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第75話・グレメン国へ02


「スフィアさん、異常はありませんか?」


「今のところ、危険は無いみたいです」


風狼ウィンド・ウルフ』にまたがりながら、

俺は状況確認を行う。


そこへ武田さんがふわっ、と空から

下りて来て、


「『浮遊フロート』で空から確認したけど、

 これといっておかしな事は無いわ」


「わかりました、ありがとうございます」


俺は彼女にお礼を言いながら頭を下げる。


グレメン国への道中、武田さんと

スフィアさんは、偵察を買って出て

くれて、


武田さんは空から周囲警戒を―――

スフィアさんはテイムした魔物たちを

使って、先々の情報を教えてくれる。


実際、偵察だけならテイムした魔物だけで

済むとも思えるが、


スフィアさんの話によると、彼らとの

意思疎通は限界があるらしく、


また魔物である彼らは、人間との

危機意識の差がだいぶあるようで、


その場に行ってみなければわからない、

という事も多々あるそうだ。


「しかし、これから行くグレメン国って、

 どんな国だろうな。


 アスタイル王国やシーライド王国でも、

 あまりわかってないって話だったし」


「さあ……


 まあ、今までより非戦闘系スキルの

 扱いが下でも、上という事は無いで

 しょうね」


緑羊グリーン・シープ』の背に揺られながら、

熊谷くまがやさんと白波瀬しらはせさんが

語り合い、


その2人の言葉に、やや空気が重くなる。


アスタイル王国の『ゴミ捨て場』、

シーライド王国ではいきなりの拉致、

そして問答無用のご奉仕命令だった

からなあ。


「鬼が出るかじゃが出るか―――」


「今から気を揉んでも仕方無いわ。


 それにしても雨霧あまぎり君、

 その年でずいぶんと難しい言葉を

 知っているのね?」


俺が思わずつぶやいた言葉に、武田さんが

ツッコミを入れる。


俺の見た目はこんなだけど、実年齢は

多分それより10才は上で……

とは説明出来ず、


「とにかく、警戒しながら進みましょう。


 グレメン国に到着しても、なるべく

 熊谷さん、白波瀬さんから離れない

 ように―――」


そう俺は誤魔化すと、シーライド王国での

経験を踏まえ、全員に警戒を促した。





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