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第61話

「さて、彼が言ったように私は君たちと敵対する気はない」


「そう、なんですか?」


「あぁ、アンネレーゼ王女、君の存在をしったのは、この国に王国の騎士が訪れてからだ、それまでは君のことは、面白い存在だという程度でしかなかった」


「お、面白い……」


「まぁ、それはいいだろう……ただ、彼らから特徴を聞いてね、真っ先に君のことだと思ったよ……」


「そ、そうなんですか……」


「あぁ、そもそもその美しいプラチナブロンドの髪はこの国では滅多にみないしね……正直逃亡の旅をしている中でそれほどまでに綺麗なままなのも驚きだが」


「あっ、それは旅人様が道中もケアしてくれて……」


「そうか……さて、旅人、君のことも話しは聞いている」


「やはり俺の情報も流れてますか……」


「あぁ、辺境伯領で暴れたそうだな……」


「えぇ、まぁ……どうせ話しが流れるのは理解してましたからね」


「そうか、さて……アンネレーゼ王女」


「は、はいっ」


「彼らの目的は君だ、君を処分するためにこの国までわざわざ出張ってきた……私としても忌まわしい王国の連中に好きかってされるのは気にくわん……」


「だから、俺たちに情報を?」


「ははは、まぁ、それもあるが……私の用な男につきあってくれた彼女へのお礼と言ったところだろうか?」


「伯爵様……」


「ふふ、さて……騎士どもは我らが調査すると言っているのにそれを無視して動いている……このままでは、いつ君たちが見つかるかわからんからな……急いで王都を離れるべきだろう」


「それは……」


 だけど、私達はまだ呪についての情報をもらえていない……ここで手がかりを得られなかったらどうすれば……


「伯爵、星読みの魔女殿に急ぎ情報を貰えるように言っていただけませんか?」


「ふむ……そうだな、状況が状況だ、わかった、すぐに彼女に伝えておく……明日も彼女の元にはいくのか?」


「いえ、明日は休みになっています」


「ふむ……わかった、では明日中には彼女からの返答を貰っておこう」


「ありがとうございます」


「かまわぬ、さて……では、私はここらで失礼させてもらう……あまり遅くなると秘書がうるさくてな」


「えっと、それって前に来た女性?」


「あぁ、そうだ……彼女は私が伯爵であっても容赦がないからね…さて、ではこれで、十分気を付けてくれ」


「あっ、ありがとうございましたっ」


「気にしなくてよい、さて……ふぅ……」


 さっきまでの圧力のある感じがなくなって、伯爵様の気配が変わる……


「じゃ、嬢ちゃんも十分気をつけろよ?じゃ、おっちゃんはこれで~またな~」


「えっ、あぇ?」


 いつものボルダンさんに戻ると、さっさと部屋から出て行ってしまいました……


「え、えっと……」


「まぁ、あの変わり身はなかなか驚くものがあるな」


「は、はい……ほ、ほんとにボルダンさんが、伯爵さま……?」


「事実だ、そして彼が伝えてくれた情報も事実だろう……」


「じゃ、じゃあ、やっぱり」


「あぁ、いずれはこうなるのは覚悟してたが、ついに王国が追いついてきたな……たぶん、帰ってきたときに見た騎士が王国の騎士なのだろうな」


「そんな……」


「とりあえず、星読みの魔女からの返答をまとう……明日はせっかくの休日ではあるが宿で大人しくしていたほうがよさそうだな」


「そ、そうですね……」


「ふむ……少し女将と話しをしてくる」


「え?」


「口止めだ、ここに騎士がもし来た場合はいないと伝えてもらうためにな」


「あっ、確かに必要ですね……で、でも、あの、女将さん黙っててくれますか?相手は騎士ですし」


「あぁ、それは問題ないだろう……」


「え?」


「魔法王国と王国は昔から仲が悪いんだ……基本的には王族や貴族が中心だがな、その考えは平民にもわりかし浸透している……やつらの調査が進まないのは話しを聞いて貰えないかひたすら嘘を言われてるかだろうな」


「そ、そっか……自然に街の人達が味方になってくれるんですね?」


「そういうことだ、ただ、過信はできんがな……ここには他国からきた人間もおおくいる、そういった人間の中には王国への敵対意識のないものも多い」


「あぅ……」


「まぁ、とにかく女将に頼んでくる」


「は、はいっ」


 ついに王国が追いかけてきた……ここまで、そういったこともなくて……心の中でどこか、きっと問題なく旅が出来るなんて思ってた……


「もう、放っておいてくれればいいのに……」


「きゅぃ」


「カペラ……なんでだろうね……私の事嫌って捨てて、それなのに、もう国にもいないのにわざわざ追いかけてきて殺そうなんて……あぁ、あの国は、あの親達は本当に嫌い……大嫌いっ」


「きゅぅ~」


 カペラが私の頬をなめてくる……この子は優しいから私を心配してくれてるんだ……


「ありがとね、カペラ……大丈夫、旅人様がいるんだもん……絶対、大丈夫、だよね……」


「きゅぅっ!」


「戻った」


「あっ、旅人様っ!ど、どうでしたか?」


「あぁ、女将は快く了承してくれた……女将達もやはり王国の騎士が来てることは知っていたらしい……まぁ、女将達も王国は嫌いらしいからな、あいつらが嫌がるならと協力してくれるよ」


「そう、ですか……でも、すごく嫌われてるんですね?」


「あぁ、あの国はな……王族からして魔法王国に嫌がらせをしょっちゅうしていたからな……他国も、何度か注意をしたが一向に止めることもなくな……なにがそう気にくわないのかはしらないが、先代国王の時代以前からずっと魔法王国との関係は悪い」


「そ、そうなんですね……」


「あぁ、長い間、互いの関係が悪いこともあって民衆達も自然に互いの国を嫌うようになったそうだ」


「理由は、わからないんですか?」


「さぁな、俺は把握してない……基本的にはお前の親、王族共の問題だ」


「あの人達は私の親なんかじゃないですっ!……あっ…ご、ごめんなさいっ」


「かまわない、あいつらを見限れてるならいいんじゃないか?毒親なんかはさっさと捨てるに限るからな」


 旅人様はそういうと私に優しく微笑んで頭を撫でてくれました……この人が居れば大丈夫……絶対、絶対……あいつらの思い通りになんてなってやるもんか……私は強くそう思ったのです……


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