「んん?」
スフィアが片手を挙げた先―――
空をビッカブが見上げると、
『
鳥が4匹、何か棒のような物を持って
飛んでいて、
「おい!
物理武器は使わねぇんじゃ
なかったのか!?」
ギルドマスターが俺に向かって、
怒鳴るように質問してくるが、
「あれはただの旗ですよ。
それに、あの程度の鳥が運べるくらいの
ものですから、とても軽いです。
武器と呼べるようなシロモノじゃ
ありません」
「だ、だがよ……」
まだ何か言いたげに、ビッカブが俺に
視線を向けたままにしていると、
「あっ!」
「落とした!?」
ギャラリーの声に、彼は慌てて
対戦相手の方に振り向くと、
それは彼女の斜め四方に落ちて、
地面に突き刺さる。
まるで結界でも張ったかのように、
それはそれぞれスフィアさんの
前方に2つ、後方に2つ、上部分に
つけられた布をたなびかせていて、
「旗……だな」
「アレをどうするつもりなの?」
成り行きを見守って、
「少なくとも、あれを投げたり相手を
叩いたりする事はありませんよ。
武器じゃないので。
まあ、準備と言いますか」
「!
上空でオウムが旋回し始めたわ!」
続けて、武田さんの言う通り―――
スフィアさんの上空で、『弾丸オウム』が
それぞれ円を描くように飛び始める。
それを見たビッカブギルドマスターは
足を止め、
「(前は、あの武田という女の動きは
ハッタリだったと後で聞かされたが……
それで俺はあの落とし穴の罠を
見逃しちまった。
これにも何か理由があるはずだ。
落ち着いてやりゃあ、テイマーごとき
『
ねぇんだ。
ビビっていると言われようが何だろうが、
今回は絶対に勝つ!!)」
そしてジリジリと距離を詰めるビッカブを
俺は見つめ―――
「(さすがに今回は慎重なようだな。
ま、そうなっている時点で……
こっちの手の内なんだが)」
俺はスフィアさんに目配せして、
次の行動に入るよう促す。
すると彼女は、そのシルバーの
前髪を振り払うようにして、
両手をギルドマスターの方に
指差すように動く。
「何だ?」
「妙なポーズを取り始めたが」
ギャラリーの連中も不審がり、
その
すると草むらから、『ボッ』という音と
共に飛び出す何かがいて、
「あれは!?」
「『
その音と共にビッカブは振り返る。
そのネズミは1メートルほど高く
垂直にジャンプした後、
すぐにまた草むらの中に沈み、
そこでギルドマスターの歩みは止まり―――
沈黙が流れた。