国王への提案をしてから数日後、
『
派閥の上層部は、グレメン国国王の御前へと
呼び出されていた。
「面をあげよ」
国王の言葉に、それぞれの派閥の主な
メンバーは、
「王よ、なぜ我らは呼ばれたのでしょうか」
「少なくとも王の機嫌を損ねるような真似は
していないつもりですが」
「少なくとも『格闘家』の我々は、
咎を受ける覚えはございません。
他の『闘士』『魔術師』の巻き添えで
呼ばれたのであれば、仕方の無き
事かと……」
最後の派閥リーダーであろう男の言葉に、
『何だと!』『どういう意味か!?』と、
他の派閥から声が上がるが、
「静まれ。
ここにお前たちを呼んだのは
他でもない。
3つの派閥に別れて、それぞれが
いがみ合っているという話だが、
それが国民を不安がらせておるのだ。
国を騒がしくする事が、お前たちの
狙いではあるまい」
王の言葉に彼らは顔を伏せて、
「ははっ、その通り!」
「しかし、こちらが争いを避けようと
しましても、向こうから仕掛けられる
場合はどうしようも」
「何だと!?
それはこちらのセリフ―――」
彼らはまたいがみ合い始め、王の側近たちは
それを苦々しい表情で見守るが、
「落ち着くがよい。
そもそもここにお前たちを呼んだのは、
罰するためではない。
余はむしろ、お前たちのような
者たちがいる事を頼もしく思っている」
その言葉が意外だったのか、彼ら3派閥は
一瞬で静まり返る。
そして王は続けて、
「だが、それで有用な人間が争い続けるのも
また……
国家に取って損失である。
そこで余からお前たちに命ずる。
お前たち3つの派閥の中からそれぞれ、
上位10名の実力者を選ぶがよい」
それを聞いて彼らは顔を見合わせ、
「王よ、それはいかなる意味で」
「命じられたとあらば、従う所存ですが」
困惑して彼らが聞き返すと、
「いつまでも争い続けるのではなく、
一度正式に決着をつけよ、という事だ。
時と場所は余が選定してやろう。
そしてその結果、敗者は勝者に従う。
それで良いな?」
思いがけない国王からの命令に、彼らは
ひれ伏し、
「ありがたきお言葉!」
「実力を示せる機会を頂き、
まことに嬉しく思います!!」
「どうか我らの実力と戦いを
ご覧あれ―――」
そして『闘士』『魔術師』『格闘家』……
三大派閥の勝負が、正式に決定したので
あった。