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第82話・グレメン国への対応03


「戦闘系スキル集団が派閥を作って―――

 それで治安が悪化しているんですか?」


この国の召喚者組からの情報によると、


非戦闘系スキルへの差別は元より、それが

高じて実力主義の傾向が強くなり過ぎ、


今では戦闘系スキル持ちが徒党ととうを組んで、

勢力争いをしたり、武力衝突に発展して

いるとの事らしい。


「この国だって司法はあるだろう?」


「その人たちは何をしているの?」


熊谷くまがやさんと白波瀬しらはせさんが、

当然の疑問を口にするが、


「見て見ぬふりをしている……

 というのが実情かな」


「そもそも戦闘能力の高い戦闘系スキル持ち

 なんて、誰にも止められないし」


そこで俺が『ン?』とある事に気付き、


「あれ?


 でも、召喚者の中にもそれなりの

 実力を持った、戦闘系スキル持ちって

 いますよね?


 勢力争いには巻き込まれていないん

 でしょうか?」


それとなく質問してみると、


「そもそも仲間、それも肉親同士を

 争わされていたからな。

 それを理由に、どちらにもくみしないと

 通達している」


「向こうにしてみりゃ、『何でそんな事が

 理由になるんだ?』って顔していたがな。


 それと仮にもこちらは国が召喚した

 連中だ。

 希少きしょうな戦闘系スキル持ちは、国も

 それなりの待遇を与えている」


なるほど。

さすがに国が召喚・囲っている

戦闘系スキル持ちに手を出せば―――

完全に国と敵対する事となる。


さすがにそこまでの事はしない、

というわけか。


「で、ですが……

 それでも非戦闘系スキルの召喚者は、

 対戦を強要されたりしたんですよね?


 それはどうしてでしょうか」


武田さんの問いに―――

召喚者組は苦々しい顔となり、


「非戦闘系スキルは保護の対象外だとよ」


「当初は後方支援にでも回されていると

 思っていたんだが……

 実情を知った時は後の祭りさ。


 それ以来、可能な限り召喚者同士で

 固まっているんだ」


なるほど。

召喚者たちも対応はしていたんだな。


「だからこそ―――

 この国での戦闘系スキル持ち団体の

 勢力争いは、好きにしろって気持ちも

 あるんだ。


 そいつら同士が勝手に争っている

 分には、非戦闘系スキルに迷惑は

 かからないしよ。


 むしろ溜飲りゅういんが下がる思いだぜ」


大方の事情はわかった。


戦闘系スキル持ち同士の勢力争い……

そりゃ治安も悪化するだろう。


そして非戦闘系スキル持ちからすれば、

潰し合うのはむしろ歓迎ってところか。


そこで俺は少し考えて、


「もし―――

 もしもですよ?


 その勢力争いを解決したら、

 グレメン国は感謝しますかね?」


その言葉に、室内にいた全員が俺の方へと

注目して、


「まあ、治安は良くなると思うし」


「グレメン国も頭を痛めているはずだ。

 そりゃ褒美の1つもくれるだろう」


それを聞いた俺はウンウンとうなずいて、


「わかりました。


 では、誰かこの国の上層部に

 働きかけられる方とかいます?」


するとグレイン国の召喚者組が

顔を見合わせて、


「ウン?」


「そりゃあ……

 それなりの戦闘系スキル持ちなら、

 国王に謁見も出来ると思うが」


そして武田さんとスフィアさんが

こちらを向いて、


「もう何か思いついたって顔ね」


「何をする気なのですか?」


そして俺は、全員にプランを説明

し始めた―――




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