「準備出来ましたかー?」
「はい。いつでも出発出来ます」
俺の質問に、武田さんが手を振って返す。
アスタイル王国に戻って来た俺たちは、
アンク王女たちへの報告後、
『ゴミ捨て場』の街へと帰還。
そこでいろいろとグレメン国行きの
準備を整え―――
そのまま出発する事となった。
「また行っちまうのかい。
寂しくなるなあ」
「まあここは、あのバダールがいなくなって
以来、平和そのものだけど」
他の非戦闘系スキルの召喚者たちと、
王城にいた戦闘系スキルの召喚者たちが
あの後、どの召喚者たちも王城の行き来は
自由となり、
それが元で料理の交流もスタート。
『非戦闘系スキルの召喚者と
関わるのは……』と、どうも
これまでは敬遠されていたようで、
それが一気に流通し始めると、
『こんなうまいものがあるのか』
『米を国で栽培してもいいのでは?』
と、国の方針転換に従い好意的に
受け入れられ、
今では『
料理の一ジャンルとなりつつあるとの
事だった。
「え~!?
もう行っちゃうんですか!?」
「あの子たちのお世話はちゃんと
しますから!
出来るだけ早く帰ってきてくださいね」
そして1つ困った事が持ち上がった。
テイマーのスフィアさんが連れて来た
モフモフたちは、ここ『ゴミ捨て場』でも
絶大な人気を誇り、
特に女性陣や子供たちの間で大人気となり、
連れて行く魔物たちの選定に頭を悩ませる
事となった。
特に乗り物系の良さにすっかりハマった
譲らず、
いい思い出のなかった魔物たちが乗せて
くれなかった事もあって、全身全霊で彼らを
お世話した結果、
彼も晴れて乗せてもらえる事となり、
荷物や従者は馬車、召喚者組は魔物の
背に乗っての移動となったのである。
「じゃあ行ってきまーす」
「気をつけてねー」
「お土産、楽しみにしているぞー」
街の住人たちに暖かく見送られながら、
俺たちはグレメン国へと出発した。