「で、他にはー?何か聞きたいことあるー?」
と、アフネスはマイカに尋ねてきた。
「…私の身体がたまに光るみたいなんだけれど…光の属性?とかがあるんじゃないかって言われたことがあるんだけれど。」
「んー、そだよー。マイカっち、スゴく強い光の属性の持主だよー。
光に関わる事なら大体のことが出来ると思うよー。」
「光に関わること?」
「ん、光の魔法を使えるよー。」
「あ!魔法って、どうやれば使えるようになるの?」
「イメージよ、イメージ。
頭ん中で完ペキにイメージ出来れば使えるよーになんの、魔法ってもんは。
ってか、そんだけ強い属性なら、知らず知らずの内に使ったりしてないー?」
「…そういえば、私が眠ってる間に光ってて、その光に触れたら心身が癒されたって、うちの雇用主が言っていた。それも魔法なのかな?」
「えー、雇用主って、オトコー?
マイカっち、
「ちちち、違う!別々に寝てたよ!
でも私の身体が光ってるのを不思議に思って近づいてきただけだよ!!」
「あー、マイカっち、中身オッサンだもんねー、それは無いかー。
んー、魔法だろーねー。じゃあ、それイメージしてみ。」
「イメージ…」
(…全身から…白くて柔らかい光が出て…いや、光を
するとマイカの全身が白くて柔らかい光で包まれていった。
着ているエルフの
「出来たじゃんマイカっち!
どれどれー、ホントだー、癒されるー…
ムニャムニャ…おやすみなさい……」
アフネスがマイカの光に両手を当てると、机に顔を伏せて眠ろうとした。
「コラッ、アフネス!居眠りするな!!」
「もう、リーセロットちんはいつも邪魔するー。
ファー…マイカっち、もういいよ。魔法引っ込めてー。」
「い、いや、どうやって引っ込めるのコレ?判らないんだけど。」
そう言ったマイカの身体は、ずっと光りっ放しになっている。
「そっかー、えっとねー、何か、その魔法に名前付けたらー?
その名前をー、口に出しても頭ん中でもいーから唱えてー、発動と解除のきっかけにすんのー。」
「ふむ、名前か…」
(光を
「
マイカがそう唱えると、マイカが身体に
「アハハ、出来た出来たー。
じゃあマイカっち、もう一度その魔法を発動させてー。」
「ん。光の魔法!
マイカがそう唱えると、再びマイカは白くて柔らかい光を身体に
そして、今度は口に出さずに心の中で「解除!」とのみ唱えてみると魔法を収めることが出来た。
「はいOK。もうコツは掴めたねー。これで色々な魔法が使えるよー。」
「は…何か、思ってたよりも簡単…」
「それはマイカっちが才能あるからだよー。強い属性と才能、どっちが欠けてても魔法は使えないからねー。
マイカっちは両方とも優れとるんよー。さすがは
で、あと勝手に使えてたもんないー?」
(んー、光に関すること…光…光学的なものも含まれるのかな?んで、紫外線なり、赤外線なり……あっ!)
「そういえば私、凄く夜目が利くんだけど、この部屋に入ってきた時も、真っ暗だったのに良く見えたし。」
「それって光と関係あんのー?」
「うん、ある。元の世界に暗視スコープっていう、暗い所でもモノを見る事が出来る道具があったんだけど、それは光の成分の一つである紫外線とか赤外線とかの作用を使うものなんだ。」
「へえー、じゃあ、それもやってみよー。」
アフネスが部屋の灯りとなっている、光を放つ大きな水晶玉に触れたところ、光が消えて部屋の中は真っ暗になった。
「どおー、マイカっち見えるー?」
「うん、見える。なんか、さっきよりもハッキリ見えてる。」
「じゃあ、それも名前つけてみー。んで解除してみればー?」
「うん。」
(光…紫外線…赤外線…を、瞳に…収束するイメージで…)
「
すると、今まで部屋内部の様子が見えていたマイカの視界は真っ暗となり、何も見えなくなった。
「わっ!真っ暗になった。何も見えなくなったよ!」
「あー、それ、やっぱり魔法だったみたいねーマイカっち。
じゃあ、魔法を発動させてみー。」
「うん。光の魔法!
そう唱えたところ、マイカの視界は明るくなり、再び部屋内部の様子が見えるようになった。
「うん、見える!この凄く夜目が利くのって、魔法の効果だったんだね。」
その時、アフネスが前触れもなく、いきなり水晶玉の灯りを再び点けた。
「あっ!…いや…
「そのマイカっちの、
「うん、便利…って、アフネス、いきなり点けないでよ、ビックリしたじゃん!」
「へへへ、試しちった。ゴメンて。」
「うん、いいけど。
ところで、さっきから聞こうと思ってたんだけど、その水晶、何なの?
魔法の効果を閉じ込めるって言ってたけど、灯りだから、光の魔法なの?」
「うううん、光じゃなくて雷の魔法だよー。
リーセロットちんに雷の魔法を込めてもらったのー。」
「へえー、雷の魔法かあ。」
「ちなみにララちんは影の魔法ねー。」
「影の魔法、あ、あの影に潜むやつね。」
「はい、あ、うん。
影の魔法については、私から直々に話します、いや、話すわね。」
と、ララが横から口を挟んできた。
「影の魔法を使うと、人影や物影に潜んだり、自ら影になったり、影を濃くしたり…とか出来るの。」
「へえー、魔法って色々あるんだね。リーセロットは雷の魔法で…ちなみにアフネスの魔法は?」
「ワタシはねー、メインは対魔法の魔法ー。
それと、パパから貰った土の魔法と、キモデブから奪った風の魔法を使えるよー。」
「…キモデブって誰なんだろ…?
え!?3種類も違う魔法が使えるの?
土の魔法と風の魔法は何となく想像が出来るけど、対魔法の魔法って、どんなの?」
「んー、これから追々話すよー。
だってマイカっちは、もうワタシ達の仲間でしょー?
これから会う時、その都度色々と話し合ってこーよ。」
「うん、そうだね。
会うのは今回限り、って訳じゃないんだったら一遍じゃなくてもいいね。
また教えてね。」
第55話(終)
※エルデカ捜査メモ〈55〉
アフネスが使う対魔法の魔法とは、本来は、魔法を防いだり、反射したり、消すことが出来る魔法であるが、アフネスの持つ巨大な魔力と、その天才性とが相まって、他人の魔法を奪い、その奪った魔法を自らのものに出来るという効果まで付随されている。
いわば、強化型対魔法の魔法であるが、これにより、かつて敵の風の魔法使いから風の魔法を、父の
意図せずに父から魔法を奪ってしまったことにより、悲劇が生まれてしまったため、話すことに