「それじゃ、出発しますか」
「はいっ!
じゃあみんな、またお願いするわね」
俺の言葉に、スフィアさんがテイムしている
魔物たちに号令をかける。
グレメン国での『面倒ごと』―――
『
三派閥の揉め事を解決した俺たちは、
それと引き換えに、国王に召喚者や
非戦闘系スキルへの差別待遇の改善などを
約束してもらって、
アスタイル王国へと引き返していた。
「でもまいったわね、
俺のもう一方の隣り……
スフィアさんとで挟むように、眼鏡の女性が
『
近付いて来て、
「あれですか―――
まさか僕もあんな事になるなんて」
武田さんが言っているのは、実はあの後、
どうしても納得出来ない三派閥の
リーダーたちが来たので、
どうして自分たちは負けたのか、本当に
魔法やスキルは使っていなかったのか
問われ……
一通り終わった後、
『師匠!!』
『雨霧様ぁ♪』
『一生ついていきます!!』
と反応が
「そりゃあねえ。
あんな事を言われたら」
「プライドというか、心をくすぐるのが
本当に上手いわよね」
先頭で護衛している、
俺と同じ『
『
言葉と同時に振り返る。
「人聞きの悪い……
まあ恨みを残さないよう、ああ言いは
しましたけど」
彼らにスキル・魔力無しの技術を教えるに
あたって俺は、
『いがみ合っているとはいえ、あなた方の
愛国心が高いのはわかります。
しかし、常に万全の状態で魔法やスキルが
使えるわけではないでしょう。
国の危機に―――
魔法を封じられたり、もしくは魔力が
尽きた時、あなた方は両手を挙げてただ
降参するのですか?
魔法もスキルも無くなった時にこそ、
あなた方自身の真価が問われるのでは
ないでしょうか?』
それを聞いた彼らはハッとした表情となり、
『闘士』リーダーは両目を閉じて
『魔術師』リーダーはなぜか顔を赤らめ、
『格闘家』リーダーは
ように、大声で叫び……
それからは、俺の教える技術をどん欲に
学び始めたのである。
「まあ、あそこの三派閥がこちらに同調して
くれれば、改革も進むでしょう」
「シュロランド教国への書状も、国王から
頂けましたし―――
とにかくまずは、アスタイル王国へと
戻りましょう」
武田さん、スフィアさんに俺は挟まれ
ながら、帰りの道を進んでいった。