「そもそも、この第13部隊ってなに?暇すぎなんだけど」
私の質問に二人は苦笑いを浮かべる。普通は上官に向かって直接聞くことはしないのだろう。
「暇だよな」
「暇ですよね。本来は特殊部隊だったらしいのですが、今では扱い難い者たちの寄せ集め集団っていうところでしょうか」
外面がいいルディが答えてくれた。特殊部隊ねぇ。物は言いようか。
「まぁ、部隊の仕事は手が空いた部隊が無いときに回される仕事が多いな。だから、普段は暇だ。第1から第12は決められた担当地域がある。見回りも兼ねての仕事があるから、暇になることはないがな」
ファルの説明だと担当地域が各部隊にはあるけれど、第13部隊は面倒な仕事を押し付けるに打って付けだということなのだろう。先日の1件のように。
「各部隊は150人体勢だというのは合っている?」
「それは教会で習ったとおりですよ」
ふーん。150人ねぇ。おかしな数字。
「壁に到着しましたわ」
ミレーの声が聞こえ顔を上げると、目前には10
「それではお先に行きますわ」
そう言って、ミレーは垂直の壁を駆け上がって行っている。ああ、不法侵入の手口ね。
「いつもこんな感じ?」
ミレーの姿を指しながら聞いてみた。
「ああ、これな。これができないと
ああ、出入り口を使っている暇なんてないと言うことか。
「ふーん。
「おや?アンジュは白服を着る気があるのですか?それは嬉しいですね」
いや、気になっただけだし。
「
え゛?
「アンジュが白服を着る気があるなら申請しておきますよ」
「結構です!!」
そんな簡単なことで
前にいた3人は壁の向こう側に行ってしまい、次は私の番になった。なぜ、壁のぼりを教会でさせられていたのか疑問だったけど、こういうことだったのか。
私は垂直の壁に足を掛け、地面とは垂直に立つ。そして、そのまま駆けていく。
重力の聖痕を使わなくてもできるが、人間楽を覚えると楽な方に走ってしまうものだ。重力の聖痕を使って壁を走り、そのまま飛び越えて地面に降り立つ。
「あら?簡単にしてしまいますのね」
ミレーが意外だと言わんばかりに言った。は?教会でできるまでやらされるだろうに、何を不思議がることがあるのだろうか。
横にいるシャールとヴィオも意外だという顔をされた。そういう顔をする君たちの方が私は不思議だ。
ルディとファルも壁のこちら側にやってきた。
「それで、どちらの方に行けばいいわけ?」
私は王都の周りの地理は全くわからないので、行く方向がわからない。
「それなら、あっちの方角ですわ。ピリピリしますもの」
ミレーは北西の方角を指し示した。ミレーは生き物の発する微弱な電気か何かを感じるのだろうか。
それは便利そうだ。
6人が北西の方向に向かって歩みを進める。しかし、先客がいたようだ。切羽詰まったような声に金属が出す甲高い音が交じる。
木々の影から様子を見れるほど近づけば、どうやら冒険者が魔物と戦っているようだ。
その魔物とは。
「あらやだ。キマイラだわ」
「こんな王都周辺で?」
「普通はゴ……ゴブリンぐらいですよね」
体長は5
「手伝いがいるか聞いてきます。ついでに試し斬りもしてきます」
そう言って、足を進めようとすれば、ルディが握っている手が一向に外れない。ジト目で振り返りルディを見る。
「一緒に行きます」
「私、一人であれぐらい大丈夫だし」
ルディは私に構いすぎじゃないのだろうか。
「シュレイン、アンジュの昇格試験の一端だと思えばいいんじゃないのか?次は来週だから丁度いいだろ?」
ファルがルディを説得してくれようとしてくれているが、気になる言葉があった。
「昇格試験?」
「ええ、昇格試験です。
おお!それは