目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第54話

―――コーラン伯爵side―――


「こんなところか……」


「お疲れ様です、伯爵様」


「あぁ……だが、この程度の内容ぐらい君が処理してくれてもいいだろう?」


「ダメです、最終確認は伯爵様のお仕事ですから」


「いや、そうではあるのだがね」


「そういえば、手紙が届いております」


「誰からだ?」


「星読みの魔女から」


「どれ、見せてくれ」


 私はメイドから手紙を受けとると、封を解く……そして手紙を見ると、そこには短く一文だけが書かれていた……


「ふむ」


「問題がありましたか?」


「いや、前の返事だ……最低限ではあるが彼女の興味を引くぐらいは出来たようだな」


「それはようございました」


「他になにかあるか?」


「はい、謁見の申し込みが来ています」


「ほぅ、どこからだ?」


「はい、アルクレイン王国の近衛第3騎士団の団長であるグランツ・ドルメール様からです」


「王国の騎士か……面倒だな……だが、放置もできんしな……わかった、予定を入れておいてくれ」


「かしこまりました」


「さて……仕事はもうないな?私は出てくる」


「またですか」


「問題があるかね?」


「いえ、ですがくれぐれも……お分かりですね」


「わかっている、恥を晒すほど飲みはしないさ」


「では、行ってらっしゃいませ」


 メイドに後を任せ、私は貴族服を脱ぐと外出するための服に着替え外に出るのだった。



―――アンネレーゼside―――


「あの、旅人様」


「どうした?」


「あっ、はい……えっと、ボルダンさんが旅人様にお会いしたいみたいでして」


「ボルダン、さんがか……そうか、ふむ……わかった、今日は時間を取ろう」


「ありがとうございますっ」


 やったっ♪ 今日は旅人様と一緒にいられる♪ そう思いながら、旅人様とカペラと一緒に部屋で時間を潰したのでした……さて、それから何時ものの時間になったところで、部屋にカペラを残して、旅人様と一緒に酒場に降りたのです……


「おー、アンナちゃん今日もきたかー」


「こんにちは、ボルダンさん」


「おぅっ、お、そっちが嬢ちゃんのコレかい?」


「??」


「伝わらねぇかぁ……いや、いいよ」


 よくわかりませんが、旅人様に視線を向けると彼はわかったみたいです?なんでしょう?とりあえず、何時もの用に椅子に座り、私の隣に旅人様が座りました。


「おぅ、兄ちゃん、俺がボルダンだっ!いつもアンナの嬢ちゃんにお酌をしてもらえて助かってるよっ!気分がいいからなぁっ!はっはっはっ」


「いえ、いつも彼女に奢ってもらってすいません」


「なに、気にしない気にしない、この子みたいな美少女にお酌してもらえるとか最高だからなぁ」


「も、もぅ……///」


「そうそうっ!アンナちゃん」


「はい?」


「実はなー予想より早く、連絡がきてなぁ~」


「連絡、ですか?」


「おぅっ、星読みの魔女からだよっ」


「ほんとですかっ!?」


「あぁ、一応興味あるみたいでな、会ってくれるらしい」


「よ、よかったぁ」


「ボルダンさん」


「おぅ、なんだい兄ちゃん? そういや、兄ちゃんはなんて言うんだ?」


「あぁ、俺のことは旅人と呼んでください」


「ふむ、まぁ訳アリか……わかった、それで、どうした?」


「星読みの魔女は気難しい人と聴いている、よく俺らのような外の人間と会う許可が取れたとおもってな」


「あぁ、まぁ、ちょっとした知り合いでね、頼んだら答えてくれたんだよ」


「そうか……」


「まぁ、とりあえず、星読みの魔女は明日、正午の鐘が鳴るころに来てほしいということだ、これが彼女の研究所の地図だよ」


「あ、ありがとうございますっ」


「感謝します」


「はっはっはっ、いいさ、ただ、あくまでこちらで出来るのは紹介だけだからね……彼女が君たちの話しを聴いてくれるかはわからん」


「えぇ、それは理解しています……どうにかしますよ」


「はいっ、がんばってお話聞いてもらいますっ」


「うんうん、頑張ってくれたまえっ!さて、2人とも、今日もおごりだっ!好きなのを頼んでくれ」


「え、でも、毎日申し訳ないです」


「かまわんかまわんっ!ただ、今日もお酌してくれればなぁ~って」


「えっと、それぐらいなら……いいですよね?」


「あぁ、問題ないぞ……ただ、こんな時間からよくここにこれますね?」


「ん?まぁ、頑張って仕事は終わらせてるのさ」


「そうですか……」


「?」


 旅人様はどうしたんだろう?ボルダンさん……どこかおかしいかな?いや、昼間から毎日酒場に入り浸ってるのは十分おかしいとは思うけど……


「じゃあ、俺はそうだな……エールを貰おうかな」


「はいよっ!お嬢ちゃんはどうする?」


「あっ、はいっ!えっとミルクをお願いしますっ」


「あいよっ、ちょっとまってな」


 女将さんが用意しに奥へ行きました………毎日こうやってごちそうしてもらっていいのかなぁ……


「エールか、君も酒はいける口かい?」


「あまり飲みませんがね、ただ、比較的強いほうですね」


「ほぅ、そりゃいい、じゃあ今日はじっくり付き合ってくれよ」


「えぇ、かまいませんよ……」


「わわ、お酒、大人だぁ……」


「おいおい、アンナちゃんだって15はすぎてんだろ?なら飲めるだろう?」


 あっ、そうか……この世界だと15歳で成人なんだった……確かにそれならお酒も飲めるかもだけど……


「えっと、酔ったらその、嫌なので遠慮しておきます///」


この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?