「決闘だと?」
「は、はい……」
ルルティアさんの屋敷を出て私とレイン様は一緒に宿に戻りました……そこで、彼からなにがあったか聞かれたのです……当然、最初はちょっと、その、ごまかそうとしたのですが……ダメでした、一瞬でバレました……詰め寄られた結果、私はこうしてレイン様にすべてを薄情したのです……
「はぁ……あの女……アンナ、代理をたてるべきだ」
「で、でも、互いにそれはしないって話しになってしまっていて……」
「アンナは本当にいいのか?大体戦う理由が俺ってのも納得いかないんだが……決闘で決まったところで俺がルルティアの元にいく理由にはならないんだぞ」
「そ、そうかもしれません……で、でもっ!でも……私は、私が決めた、ことだから……やらせて、くださいっ」
「……はぁ……いいのか?アンナ、お前が一番わかってるだろ?お前に戦う力は……」
「わかってますっ!それでも、私だって、いつもあなたのうしろに隠れてばかりじゃないって、あ、あなたと一緒にいる資格があるって、証明したいからっ!」
私の言葉に、レイン様は驚いた表情を浮かべます……
「はぁ……そうか、まぁ、アンナが決めたならやればいい……もし負けたとしても気にするな、お前たちとの決闘の結果と俺の感情はまったく別だからな」
「えっと、本当に大丈夫でしょうか?その、勝手に決めてしまって……」
「もう決まってしまった事は仕方ない……まぁ、無理だけはするな、危ないとおもったらギブアップすればいい」
「えっと、はい……わかりました……で、でもっ!絶対勝ちますからっ!」
「そうか……まぁ、頑張れ」
「はいっ!」
◇
次の日、宿の主人が手紙を預かってると渡されました……
「ルルティアからか?」
「は、はい……あ、開けますね」
「手紙で緊張しててどうするんだ……」
「は、はい、すいません……えっと……」
封を解いて中を見ます……手紙を出して中に見ると……【3日後、午後の鐘が鳴るとき、聖騎士詰所へ来られたし】という、それだけが書かれていました……
「なるほど、聖騎士隊の詰所か……」
「えっと、聖騎士ですか……えっと、そこの詰所なら決闘ができるんですか?」
「あぁ、まぁ、聖騎士はこの国の騎士団だな……騎士団の詰所、まぁ、正確にはそこにある修練場を使うつもりなんだろうな……十分な広さもあるし、それにこの時期に外部の人間に見られずとなると、そのあたりになるか」
「わかりました……み、3日後ですね……が、がんばります」
「まぁ、いいが……どうするんだ?」
「え?えっと、どうするとは……」
「決闘する以上は何か対策が必要だろ?」
「そ、そうですね……」
「どうする?時間まで特訓してやることもできるが」
どうしよう……レイン様からの特訓……こう、手取り足取り……きゃー////
「アンナは、たまになにやら妄想?してるのか?」
「い、いえっ!な、なんでもないでしゅっ!!」
「そ、そうか……まぁ、いいけど……どうする?」
「は、はいっ!お願いしますっ!」
「わかった……まぁ、街中だとちょと難しいからな、郊外に出るか……」
「わ、わかりましたっ!」
◇
さっそくと言った感じてレイン様と一緒に街から出ます……しばらく進むと、まぁ、流石に人の姿もなく、広い場所に出ると、彼と向かい合います……
「え、えっと……」
「アンナは攻撃系の魔法を使えないのはわかってるな?」
「は、はいっ」
「そして、アンナは体力もないし力もない」
「は、はい……」
うぅ、言ってることは正しいのですが、ちょっと心を抉るものが……
「ただ、手だてがないわけではない」
「!ほ、本当ですかっ?」
「あぁ……付与魔法を自分に使うんだ」
「え?付与魔法をですか?」
「あぁ、出来るはずだ……とりあえず、やってみろ」
「え?は、はいっ」
自分に付与魔法を使うのは初めてです……と、とにかく集中して……魔法を発動させます。
「いきますっ!《|身体強化《ブースト》》」
「どうだ?」
「え、えっと、動いてみまっ……きゃーーー!」
何時もとまったく違う感覚に戸惑い私は思いっきりつんのめってしまいました……
「大丈夫か?」
「は、はひ……レイン様が助けてくれたので、だ、大丈夫です」
転びそうな私を彼がとっさに抱きとめてくれました……お陰で怪我することなく済みました。
「しっかり付与は発動してるみたいだな?」
「そ、そうですね……何時もと体の感覚が全然違います」
「とりあえず、まずはその状態に慣れる必要があるな……」
「は、はい……えっと、どうすれば?」
「まぁ、まずはその付与を維持したまま走ってみろ、全力は出すなよ?少しずつでいい」
「わ、わかりましたっ」
ということで、彼の指示にしたがって少しずつ、まずは軽く走ってみます……それでも、普段とは全然違う、すごいスピードが出ますっ
「どうだ?」
「は、はひっ、すごいですっ……わわわっ!」
「転ぶなよ」
「は、はいー」
それからも何度か転びそうになりながらもどうにか走りきりました……ただ、わかったことは……
「ぜーぜー……し、死んじゃう……」
「なるほど、身体能力はあがっても体力は変わらないのか……いや、逆にここまで走れたのを考えれば多少は体力にも影響してるのか?」
「あぅぅ……」
「そうだな……付与魔法を重ねがけしてみるか?」
「重ね掛け……」
「あぁ、体力増加の魔法を使ってみるといい、馬にも使ってたしできるだろ?」
「や、やってみますっ……あっ、でももうちょっと休ませてください……」
「あ、あぁ……」
それから私は、レイン様の許しを得て、地面に突っ伏して休みます……まぁ、元お姫様がやることじゃないと思いますけど……仕方ないですよねっ!体力ないんだもんっ!
「時間もないから休憩は10分だけな」
彼からの優しくも圧のある言葉に私は緊張するのでした……