「ここは何ですか?」
とある円形状の広間に通された俺が、
でっぷりと肥え太ったグレメン国の
使者に聞くと、
「なぁに、ここでちょっとした余興が
開かれるのさ。
メインの見世物はお前らだけどな」
周囲を見渡すと、いつのまにか増えた
兵士や他、ギャラリーもいて、
「どういう事ですか?」
武田さんがキッとした表情で返すと、
「どうもこうも、ここでお前らに
戦ってもらうんだよ。
ま、非戦闘系スキル同士の戦いだ。
死ぬって事は無いだろ」
どうも彼らは、俺たちを戦わせる事を
一種の娯楽としているようで、
「この子たちも戦わせるつもりですか!?」
テイマーであるスフィアさんも抗議の声を
上げると、
「だってそれくらいしかお前ら、
役に立たないじゃねーか」
「ぐだぐだ言ってねーでさっさとやれよ!」
「それとも、痛い目にあわないと始められ
ねぇのかあ!?」
段々と語気が荒くなって来て、女性2人が
困惑の表情になるが、
「こういう事を、他の非戦闘系スキルの
人にも?」
目の前のオッサンにたずねると、周囲にいる
ギャラリーからも、
「ま、たまーにな」
「それで賭けとかするんだぜ」
「仲の良い連中同士とやり合わせるのが
面白くってよぉ」
それを聞いた俺は―――
武田さんとスフィアさんに目配せした後、
「……やれやれ……
そう言うくらいなら、例えばお前。
強いんだろうな?」
俺は太ったオッサンを指差すと、
「あぁん?
これでもワシは、『
『
1対1の肉弾戦なら負けはせん!!」
「そうかよ、じゃあ」
俺はそのまま正拳を、そのオッサンの顔へと
叩き込んだ―――