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62 邪法を破る方法

リカは日記を収めて、携帯で「呪いの札」の写真を「羊ちゃん」という名の人に送った。

メッセージが全部既読になったら、「羊ちゃん」の番号を押した。

電話がすぐに繋がって、向こうから元気そうな若い女性の声が届いた。

「いらっしゃい、お嬢様!写真、見たよ!これはとっても酷いわ!一枚目はお嬢様の幸運を交換する取るもの、二枚目はお嬢様と他人の愛情や友情を断ち切るもの、三枚目はお嬢様の健康に害をするもの、四枚目は……」

「無効化はできる?」

札の内容は予想通りのもの。リカは驚かなかった。

「もちろん。処理法を送るね。それと、余韻がまだしばらく続くかもしれないから、『お祓い』と『お守り』をお勧め」

「『お守り』って、あかりが持っている『お守り』のようなものなの?」

「そう。こういう悪質な法術はどのくらい効果を発揮できるのか、法術を受けた本人のエネルギーに影響されている。本人のエネルギーが強ければ、効果が出ない場合もあるけど、いくらエネルギーが強い人でも、攻め続けられたら、だんだん弱まって、効果が出やすくなる。それに、本人が知らない場合、つまり、無防備の場合も効果がでやすい。お嬢様は敵の多い方だから、いつ狙われるのか分からないし、やっぱり普段から『お守り』を持ったほうがいいと思うよ!」

「じゃ、お願いする」

「はい、まいど!ちょうど最近の天象がいい、すぐ着手できる。来月末まで送るわ」

女――羊ちゃんは愉快に注文を受けた。


「もう一つ、ある『法陣』を無効化する方法、あるいは、破壊する方法を聞きたい」

雑事の処理が終わって、リカは本題に入った。

カバンから一部の厚い地図を出して、机で広げる。

「『法陣』で正しいかどうかわからない。現代の合成材料や機械のパーツも使われている……」

リカは地図を見ながら、情報を羊に伝えた。

「……」

「……」

その詳細を聞いた羊は、困りそうに返事をした。

「完成品で、そのような作り方で、その規模のものだったら、かなり難しいね……法術で無効化する場合、万代家でいうレベル12の異能力者の3、4人が必要かしら。一人でやるなら、『神力レベル』がないとできないと思うわ」

「神力レベル」の異能力者……

その答えを聞いて、リカは眉を深くひそめた。

この「法陣」が生まれた理由は、万代家に「神力レベル」の異能力者がいないから。「レベル12」の異能力者も指で数えられる程度だ。まして、このことを万代家の異能力者に頼めない。

「でも、以前の任務で、法具だけで強い法陣を無効化したことがある。高い威力の法具でもできないの?」

「あの時の法陣は簡単だからでしょうね。お嬢様の話を聞く限り、今回の法陣はかなり複雑な複合型で、陣というよりもはや施設、ダンジョン……えっと、どう説明すれば……ああ、そうだ!」

羊は一所懸命説明言葉を探したら、ピンときた。

「結婚だね」

「結婚!?」

リカは目を張った。

「恋愛と結婚、恋人と夫婦!」

「……」

更に理解しにくい……とツッコミしたかったけど、向こうは専門家なので、リカはとにかく黙って聞いた。

「恋人同士の別れは大体簡単でしょ?浮気したり喧嘩したり相手に失望したり、愛情がなくなったらすぐ別れられる。でも結婚して夫婦になると、話は複雑になる。法律の縛りがあるし、利益も繋がっているし。愛情がなくなって相手が嫌いになっても、手続きの面倒さ、財産の分割、社会的な目線、バツイチのタグなどを考えると、たくさんの人は我慢を選ぶでしょう……すべての縛りを打ち砕けるほどの刺激的な事件がないと、別れにくいわ」

「……」

とにかく、その「法陣」は破壊し難しいことだけが分かった。

「というわけで、私が作れる法具のレベルじゃ、そのような刺激的な事件を起こせないの……わざわざ注文にいらっしたのに、本当に申し訳ない……」

「いいえ、ありがとう……別の方法を探してみる」

と言っても、この羊という女性が作った法具は万代家でもトップクラス……

彼女が万代家から追放された後も、上の人は惜しい人材だと嘆いた。

それ以上のものだったら、共同作業が必要となる。家の法具部門に頼むしかない。

だが、家の法具部門は基本的に個人の依頼を受け付けない。たとえ受けたとしても、そのような強力な法具を何に使う?としつこく確認されて、いろいろ疑われるだろう。

家の大事な「施設」を破壊することに使うなんて、到底言えない。


その「法陣――施設」は万代家の最重要プロジェクトの一つ、マサルが担当したSランクの任務の成果物。

今は完成したばかりの実験段階。

正式的に導入すれば、万代家の力は更に強くなる可能性があるが、その同時に、もっと多くの犠牲者が出るのに違いない。

捨てられた仲間たちのような人が増えると考えると、リカはどうしても認められない。

それに、その「施設」からかなり嫌な気配を感じた。

あの日記の落書きはもうすぐ現実になるかもしれないと強く感じている……

「……あの、お嬢様、もしかしたら、考え詰まてるの?」

リカはしばらく無言でいたら、羊ちゃんのほうから不思議な声があった。

「?」

「役に立てば、別に法具や法術じゃなくてもいいんじゃない?」

「!」

「確かに、現代技術でできた材料や機械などを使えば、法陣を補強できるし、効果を高められる。でも、現代技術でできたものは、現代技術で破壊できるんでしょ?」

「法陣というものは、エネルギーの仕組が分からないと、物理的な干渉がなかなか効かない。だから、法術で破るしかない。でも、お嬢様が言っているものはもう半分現代の施設になってるでしょ。極端的な話で言えば、核兵器一つで全部終わらせると思うわ」

「!」

女のリマインドで、リカはぱっとと目を覚めた。

どうして忘れたのか。

そもそも自分は小細工で勝負する人間じゃない。

どうやら、異世界の件で用心深くなったほかに、臆病にもなったみたいだ。

「科学兵器や武器とかは私の専門外、これ以上助言をあげられなくてごめんね。お嬢様はそのようルートがあったら、ぜひ試してみて~」

「いいえ。ともて役に立った。本当にありがとう」

ルートならある。

すぐ傍に。

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