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第86話・3派閥の戦い02


「ワタシらはねぇ、王の命令で

 やってんだ!」


「子供だからって舐めたら、

 容赦しねぇぞ!!」


口々にそれぞれの派閥の代表らしき連中が、

抗議して来るが、


「王の命令……?


 王があなたたちに『遊べ』って

 命令したんですか?


 それならもっと仲良くしてください。

 うるさくて仕方ないんですけど」


俺がそう返すと、わかりやすいほどに

顔が真っ赤になって、


「まあまあ、落ち着け。

 『魔術師マジクール』に『格闘家ルクタートル』。


 なあ坊や、俺たちは今対抗戦って

 いうのをやっているんだ。


 巻き込まれてケガしないうちに、

 とっととここから出て行きな」


恐らく『闘士テルム』の代表であろう男が、

子供を諭すように話しかけてくるが、


「……?


 だってただ、うるさいだけの

 遊びでしょう?


 それでどうやってケガをするんですか?」


俺の言葉に、こみかめにピキッ!

と怒りの効果音が聞こえると錯覚する

くらい、彼は顔に青筋あおすじを立てて、


「あのさぁ~?」


「いい加減にしないと子供でも、

 お姉ちゃんお兄ちゃん、

 限界が来ちゃうわよぉ?」


「しかしまあ、度胸のあるガキだ。


 オイ、お前のスキルは何だ?

 それ次第じゃ後で、『格闘家』に

 入れてやってもいいぜ」


最後、『格闘家』の代表らしき筋骨隆々きんこつりゅうりゅう

男が俺に興味を持ったのか、質問して来て、


「スキル、ですか?


 あいにくと僕は召喚者でして。

 その時何も選ばなかったんですよ。


 で、召喚した国は『無能ノースキル』って

 言ってましたけど」


すると代表格の3人はきょとんとした後、

お互いに顔を見合わせて、


そして数秒の後―――


「ぎゃははははは!!」


「『無能』って……!

 怖いわー、何も知らないってホント

 怖いわー!!」


「おいガキ!

 これだけ笑わせてくれたお礼だ、

 今すぐどっか行け!


 見逃してやるくらいはしてやるからよ」


周囲では、代表格だけではなく、

派閥の選抜メンバーたちも笑っていて、


そして遠く、王から少し離れたところで、

熊谷くまがやさんに白波瀬しらはせさん、

武田さんにスフィアさんが、恐らく

別の意味で苦笑していた。


「ふーん、じゃあ―――


 ちょっと遊んでくれる?

 お姉ちゃん、お兄ちゃん♪」


俺も満面の笑顔を作ると、彼らに向かって

突進して行った。




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