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第65話・戦闘系スキルVS非戦闘系スキル07


「ではこれより―――


 シーライド王国王都ギルドマスター、

 『超身体強化ハイパーブースト』のビッカブと、


 同じくシーライド王国王都ギルド冒険者、

 テイマーのスフィアとの対戦を

 行います!」


かつての武田さんとの対戦のように……

司会者らしき男の説明の元、

両者が距離を置いて対峙たいじする。


今回の場所は王都郊外の草原。


草の高さはせいぜい、足首を隠す程度で

しかなく、犬くらいの中型の動物も身を

隠す事は出来ない場所だ。


「もう、落とし穴とかは出来ないんだろ?」


「大丈夫かしら―――」


熊谷くまがやさんと白波瀬しらはせさんが、

不安そうに俺に視線を送る。


「前は予め仕掛けておいたトラップ

 あったけどよ」


「今回はどこにも無さそうだな」


「だが、前回あの『超身体強化』の

 ギルドマスターが、『浮遊フロート』に

 敗れているんだ。

 今回だって何があるかわからねぇぞ」


そして集まったギャラリーも、一方的な

展開は予測しておらず……

むしろテイマーが何をするのか、

期待するような声も聞こえ、


「確か『イタズラ好きネズミノーティー・ラット』と、

 『弾丸オウムバレットパレット』が、

 スフィアさんと一緒に戦うって言って

 いたのよね?


 ネズミとオウムがどう戦うの?

 前みたいに、何も事前に準備はして

 いないんでしょ?」


それでも武田さんは心配なのか、

俺に話しかける。


「まあ、案外簡単なものですよ。


 確かに事前に準備はしていませんけど、

 何も仕掛けないとも言っていません。


 落とし穴のような大掛かりな仕掛けじゃ

 なくたって―――

 条件を満たせばいいだけですからね」


ビッカブギルドマスターに飲ませた条件……


1対1である事。


場所などは非戦闘系スキルである2人が

指定出来る事。


物理武器の使用は禁止。


武田さん、スフィアさんの『降参』か、

ビッカブギルドマスターが地面に手を

付けた時点での決着とする―――


俺はそれを達成するために、彼女と

パートナーにある策を授けたのだ。


「それでは―――始めっ!!」


そしてスフィアさんとビッカブが、

互いに構え……

戦闘系スキルと非戦闘系スキル、

2回目の対戦が始まった。




「前回は小細工でやられたが、今度は

 そうはいかねぇ。


 どんな罠を仕掛けようが―――

 それごと食い破ってやる!!」


ギルドマスターは雪辱に燃え、じりじりと

慎重に距離を詰める。


対するスフィアは片手を空へ掲げたかと

思うと、


「おい、ありゃ何だ?」


「鳥か!」


「鳥とネズミを使うって聞いているが」


ギャラリーの言う通り、彼女の上空に

鳥が4羽出現し……

足には棒のようなものを持って

羽ばたいていた。




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