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第56話

 さて、星読みの魔女さんに会ってから、私達は早速彼女の研究を手伝うことになりました……まぁ、といっても、私がつかえる魔法を見せたり、彼女の指示にしたがって魔力を流したり?それ以外だと旅人様にもなにか言っていましたが、彼はよく研究所から出て外に何か取りに行くことが多かったです……あとは、カペラ、カペラについては宝石をもらって食べてる姿を観察されたりとか、私がカペラと遊んでるのを見たりとか、一応生態調査?らしいです。


「アンナちゃん、次はこれに結界を張ってもらえるかしら?ちょと強めにお願い」


「わかりました」


「うん、これも十分ね……しかも、ここまで連続しても魔力が減った様子がない、いや減ってはいるんでしょうけど、かなり膨大な魔力量があるわね……ここまでの魔力量はいままで見たことも聞いたこともないわ」


「そうなんですか?旅人様からもすごく多いとは聞いてるんですが」


「えぇ、それこそおとぎ話に出てくる勇者様や魔王なんかに匹敵するんじゃないかしら?」


「ふぇぇ……そうなんですね……自分じゃよくわからないですけど」


「まぁ、多くて困るものではないしね……ただ、そうねぇ……私以外の魔法使いに気づかれると、実験動物にされるかもだけど」


「ひっ!?」


「ふふ、大丈夫よ、私の協力者に手出しはさせないから、まぁ、もしして来たら……死んだ方が楽な目にあわせるだけよ」


「ひぃぃ」


「ふふふ♪」


「こ、怖いです……」


「まぁ、あなた達に手出しはさせないから安心して」


「わ、わかりました」


「はーい、カペラちゃん、宝石よー」


「きゅっ!」


 カペラは星読みの魔女さんの手から宝石を奪い取ると宝石を齧りだした……本当に宝石が好きなんだなぁ……美味しそうに食べてる、美味しいのかな?いや、人間にはそもそも食べるとか無理だし、むぅ……


「うんうん、宝石をこうやって食べるっていう光景をみると事実として理解できていいわねぇ」


「?」


「あぁ、カーバンクルってね、昔乱獲されたせいで絶滅寸前なのよね……一時期は絶滅したんじゃないかって言われてたぐらいだしね?」


「そうなんですね」


「えぇ、基本的にカーバンクルの情報って昔の古書や遺跡から出土品からの情報がほとんどなの、宝石を食べるのだってそう言ったところからの情報だけでね、実際に食べる光景なんて見たことある人はいないんじゃないかしら?」


「ほぇぇ……カペラって珍しいとは聞きましたけどそこまでなんですね……」


「そうよ、そして絶対に人に懐かないって言われてるのにアンナちゃんには懐いてるわけだからね、これはとっても興味深いことよ」


「カペラは怪我をしてるのを助けたら懐いてくれたんですけど」


「それぐらいで懐く存在じゃないんだけどねぇ……天啓には表示されないけど、あなたは動物に好かれるなにかがあるのかもしれないわねぇ」


「そうですかね、でも馬さんとかも懐いてくれるので、旅人様にも動物に懐かれる体質みたいなこといってましたし」


「やっぱりそうか……不思議だねぇ、もしかしたら誘引の呪の効果かもしれないね」


「え?でも私の呪は魔物を引き寄せるんですけど」


「うん、その効果の一部が漏れ出て動物に影響を与えてるじゃないかな」


「そう、なんですかね……」


「まぁ、そのあたりも調べて見ないことにはわからないけどね」


「あっ、でも、呪を封印出来たとき、動物さんと仲良くできなくなるかもしれないんでしょうか?」


「んーそればっかりはなんとも、実際にやってみないとわからないわね」


「そう、ですか……」


「でも、もしそうだったとしても、カペラちゃんは変わらないと思うわよ」


「え?」


「カペラちゃんはずっと一緒にいるんでしょ?この子からは操られてるっていう感覚もないし、呪を封印して効果がもし切れたとしてもこの子は大丈夫よ」


「そう、ですか……よかったぁ……」


「ふふ、それにしても、カペラちゃんもこうしてすごいけど、アンナちゃんもそれに彼もすごいわねぇ」


「私はよくわかりませんけど、旅人様はすごいですっ!すっごく強いですし、魔法も使えますしっ!」


「そうなのよね……実はねぇ、彼を【鑑定】したわけだけど……彼の天啓のうち2つぐらい見えなかったのよね」


「そうなんですか?」


「えぇ、そんなの初めてだから……そういう意味では彼もとても貴重な存在よ、大体見えた天啓の力もとてつもなく強力だし……そもそも、魔法をつかえるって話しだけど、彼から魔法系の天啓はなかったし、いや、見えないものが魔法に関する天啓かもしれないけど……謎が多いわ」


「ふわぁ……そうなんですね?」


「まぁ、いいわ、協力してもらえるわけだしね……ただ、私としても無理やり聞き出す気はないわ、元々天啓っていのは言いふらすようなものではないしね」


「そうですかぁ」


「ふふ、不思議かしら?」


「ふぇっ、え、えっとどうして…」


「多分、研究者って聴いて色々調べられるとか思ったんじゃない?呪についての情報対価に色々やらされるって」


「それは、はい……でも、実際は無理なこと言われませんし、ただ今後はわからないかなって思ってました」


「ふふふ、他の連中ならそういうのもいるわよ、ただ、私はこれでも信心深いのよ?天啓は神が与えたもの、この国では魔法神様が中心だけど、基本的には唯一神様のことを指すけどね」


「唯一神……聖国は黙ってないんですよね?」


「えぇ……あの国は多神教を認めない、魔法神様に関わらず地方の部族なんかが信仰する神すらも否定するぐらいだからねぇ……すべては神は唯一神様のみっていうのが彼らの言葉だからね」


「そうなんですね……めんどそうです」


「そう、めんどうなのよ……もし、今後聖国に行くことがあるなら気をつけなさい、あいつらは色々融通が効かないから」


「は、はいっ」


「さて、次はこれに魔力を流してもらえる?」


「はい!」


 それからもしばらくは星読みの魔女さんの指示で魔力をこめたり結界張ったりときには回復したり……そんなこんなで時間をかけて、その日は旅人様が戻ってから帰宅することとなりました。


「じゃあ、また明日もよろしくね」


「は、はいっ、失礼します」


「えぇ、またね」




「はぁ~大変でした」


「問題はなかったか?」


「は、はいっ、魔法を見たいって言われたりカペラに宝石をあげたりそんなのがほとんどでしたし」


「そうか、とりあえず彼女は一応は信用してもいいだろう…」


「わかりましたっ!あの、旅人様はなにしてたんですか?」


「俺は魔物の素材集めだな」


「あぁ、持ってきてたのがそれだったんですね」


「研究に使うらしい、俺からしたらなにに使うのかまったくわからないけどな」


「私もです、あそこにあるもののほとんどがなにかわかりませんでした」


「とりあえずは彼女が納得するまでは、このまま手伝いを中心に行うぞ」


「はいっ」


「まぁ、時間も時間だし、宿に戻ったらまずは飯だな……」


「そうですね、お腹ペコペコです……」


 私達は急いで宿にもどって、お夕飯を食べるのでした……お仕事?した後のご飯は美味しいです♪


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