私が星読みの魔女さんのお仕事をお手伝いするようになってから、1週間ほどが経ちました……その間も彼女の指示にしたがって魔力を流し込んだり、魔法を使ったり……やっぱりこれがなにになるのかはわかりません……ただ、助かってると言われますし、たまにお菓子をくれたりしますし、嫌なことはされません。
「さて、今日はこのぐらいかしらね」
「ふぅ……いいんですか?」
「えぇ、十分すぎる程よ、ここ数日はずっとお願いしてたし、明日は休みにしましょうか」
「お休み……そういえばお休みとってなかったですね」
「まぁ、普通なら魔力を流したりですぐ疲れちゃうはずなんだけどねぇ、アンナちゃんの魔力量だけは未だに見極められないのよねぇ」
「そう、なんですね?」
「正直調べたいところなんだけど……これまでのを考えるとアンナちゃんの魔力を確認するためにどれぐらい空魔石が必要か……」
「えっと、わ、私の魔力量は別に必須じゃないですよね?」
「ん、まぁ、そうね、ちょっとした興味でしかないし……さて、彼も帰ってきたみたいね」
そういうと、旅人様が戻ってきました……
「旅人様!おかえりなさいっ」
「あぁ、ほれ、これが今日の分だ」
「えぇ、ありがとう、こうやって安定して持ってきてくれるのが助かるわ」
「俺としてはいいように使われてるだけだけどな……」
「あらあら、でも情報の対価としてお願いしてるんだから、問題ないでしょ?」
「まぁ、いいが……」
「じゃ2人とも今日はもういいわ、明日はお休みにするから、明後日からまたよろしくねー」
「はい」
「わかった」
さて、星読みの魔女さんに見送られて私達は彼女の研究所を後にしました……そのあとは旅人様と一緒に宿に戻るわけですが……
「調子はどうだ?」
「はい、今日も基本的にやることはおなじでした、特に疲れたりとかもしませんでしたよ?」
「そうか……あきれるほどの魔力量だな……」
「星読みの魔女さんにも同じようなこと言われました……」
「普通の人間なら魔力切れを5,6回は起こしてるだろうからな」
「そうなんですか?」
「そうなんだよ……まぁ、いい……この調子で手伝いを続けろ、さっさと情報をもらえればいいんだがな」
「そう、ですね……」
「まぁ、とりあえず宿にもどって食事にしよう」
「はいっ」
それから街を歩いて宿に向かいます……ただ帰るだけですが、実は私にとってはある意味楽しみな時間です……だって、これって傍から見たら恋人同士に見えるんじゃっ!確かに旅人様とは1周りぐらい年齢違いますけど!でも、でもっ!うん、きっと恋人同士に見えるはずっ!兄妹なんて認めないっ!
「どうかしたか?いきなり拳を突き出して……」
「い、いえっ!なんでもないでしゅっ!///」
「そうか……ん?」
「どうかしましたか?」
「アンナ、俺のそばに、なるべく俺を壁にして隠れるようにしろ……ただ、周りを見回すようなことはするな」
「え?は、はいっ」
旅人様に言われた通り彼に近寄り……わわわ/// すごい、近い、恥ずかしいっ!この距離はもう恋人でいいよねっ!?
「大丈夫か?」
「ふぇっ?は、はいっ、えっと、な、なんで、えっと」
「すまんな、どうも怪しい人物がいたんでな」
「怪しいですか?」
「あぁ……この国の人間ではないだろう、それに魔法師でもない……あの身のこなしは騎士か?」
「騎士?ここは魔法使いの国ですよね?騎士はいるんですか?」
「一応王城には騎士団はあるらしい、ただ根本的には魔法師団が兵力の8割をしめるらしい」
「すごい、です、ね?」
「はは、普通にすごいぞ、他国では魔法師をここまで集めるなんて無理だからな」
「ふわぁ……あれ、でも旅人様が見た騎士っぽい人は?この国の騎士じゃないんですか?」
「あぁ、街に不慣れな様子だったしな、他所からきたんだろうな、この国の騎士なら王都で自由に動けないと話しにならないからな」
「なるほど」
「まぁ、いいだろう……とりあえずさっさと戻るか」
「はい」
◇
「お~嬢ちゃんに兄ちゃんよ~」
「あれ?ボルダンさん?」
私達が宿に戻ると、食事を取ってるお客さんに混じってボルダンさんの姿もありました、彼はこちらに気づくと手を振ってきたのです。
「お~嬢ちゃんは今日も別嬪さんだなぁ」
「あ、ありがとうございます」
「ボルダンさんがこの時間にいるの珍しいですね?」
「ん~まぁなぁ~嬢ちゃんたちがあの魔女んとこいってから中々時間があわなかったからなぁ~こうして戻ってきそうな時間にわざわざ来たってわけよ」
「えっと、私達になにか用があったんですか?」
「お~そうなんだよ~まっ、その前に飯にしようぜ飯によぉ、おっちゃんが奢ってやるからよぉ~兄ちゃんもいいだろ?」
「えぇ、問題ないですよ」
「えっと、旅人様がいいなら?」
「おー女将ー!飯だ飯っ!おすすめ頼むぜーっ!後は酒もってこい酒ー」
「はいよーっ!」
「いやぁ、若い子と一緒に食事できるたぁ、おっちゃん嬉しいよ」
「あ、あはは」
この人はいつも通りだなぁ~と思いますが……ちょっと気になるのは旅人様が何も言わないことでしょうか?警戒とか全然してませんし?まぁ、私としても悪い人と思いませんし、奢ってくれるしいいですがっ!
そのあとは運ばれてきた料理を並べ、食べることにしました。
「んー美味しい♪」
「いやぁ、これっ!この微妙な味の酒がいいだよなぁっ!」
「微妙なんて言うんじゃないよっ!」
「あはは!悪い悪いっ!」
勢いよく、ゴクゴクとお酒を飲むボルダンさん……ちなみに、お酒を進められると旅人様がガードしてくれるので安心ですっ!ちなみに、ここに泊ってから他の男性にも声をかけられることが多かったです……ただ、旅人様がいるおかげでトラブルには……えっと、殴り飛ばされて外に捨てられた人もいましたが、それほどトラブルらしいトラブルはありません!
「それで、ボルダンさんはどういったご用なんですか??」