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第81話・グレメン国への対応02


「ああ……」


「そういやそうか……」


そして彼女の説明に、全員がうなだれる

ようにうなずく。


「まあそうだよねえ。


 そもそも非戦闘系スキルは被差別対象。

 肉親同士を争わせたところで―――」


「必ず戦闘系スキル持ちが勝つし、

 例え肉親でも非戦闘系スキル持ちを

 叩きのめす事に良心の呵責かしゃくは無い

 だろう。


 かと言って戦闘系スキル同士の戦いも、

 それはただの対戦だしな……」


スフィアさんの説明に、俺たちは改めて

打ちのめされていた。


あくまでも連中に取って、非戦闘系スキルの

人間など娯楽に過ぎない。

それが肉親だろうが何だろうか関係は無く。


自分たちの世界だって、親兄弟間の差別は

存在する。

それがわかりやすい非戦闘系スキルという

指標があれば、もっと露骨になるだろう。


俺たちに取っては異常でも、彼らに取っては

それが当たり前の世界なのだから―――


そもそも召喚者だから、非戦闘系スキル同士

戦え、と言われたわけではなく……

そこは召喚も何も関係なくそうしていた

だけなんだよなあ。

ある意味平等っちゃ平等ともいえる。


「俺たちがやられた事をお前らもやれ、

 と言ったところで―――

 何の意味も無いって事か」


「むしろ堂々と、肉親の非戦闘系スキルの

 人間を玩具おもちゃにして……

 攻撃するだけでしょうね」


熊谷くまがやさんと白波瀬しらはせさんが、

同時に頭を抱える。


「肉親の情とかは無いんですかね?」


「あるとは思いますが、それ以上に

 非戦闘系スキルへの根強い差別がある、

 とでも言いましょうか」


本当に厄介な世界に来てしまったものだと、

スフィアさんの言葉で改めて実感する。


「そういえば話しそびれていましたが、

 グレメン国上層部の反応はどんなもの

 でしたか?」


武田さんの問いに、謁見したであろう

2人は渋面じゅうめんを作る。

そしてそれが全てを物語っていた。


「またシーライド王国の時のように、

 非戦闘系スキルと戦闘系スキルの

 戦いでもしてみる?」


そのまま俺に顔を向けて、武田さんが

提案してくるけど、


「ですがアレは、僕たちがスタンピードを

 解決した、という前提もあってのもの

 でしたからね。


 下手をすれば最初から相手にされなかった

 可能性もありますし」


「そうだな……

 手柄自体はすでに立てていたわけだし。


 何かこのグレメン国で―――

 困っている事って無いのか?」


「出来れば、戦闘系スキル持ちでも

 手を焼いている、もしくは解決出来て

 いない問題がいいわね」


そうこの国の召喚者組に、熊谷さんと

白波瀬さんが視線を向けると、


「そりゃ無い事は無いと思うが」


「今、この国で一番の問題はと言うと」


今度は質問を向けられた召喚者組が、

複雑そうな表情となった。




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