「さて、次はスフィアさんがあのビッカブと
戦うわけですが―――」
王城にあてがわれた一室で、俺たちは
顔を見合わせていた。
「武田さんの『
落とし穴に誘い込んで勝てたけど」
「でもそれはもうしないって、
約束しちゃったんでしょう?」
心配そうな表情になる。
「アタシが最初に戦ってしまったから、
警戒もしていると思うし……
不安そうにスフィアさんが俺の顔を
チラチラと見て来て、
「あの、そもそも―――
どうしてわたしにそこまでして
くださるのでしょうか?」
そこで召喚者組は交互に顔を見合わせて、
「あー、そうか」
「まだ話していなかったっけ」
そして、俺たちの事情やこの国に来た
理由を彼女に説明し始めた。
「非戦闘系スキルへの差別と、待遇の
改善……ですか」
スフィアさんは長い前髪の向こうから
丸くした目を、こちらに向ける。
「俺たちは有無を言わさず、こちらの
世界に召喚された人間だけど」
「その時に授かったスキルによって、
酷い扱いを受けていたのが問題に
なったのよ。
それで、その差別を是正しようとして
頑張っているの」
アスタイル王国使節団の代表の2人が、
そう語り、
「だからスフィアさんの扱いも、
放っておけなかったの」
「それにここで実績を上げておけば、
非戦闘系スキルへの見る目も変わると
思いまして」
武田さんの後に俺も続けて理由を話す。
「そ、そういう事であれば喜んで
協力します。
ですが、その」
「何か心配でも?」
俺が彼女に聞き返すと、
「出来れば、あの子たちが傷付く事の
無いようにしたいんです。
ですから、その―――
自爆前提とか、そういうのは」
そういえば、派遣されて来た時も……
そう使われるのを恐れて、連れて
来なかったって言ってたものなあ。
(■57話・テイマーの待遇02参照)
「まあ、やり方はどうとでも考えられ
ますから―――
どのようなパートナーがいるのか、
まずそれを教えて頂けませんか?」
そうして俺たちは、作戦会議に入った。