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第55話

 さて、昨日は旅人様の前でもし悪酔いなんてしたら立ち直れないため、お酒は遠慮しました……それに前世の常識があるせいで、20歳までは飲酒はダメって意識がありますし……


 まぁ、それはいいとして……今日はボルダンさんから紹介された星読みの魔女さんに会う日ですっ!どんな人なんでしょう……名前も年齢も不明な人……


「ここだな」


「え?ここ、ですか??」


 旅人様が言った場所に目を向けると、そこはなんというか……とても研究所とは見えない、どっちかって言うと廃墟って言ったほうがよさそうな、そんな建物です……


「え、え……」


「とにかく入るぞ、遅れて機嫌を損ねても困るからな」


「あっ!わかりましたっ」


 ということで、2人+外套の中に隠れたカペラと一緒に建物に入ります……中に入ってから改めてわかりますが、あたりは崩れてるところがあるし、床はギシギシと音をたてて、いつ床が抜けるんじゃないかって怖いです……


「この部屋だな」


「は、はひ」


 この廃墟……研究所は一番上の階にありました……ここだけは他の扉と違って綺麗です……古びた印象はありません。


「星読みの魔女殿は居られるか?ボルダン様からの紹介できた者だ」


 旅人様はノックしてから声をかけます……少しすると中から足音が聞こえてきました……


「いらっしゃい、待ってたわ」


 扉を開けて出てきたのは、銀髪のショートヘアで、横髪だけは胸にかかるぐらい長い髪をした女性です……大き目のダボっとした黒いローブと明らかにあってないとんがり帽子をかぶってます……年齢は20後半から30前半ぐらい?綺麗な人です。


「入っても?」


「えぇ、どうぞ」


 中に通されましたが、部屋の中はとっても綺麗です……ところどころに本やなにつかうかわからない道具?がありますが……


「あっ、勝手に触らないようにお願いね」


「あっ、はひっ」


「別に怒ってるわけじゃないわ……ただ、ここにあるのは魔法の道具が多いからね、誤作動起こしたら爆発とかしちゃうから」


「そ、そうなんですね……」


 こ、怖い……爆発するんだ……触らないよにだけはしよう……


「さって……一応ボルダンから話しは聞いてるけど、図書館にはいりたいのよね?」


「えぇ、調べたいことがありまして……この国が一番蔵書量が多いですし」


「なるほどね……確かにそれは間違いないわね、でも……」


「ん?でも??」


「お嬢さんの”呪”についての書物はないわね」


「えっ!?」


 ど、どういうこと……私の呪のことは誰にも話してない、知ってるのは旅人様だけだ……なのに、なんでこの人は私が呪もちだって……


「あぁ、驚かせちゃったわね、私の天啓はね【鑑定】なのよ」


「かん、てい?」


「えぇ、他者の天啓を見ることができるのよ」


「そ、そうなんですね……」


 これは、まずいかもしれない、鑑定なんて天啓があるんじゃ、もしかしたら他の人にも私の呪を知られるかもしれない……


「安心しろ、【鑑定】の天啓はとてつもなく珍しい……現在確認されてるのは全国で3人だけ……そのうちの1人が彼女だ」


「そ、そうなんですね……」


「そちらの彼は私に会う時点でバレるのは覚悟してたみたいね」


「えぇ、【鑑定】もちに会う以上は仕方ないことですから」


「えっと……その……」


「大丈夫だ……星読みの魔女殿、図書館に俺たちが欲しい情報がないというのなら、あなたはこの呪についてしっているのですか?」


「残念だけど、知らないわ……呪の天啓というものは飛んでもなく珍しいわ……歴史的に見てもほとんど前例はないんじゃないかしら」


「そんな……」


「ただ、呪自体は封印するという方法はあるかもしれないわね」


「え?」


「あなたにとってはその呪が発動しなければいいんでしょ?なら封印してしまえばいいの」


「で、出来るんですかっ!?」


「そうねぇ……絶対とはいえないけど、可能性はあるわね」


「ど、どうすればいいんですかっ!!?」


「はいはい落ち着いて……”タダ”では教えられないわ」


「あっ」


 確かにそうだ、情報を貰うのにタダで教えて貰えるわけがない……で、でもお金はないし、どうしよう……


「何をすればいいんですか?」


「君は話しが早くていいね……なに、簡単なことよ、ぜひあなた達のことを調べさせてもらいたいの♪」


「ふぇっ!え、えっと、じ、実験動物にされるのは、嫌ですっ」


「あぁ、安心してよ、私がいくら変わり者、変人だとか言われてても人体実験なんてしないわ」


「そ、そうですか?」


「えぇ、ただあなた達2人とも普通じゃないからねぇ……それに、その外套の中にいる子も気になるし」


「ふぇっ!?」


「やっぱりバレましたか」


「えぇ、【鑑定】もちを舐めちゃだめよ?」


「アンナ、カペラを出せ」


「え、で、でも……」


「大丈夫だ、彼女が俺たちの天啓を見える以上、逆に手を出してこない」


「え?そうなんですか?」


「あぁ」


「えぇ、あなた達みたいな激レアな天啓もちに悪感情持たれるほうがこっちとしてはマイナスだからね」


「わ、わかり、ました……カペラ、出てきて」


「きゅ?きゅい」


「はぁ……私も長いこと生きてるけど、カーバンクルが人に懐いてるのなんて初めてみたわ」


「え?長いこと?えっと……」


「えぇ、カーバンクルを見たのも100年ぐらい前だしね」


「ふぇっ!?」


 100年????え、でも、どうみてもそんな年齢に見えないし……え、え??


「アンナ、気にしすぎるな……」


「ふぁ、は、はひっ」


「ふふふ♪ まぁ、でも彼女以外に触られるのはやっぱ嫌がるのね」


「あぁ、俺もそこそこ時間をかけたが未だに触らせてもらえないからな」


「なるほどねぇ……まぁ、こればかりは仕方ないかしら、こうして近場でカーバンクルを見れるだけでも貴重だしね」


「えっと、そ、それで、私達はなにをすれば……」


「えぇ、まぁそれほど難しいことじゃないわ……私の研究にちょっと手を貸してほしいだけよ」


 研究ってなんだろう?とりあえず、酷いことされないなら、大丈夫?かな……


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