「ちょ、ちょっと皆これ見て!」
配信が終わり、皆で結唯さんの家で休んでいるといきなり結唯さんが大きな声を出した。
「どうしたのそんな大きな声出して。もしかして何かの動画がバズったの?」
「違うけどもっと凄いかも!」
そう言って皆の前にスマホを出して見せた。
スマホに映っているのは誰かから届いた一通のメールだった。
『初めまして、突然のご連絡失礼します。私は新しいVTuber事務所【ブイプロ】を設立しました
「こ、これってスカウト……だよね……」
「うん。そう書いてあるからね……てか俺も⁉」
俺以外の四人ならまだしもデビューして本当に間もない俺までスカウトって大丈夫なのか⁉
「私達皆を企業に……」
「信じられない……」
「ど、どうする皆……これって詐欺とかじゃないよね」
結唯さんが疑うのも無理はない。
今まで企業からスカウトされて入ったVTuberは聞いたことがない。
何故ならVTuberはありえない程多く存在するため企業が募集をかければあっという間に何件もの応募がくるから自らスカウトする必要はない。
「でもここに書かれてる住所ってちゃんとしたところっぽいよ」
円華さんがスマホで書かれた住所の検索結果を見せてくれた。
「確かに。皆はどうしたい?」
「私は結構気になる」
「私も話し聞いてみたい」
「秋奈ちゃんはどう?」
「私も事務所に入りたい。事務所に入ればやれることだってきっと増えるし夢に近づくと思うから」
確かに秋奈の目標であり夢であるライブは企業に入れば一気に近づく。
企業勢というだけで注目度は一気に変わる。それに他の企業に入っているVTuberの人とのコラボも少しはしやすくなる。そうなれば認知度も上がりライブへと繋がる。
「俺も企業に入ることは賛成です」
正直VTuberを始めたばかりの俺が企業なんてと思ってしまうけれど、こんなチャンス滅多にない。これを逃したら一生訪れないかもしれない。
「それじゃあ連絡するね」