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✾猫の見た約束

叶わない約束を詠う

永遠に……


夜の底で深く追憶する

天に浮かぶ花園仰ぎ

忘れじの丘に咲く月氷の桜は

夜に青銀の光放つ

水底に沈んだ遺跡巡って

ふたりだけの冒険譚

天蓋ベッドで夢見た日々


窓辺で猫は静かに微笑む

透き通った瞳 静かに遠くを見つめ

永遠を願った

花弁が夜空に舞いあがる

それは祈りの象徴


瞳に陽は宿らず

身体は月へ 一歩ずつ近づいて

少女と少年はそれでも夢見る

叶わないと知りながら

叶わない約束を詠う


終わりへと近づく

季節は春から冬へと廻る

美しい花は眠り

美しい花は永い夜を待つ


窓辺で猫は静かに佇む

永遠なんてどこにもないと知っている

それでも永遠を願ったのは―――― 


空っぽになった天蓋ベッド

月の光だけが遺されて


猫は詠う 叶わない約束を


永遠に……


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