目次
ブックマーク
応援する
2
コメント
シェア
通報

都道府県魅力度ランキング?知るか!万葉LOVERSは筑波山の月でブチアガるっしょ

は?


え、なになに? 去年もやったんすか(今年もやるんすか?)、そのナントカ都道府県魅力度ランキングってやつを。ふーん。で? 我らが茨城県は、下から数えて何番目でしたっけ? あーはいはい、存じ上げております、ええ、いつもの定位置ですね、お疲れ様です!


って、なるかーーーい!


毎年律儀に同じ物差しをあてがって「はい、キミの魅力は47人中、このへんね~」なんて言われちゃ、たまんねえっつーの。こちとら、そんな矮小なスケールで生きてねえ。魅力ってのはな、偏差値じゃねえ。通知表の数字でもねえ。誰かが決めたランキングの順位なんざ、心底どうでもいい。究極にパーソナルで、エモーショナルで、魂が「これだ!」って震える衝動そのものだろうが!


…とか言って、ちょいオラついちゃったけど、まあ落ち着いてくれ。正直に言う。このランキングのおかげで、マジで大事なことに気づかされたのも事実なんだ。その点については、マジでサンキューな! お前が俺たちをディスってくれたおかげで、俺たちは自分たちだけの「最強の魅力」の在り処を、再確認できたんだから。


その在り処を知りたきゃ、小難しいデータやアンケート結果なんざ今すぐシュレッダーにかけて、1300年以上前のバイブスが詰まった詩集、『万葉集』を開いてみなって話よ。そこに答えは全部書いてある。特に、茨城のポテンシャルを疑ってるヤツは、この一本をキメていきな。アガるぜ。



小筑波の 嶺ろに月立し 間夜は さはだなりぬを また寝てむかも


をづくはの ねろにつくたし あひだよは さはだなりぬを またねてむかも


(現代語訳風 超絶イケてる俺様バージョン)


「見ろよ、あの筑波山のてっぺんにかかる月、ヤバくね? 極上のライトアップじゃん。…なのにさ、アンタと会うはずだったこの夜が、なんか知らんけどザワついてきやがった。タイミング最悪。あーあ、マジかよ…。しゃーない、もう一回ふて寝でもかますか…? いや、ワンチャン、このまま朝までコース、ある?」



どうよ? ヤバくね?

この歌は「東歌(あずまうた)」、当時の東日本エリアのストリートから生まれた、ド直球のラブソングなんだ。詠まれた場所は、もちろん我らが茨城県が誇るツインピークス、筑波山。


この歌の主人公を、仮に「万葉BOY」と名付けよう。彼はたぶん、夜、好きな「万葉GIRL」と筑波山の麓あたりで待ち合わせしてたんだ。月明かりだけが頼りの、胸躍るランデブー。スマホもLINEもない時代だぜ? 会えるか会えないか、その瀬戸際の緊張感を想像してみろ。心臓、バクバクだろ。


「小筑波の 嶺ろに月立し」――彼はまず、夜空を見上げる。筑波山のシルエットの上に、くっきりと浮かぶ月。二人のためだけに用意された、天然のスポットライトだ。彼は思う。「うわ、月、キレイすぎ…。こんなロマンチックな夜に、あの子と会えるなんて、俺、世界一の幸せ者じゃん」って。この部分は「序詞(じょことば)」っていうんだけど、まあ、今でいう「ねえ、見てあの月。キレイだね…(からの、本題いくわよ?)」っていう、最高の口説き文句への、いわば前フリだ。この時点で、万葉BOYの恋愛偏差値、かなり高い。


だが、現実は非情。「間夜は さはだなりぬを」。約束の時間はとっくに過ぎ、夜は深まっていくばかり。なのに彼女は来ない。それどころか、何やら周りがザワついている。この「さはだなりぬを(騒がしくなった)」ってフレーズが、たまらなく想像力を掻き立てるんだ。


一体、何が起きたのか?

俺のスーパーイマジネーションで、シナリオを構築してみるわ。


【脳内劇場:妄想シナリオA「親フラ・バージョン」】

万葉GIRLがこっそり家を抜け出そうとした瞬間、お父さん(たぶんムキムキの豪族)に「こんな夜更けにどこへ行く!」と見つかったパターン。「友達の家に忘れ物を…」「嘘をつけ! さては、あのチャラついた万葉BOYに会いに行く気だな! まかりならん!」みたいな。家の中がザワつき、彼女は泣く泣く外出を断念。


【脳内劇場:妄想シナリオB「村の祭りだドン!・バージョン」】

待ち合わせ場所の近くで、いきなり村の祭りが始まったパターン。「ワッショイ!ワッショイ!」と担がれる神輿。燃え盛る篝火。鳴り響く太鼓。二人きりでしっぽりのはずが、まさかのフェス状態で会うに会えない。周りが「さはだ(騒がしい)」、そのまんまの意味だ。


【脳内劇場:妄想シナリオC「焦らしプレイ・バージョン」】

万葉GIRLが実は近くの草むらに隠れ、万葉BOYがどんな反応をするかクスクス笑いながら見てるパターン。いわゆる「試し行動」。彼がガチで落ち込み、しょんぼり帰ろうとした瞬間に「ばぁ!」って出てきて「うっそぴょーん! 待った?」とか言う小悪魔なやつ。この場合の「さはだなりぬを」は、万葉BOYの胸の内が「え、マジで来ないの? ウソだろ? なんで?」とザワついている心理描写なわけよ。


どのシナリオだとしても、結果は同じ。計画通りにはいかなかった。

で、最後のフレーズ「また寝てむかも」。

これ、一見すると「あーあ、もう寝るか…」という諦めの言葉に見えるだろ? 違うね。全然違う。この一言には、絶望と希望、諦めと未練、そしてほんのりとした下心、そんな複雑怪奇な男の感情が、銀河系レベルの密度で圧縮されてるんだ。


字面通りに「もう一回寝ようかな…」と呟きつつ、その言葉の裏では「いや、待てよ?」「もしかしたら、これから来てくれるんじゃね?」「てか、このまま朝まで待ってたら、さすがに感動して俺のこと惚れ直しちゃうんじゃね?」「ワンチャン、二人で夜を明かして…なんて展開、ねえかな!? あるよな!? あってくれ!!!」――そんなデカい感情のジェットコースターが渦巻いてる。これが「かも」に込められた、切実な問いかけであり、祈りなんだ。わかるか? このむき出しの恋情、魂の叫びが。


さて。話を最初のランキングに戻そうか。都道府県魅力度ランキングと、茨城の話に。


この歌を詠んだ万葉BOYに、インタビューしてみようぜ。

「すいません、ちょっといいすか。アナタにとって、茨城県の魅力って何ですか? 1.メロンやれんこんが美味しい、2.偕楽園や大洗水族館などの観光地がある、3.つくばエクスプレスが便利、4.その他、みたいなアンケートなんですけど」って。


彼、なんて答えると思う?

たぶん、キョトンとした顔でこう言うだろうね。

「は? 何それ? 俺にとっての茨城の魅力? そんなの、筑波山にかかる月以外に、なんかあんの?」

と。


彼にとっての「茨城の魅力度ナンバーワン」は、好きな子と会う約束をした、あの夜空に輝く月だ。それは、誰かが勝手に決めた指標なんかじゃ絶対に測れない。彼と、彼の好きなあの子との間にだけ存在する、宇宙でたった一つの絶対的な価値なのだ。


俺たちが忘れちゃいけないのは、この万葉BOYの視点だよ。

魅力ってのは、そもそも「発見」するものじゃなくて「創造」するものなのかもしれない。いや、「愛する」と決めた瞬間に、勝手に生まれてくるもんなんだ。


茨城県が魅力度ランキングで万年下位(ときに最下位)? だから何なんだよ。

1300年以上も前から、この土地は、こんなにもドラマチックで、切なく、人間臭い恋の舞台であり続けてきた。この万葉BOYにとって、茨城は人生を懸けた恋の聖地。その魅力度は、間違いなく、ぶっちぎりの全国1位だったはずだ。他の46都道府県のことなど、彼の目には入っちゃいない。


これは茨城だけの話じゃない。

君が今住んでいる街にも、きっと君だけの「筑波山の月」があるはずだ。

帰り道にいつも見上げる、電線だらけの空に浮かぶ夕焼けかもしれない。

通学路の途中にある、春になると狂ったように咲き誇る一本の桜かもしれない。

失恋した日に、一人で泣きながら歩いた、何の変哲もない河川敷かもしれない。

初めて手をつないだ、駅前のロータリーの時計台かもしれない。


誰かに「あなたの街の魅力は?」と聞かれたとき、観光ガイドに載るような優等生の答えを用意する必要なんてこれっぽっちもない。君の魂が震えた、君だけの物語が宿る風景。それこそが君にとっての「魅力度1位」であり、誰にも侵されない聖域なのだ。


そう考えると、どうよ?

ランキングの順位に一喜一憂するより、自分の足元にある「推し」を探しに行く方が、1億倍くらい人生アガると思わねえか?


毎年恒例の都道府県魅力度ランキング。

お前のおかげで、俺たちは自分の「好き」という感情が、どんな権威ある指標よりも尊くて強いと気づけたわ。そういう意味では、マジ感謝。お前は最高の「前フリ」だったぜ。


さあ、探しに行こうぜ。君だけの「ご当地」万葉歌を。君だけの物語を。君だけの「筑波山の月」を。

ランキングなんて超越した自分だけの「魅力」を見つけ出し、それを胸張って「これが俺の最強の推しだ!」って叫んでやろうぜ。その叫び声が多いほど、この国はもっと面白く、もっと愛おしい場所に変わる。絶対にだ。


今回は、茨城と万葉BOYの恋バナに付き合ってくれてサンキューな。

日本全国、まだまだヤバい万葉歌と、それにまつわるアツい魂が眠ってるからよ。

また次回、俺様と一緒に、古代人の愛とソウルのタイムカプセル、掘り起こしに行こうぜ。


じゃ、またな! アディオス!

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?