「やっと到着しましたね」
「あー、麺類が恋しいわ。
『ゴミ捨て場』では、結構な和食が
再現されていたけど……」
俺の言葉に武田さんが返す。
シーライド王国でも、それなりに食事は
再現されていたけど―――
いわゆるハズレの召喚者が、一極集中で
集められていなかったからか、故郷の
料理をあまり再現出来ていなかったようだ。
バダールのような監視が無ければ、ある意味
放置状態だったし……
自由度としてはこっちの方が高かったの
だろう。
それでも米類は何とか入手していたようで、
『スキあらば米を作ろうとする民族』
と、日本人は認識されていたようだ。
「しかし、そっちはいいよなー。
俺はずーっと馬車の中だったから、
尻が痛いよ」
出して、そうつぶやく。
「すいません。
この子たち、男性冒険者にはあまり良い
思い出を持っていなかったので―――
それに女性か子供なら、負担なく
乗せられたんですけど」
スフィアさんが申し訳なさそうに頭を
下げる。
「特にこっちの『
ふかふかの特等席だからねー」
満足気に語る。
そう、俺と武田さん、白波瀬さんは、
スフィアさんがテイムした相棒たちに
乗って、馬車と一緒に移動していた。
俺は『
そしてスフィアさんは大きなモルモットの
ような魔物の背に揺られていて、
「ん?
男の冒険者には……
という事は、女性冒険者は?」
「女性はこの子たちの見た目もあって、
可愛がってくれる人も多かったです。
受付の職員もよくエサをくれましたし。
ただ、男性職員や冒険者―――
戦闘系スキル持ちには不評でしたから」
なるほどなあ。
やっぱりそういう事になってしまうのか。
「なので、女性だけで組まれた
パーティーなら、よくわたしも
同伴していました」
「あー……
でもそうなると、あちらは寂しく
なるでしょうね」
シーライド王国の冒険者ギルド、
そこの女性限定で同情すると、
「いえ、可愛がってくれた方々から
お願いされて―――
少しは置いてきましたから。
ネズミや小鳥といった小さい子たち
ですが」
そこで俺は『ン?』と首を傾げ、
「スフィアさんがテイムしたんでしょう?
それで他の人の言う事を聞くんですか?」
「わたしからお願いすれば大丈夫です。
それに、あの子たち好き嫌いはハッキリ
しているので……
可愛がってくれる方なら
そんなものなのかあ、と思いつつ―――
一行はアスタイル王国の王城に到着。
その際、もふもふ軍団の出現に門番たちが
驚ぎ……
入城に少し手間取ったのだが、何とか
中に入る事が出来た。