなぁ~」
「連絡、ですか?」
「おぅっ、星読みの魔女からだよっ」
「ほんとですかっ!?」
「あぁ、一応興味あるみたいでな、会ってくれるらしい」
「よ、よかったぁ」
「ボルダンさん」
「おぅ、なんだい兄ちゃん? そういや、兄ちゃんはなんて言うんだ?」
「あぁ、俺のことは旅人と呼んでください」
「ふむ、まぁ訳アリか……わかった、それで、どうした?」
「星読みの魔女は気難しい人と聴いている、よく俺らのような外の人間と会う許可が取れたとおもってな」
「あぁ、まぁ、ちょっとした知り合いでね、頼んだら答えてくれたんだよ」
「そうか……」
「まぁ、とりあえず、星読みの魔女は明日、正午の鐘が鳴るころに来てほしいということだ、これが彼女の研究所の地図だよ」
「あ、ありがとうございますっ」
「感謝します」
「はっはっはっ、いいさ、ただ、あくまでこちらで出来るのは紹介だけだからね……彼女が君たちの話しを聴いてくれるかはわからん」
「えぇ、それは理解しています……どうにかしますよ」
「はいっ、がんばってお話聞いてもらいますっ」
「うんうん、頑張ってくれたまえっ!さて、2人とも、今日もおごりだっ!好きなのを頼んでくれ」
「え、でも、毎日申し訳ないです」
「かまわんかまわんっ!ただ、今日もお酌してくれればなぁ~って」
「えっと、それぐらいなら……いいですよね?」
「あぁ、問題ないぞ……ただ、こんな時間からよくここにこれますね?」
「ん?まぁ、頑張って仕事は終わらせてるのさ」
「そうですか……」
「?」
旅人様はどうしたんだろう?ボルダンさん……どこかおかしいかな?いや、昼間から毎日酒場に入り浸ってるのは十分おかしいとは思うけど……
「じゃあ、俺はそうだな……エールを貰おうかな」
「はいよっ!お嬢ちゃんはどうする?」
「あっ、はいっ!えっとミルクをお願いしますっ」
「あいよっ、ちょっとまってな」
女将さんが用意しに奥へ行きました………毎日こうやってごちそうしてもらっていいのかなぁ……
「エールか、君も酒はいける口かい?」
「あまり飲みませんがね、ただ、比較的強いほうですね」
「ほぅ、そりゃいい、じゃあ今日はじっくり付き合ってくれよ」
「えぇ、かまいませんよ……」
「わわ、お酒、大人だぁ……」
「おいおい、アンナちゃんだって15はすぎてんだろ?なら飲めるだろう?」
あっ、そうか……この世界だと15歳で成人なんだった……確かにそれならお酒も飲めるかもだけど……
「えっと、酔ったらその、嫌なので遠慮しておきます///」