「スフィアさん、異常はありませんか?」
「今のところ、危険は無いみたいです」
『
俺は状況確認を行う。
そこへ武田さんがふわっ、と空から
下りて来て、
「『
これといっておかしな事は無いわ」
「わかりました、ありがとうございます」
俺は彼女にお礼を言いながら頭を下げる。
グレメン国への道中、武田さんと
スフィアさんは、偵察を買って出て
くれて、
武田さんは空から周囲警戒を―――
スフィアさんはテイムした魔物たちを
使って、先々の情報を教えてくれる。
実際、偵察だけならテイムした魔物だけで
済むとも思えるが、
スフィアさんの話によると、彼らとの
意思疎通は限界があるらしく、
また魔物である彼らは、人間との
危機意識の差がだいぶあるようで、
その場に行ってみなければわからない、
という事も多々あるそうだ。
「しかし、これから行くグレメン国って、
どんな国だろうな。
アスタイル王国やシーライド王国でも、
あまりわかってないって話だったし」
「さあ……
まあ、今までより非戦闘系スキルの
扱いが下でも、上という事は無いで
しょうね」
『
語り合い、
その2人の言葉に、やや空気が重くなる。
アスタイル王国の『ゴミ捨て場』、
シーライド王国ではいきなりの拉致、
そして問答無用のご奉仕命令だった
からなあ。
「鬼が出るか
「今から気を揉んでも仕方無いわ。
それにしても
その年でずいぶんと難しい言葉を
知っているのね?」
俺が思わずつぶやいた言葉に、武田さんが
ツッコミを入れる。
俺の見た目はこんなだけど、実年齢は
多分それより10才は上で……
とは説明出来ず、
「とにかく、警戒しながら進みましょう。
グレメン国に到着しても、なるべく
熊谷さん、白波瀬さんから離れない
ように―――」
そう俺は誤魔化すと、シーライド王国での
経験を踏まえ、全員に警戒を促した。