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第74話・グレメン国へ01


「準備出来ましたかー?」


「はい。いつでも出発出来ます」


俺の質問に、武田さんが手を振って返す。


アスタイル王国に戻って来た俺たちは、

アンク王女たちへの報告後、

『ゴミ捨て場』の街へと帰還。


そこでいろいろとグレメン国行きの

準備を整え―――

そのまま出発する事となった。


「また行っちまうのかい。

 寂しくなるなあ」


「まあここは、あのバダールがいなくなって

 以来、平和そのものだけど」


他の非戦闘系スキルの召喚者たちと、

王城にいた戦闘系スキルの召喚者たちが

名残惜なごりおしそうに見送ってくれる。


あの後、どの召喚者たちも王城の行き来は

自由となり、


それが元で料理の交流もスタート。


『非戦闘系スキルの召喚者と

関わるのは……』と、どうも

これまでは敬遠されていたようで、


それが一気に流通し始めると、

『こんなうまいものがあるのか』

『米を国で栽培してもいいのでは?』

と、国の方針転換に従い好意的に

受け入れられ、


今では『和食ワショク』は―――

料理の一ジャンルとなりつつあるとの

事だった。


「え~!?

 もう行っちゃうんですか!?」


「あの子たちのお世話はちゃんと

 しますから!

 出来るだけ早く帰ってきてくださいね」


そして1つ困った事が持ち上がった。


テイマーのスフィアさんが連れて来た

モフモフたちは、ここ『ゴミ捨て場』でも

絶大な人気を誇り、


特に女性陣や子供たちの間で大人気となり、

連れて行く魔物たちの選定に頭を悩ませる

事となった。


特に乗り物系の良さにすっかりハマった

白波瀬しらはせさんたちは絶対に

譲らず、


熊谷くまがやさんも前回、男性にあまり

いい思い出のなかった魔物たちが乗せて

くれなかった事もあって、全身全霊で彼らを

お世話した結果、


彼も晴れて乗せてもらえる事となり、

荷物や従者は馬車、召喚者組は魔物の

背に乗っての移動となったのである。


「じゃあ行ってきまーす」


「気をつけてねー」


「お土産、楽しみにしているぞー」


街の住人たちに暖かく見送られながら、

俺たちはグレメン国へと出発した。





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