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第70話・テイマー参加


「ええと、つまり……


 今後、俺たちと一緒に行動したい、

 という事ですか?」


シルバーの前髪で目が隠れたまま、

彼女はうなずく。


「でも、どうしてそんな」


「この国は非戦闘系スキルへの待遇改善を

 約束しましたよ?


 ビッカブギルドマスターにもそれを

 認めさせたんですし」


熊谷くまがやさん、白波瀬しらはせさんが

念を押すようにスフィアさんに問う。


「はい。

 なので、この国はもう安心だと

 思っています。


 すぐには変わらないでしょうが、

 その第一歩を踏み出しましたから―――」


そこで俺は両腕を組み、


「アスタイル王国に来たい、という

 事でも無さそうですが」


そう聞き返すと、


「ですから、そちらと行動を共に

 したいのです。


 あなたたちは、非戦闘系スキルへの

 差別解消と、待遇改善のために行動して

 おられるんですよね?


 わたしもそのお手伝いをしたいのです!」


なるほど……

成り行きでスフィアさんを助けたけど、

その恩返しというか、


自分と同じように不遇な環境にいる人間を

助けたい、と思ったのか。


「それに、雨霧あまぎり様ですか?


 落とし穴とか草を結ぶとか、そのための

 注意を引く行動とか―――

 勉強になる事がたくさんありました。


 是非ともお側で、もっと学びたいのです!

 そのためならどんな事でもします!」


……ん?

何か話がおかしくなって来たような。


「えっと―――


 雨霧君はまだ子供です、よ?」


武田さんがなぜか俺をかばうように

割って入って来て、


「え?

 武田様が正妻ではなかったのですか?」


「んなっ!!

 そそそんな事言われても、結納ゆいのうだって

 まだだし、それに式も」


そのやり取りに対し、俺は何て言ったら

いいのかわからず……


「えーとね?

 別に告白、もとい押しかけ女房を

 しに来たわけじゃないでしょ?


 まあ確かに実質、このメンバーは

 彼を中心に動いているけど―――


 それで、あなたもその一員に

 加わるって事でいいのね?」


「は、はい。そうですね」


白波瀬さんの言葉で、スフィアさんも

正気というか我に戻り、


「それで、今までテイムしたパートナー

 たちは?

 彼らも一緒に来るのか?」


熊谷さんも続けて切り出すと、


「そ、そうです。

 結構数が多いので、その、お世話に

 なります」


「そんなに多いの?

 どれくらいいるわけ?」


と、武田さんも冷静さを取り戻して

会話に参加し……

ようやく落ち着いて話が再開された。




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