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第83話・グレメン国への提案01


「ふむ―――


 確かに我が国では、戦闘系スキルを持った

 連中が徒党ととうを組み……

 さらに派閥争いなどを起こして、治安を

 悪化させている事が問題になっておる。


 それに対する、何か良い解決策を持って

 いるのかね?」


数日後、熊谷くまがや白波瀬しらはせ

再びグレメン国国王と謁見し、


雨霧あまぎりや他の召喚者たちと相談して

まとめた方法を、提案しに来ていた。


「はい。

 聞くところによると、主な派閥は

 3つに別れるとかで」


熊谷の言葉に―――

王の周辺に立つ文官系であろう臣下たちが、


「さよう。


 まあ大雑把おおざっぱに言うと、要するに

 自分たちの戦闘系スキルこそが

 最強だとそれぞれ主張しているわけだ」


「1つは武器を用いる戦闘系スキルを

 主軸しゅじくとする派閥、『闘士テルム』。

 熊谷殿の『全武器特化ウェポンマスター』などが

 その典型だ。


 もう1つはいわゆる、遠隔攻撃魔法こそ

 最強と称する派閥、『魔術師マジクール』。

 これは白波瀬殿の『全天候魔法オール・ウェザー』などが

 例として上がるだろう。


 最後は脳筋というか……

 『怪力パワーストレングス』や『超身体強化ハイパーブースト』などを

 主に扱う派閥、『格闘家ルクタートル』。


 これら3つの勢力が、三つ巴みつどもえの争いを

 国内で演じているのだ」


彼らの説明に召喚者の2人はうなずき、


「話には聞いています。

 そしてそのどれもが、争いをしずめる気が

 全く無いというの。


 そこでどうか国王から、とある提案を

 して頂きたいのです」


白波瀬の言葉に周囲はざわめくが、


「確かに、あの者たちを呼びつけるくらいは

 にも出来る。


 だが大人しく言う事を聞くようならば、

 こうまで苦労はしておらん」


ため息交じりに王は答えるが、


「心中お察しいたします」


「そこで、3つの派閥の主だった者たちを

 呼びつけ―――

 彼らに、ある事を提示して欲しいのです」


よほどその派閥争いに手を焼いているのか、

王を始め、重鎮じゅうちんたちは熊谷と白波瀬の話に

聞き入った。




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