「他の国、ですか?」
「はい。この世界―――
アスタイル王国以外にも国は
あるのでしょう。
それで、他国にも召喚者はいるのか……
そして非道な扱いを受けていないのか、
調査して欲しいのです」
アンク王女様とグリーク宰相は、そこで
顔を見合わせ、
「ええと、召喚者を呼ぶのもそれなりに
準備や国力が関わって来ますので、
それだけの国となると、シーライド王国、
グレメン国、あとシュロランド教国くらい
でしょうか」
つまりアスタイル王国を合わせて、
四ヶ国が、召喚者を呼んでいるであろう
国という事か。
「……た、ただ調査と言われましても……
これらの国とは国交がないのです……
敵対、とまでは申しませんが……
潜在的な敵国のようなものですので、
調査は難しい、かと……」
申し訳なさそうにグリーク宰相は
答えるが、
「いや、そもそも非戦闘系スキルの
召喚者が虐待された理由は―――
この世界独特の差別意識にもあると
聞いている」
「ですので、同じように非道な目に
あっている同胞がいたら、彼らを
助け出したいのです」
熊谷さんと
「……アンク王女様、こちらに……」
「?? 何でしょう?」
グリーク宰相が王女を連れて、離れた
場所に移動する。
「(……これはチャンスかも知れません。
そもそも召喚者は、我が国の戦力として、
各国に対抗するために呼んだもの……
もしかすると、彼らを各国へぶつける
理由になるかも知れません……)」
「(どういう事だ?)」
「(……どうせ、多かれ少なかれ……
召喚者、それも非戦闘系スキルの者に
対する扱いは、我が国とそれほど
変わらないでしょう……
……そこで、召喚者が虐待されて
いると……
彼らにリークしてやるのです……)」
「(なるほど。
それなら、自主的に他国と戦って
くれるかも知れぬ。
当初の目的通りに動いてくれる―――
というわけだな)」
小声で話し合っていた2人は、話が
まとまったのか戻って来て、
「お話は理解しました。
確かに、他国で同胞がどのような扱いを
受けているか……
我が国でも、国の方針では無かったと
いえ、王族の暴走を許してしまいました。
心配するのは当然の事でしょう」
「……ですが、先ほども申し上げました
通り……
ほとんどの国と国交が無いというのが
現実です……
……調査機関はある事はありますが、
かなりの期日と、予算が必要に
なるかと……」
その言葉に、俺と武田さんが前に出て、
「いえ、もしそれをアスタイル王国で
してくれるのであれば、先ほどの
賠償金を半分、もしくは1/3に
下げて頂いても結構です」
「ほ、本当ですか!?」
アンク王女様の顔がパァッと明るくなる。
「こちらとしましても、そもそもの
原因は、この世界の差別意識に
あると見ているのです。
ですので、王国がそういった人たちを
助ける手伝いをして頂ければ―――
今まで
それが理由で賠償を減額されるのなら、
納得してくれるかと」
王城の召喚者代表の2人に目をやると、
両人ともうんうんとうなずいて、
「わ、わかりました!
召喚者への虐待は許せませんものね!」
「……是非とも、その条件でお願い
します……!」
そこで召喚者とアスタイル王国の間で、
正式な和解が