目次
ブックマーク
応援する
3
コメント
シェア
通報

第99話・シュロランド教国04


「ぐっ!?」


「ごっ!!」


「が……っ!?」


恐らく反乱用に備えていたであろう連中が、

俺の前に立ちはだかるが、


ただその横をすり抜けたり、回り込んだり

するだけで―――

同士討ちや混乱を誘発ゆうはつさせる。


と、そこで俺の背中に何か衝撃が走り、


「当たった!!」


「……そのようで」


そう言って振り返ると、


「なっ何で平気なんだよ!?

 確かに俺の『火球ファイヤーボール』を食らった

 はずなのに!!


 お前、『無能ノースキル』のはずじゃ」


「まあ1回は1回って事で」


そのまま彼のみぞおち、そのさらに下―――

いわゆる急所を狙って膝を打ち込むと、


「ごぷ……っ」


泡を吹いて彼は倒れ込む。

そんな仲間を見て、襲い掛かってきた連中は

ひるむ様子を見せる。


「ま、待て!」


「お前、何らかのスキル持ちだろう!?

 これは手違いだ!」


「今すぐ訂正して手続きを

 進めるから―――」


そう彼らは自分たちにとって、『正常』な

状態へと戻そうとするが、


「……はぁ?


 あなた方が僕たちを勝手に連行し、

 そして殺し合いを強要したんでしょうが。


 あなた方が始めたゲームでしょ?

 途中で降りるなんて、認めるわけ

 ありませんよ」


そう言うと彼らは『理解出来ない』という

表情になり、


「ゲームって―――」


「じゃあどこまでやるつもりなんだ?」


その疑問に対し俺は、


「もちろん、最後まで♪


 だから言ったでしょ、皆殺しだって。

 殺し合いをさせようとしたんだから、

 自分たちだって同様のリスクを背負えって

 言っているだけですよ?


 僕、何かヘンな事言ってますか?」


俺がにこやかにそう言うと、


「く、狂ってやがる……!」


「そんなに殺し合いがしたいのかよ!!」


そう抗議じみた言葉が返ってくるが、


「今まで殺し合いを命じられた人たちも、

 そう思っていたんじゃないですかね?


 わかりましたか?

 それじゃあ再開しましょう♪」


俺の言葉に再び彼らは構えを取るが、


雨霧あまぎり君!!」


「ったく、どうせこんな事だろうと―――」


そこへ、白波瀬しらはせさんと熊谷くまがやさんが

駆けつけて来て、


「あ、どうしたんですか2人とも?」


俺がとぼけてそうたずねると、


「あんのクソ教皇に言われたのよ。


 こちらの要望を切り出す前に……

 供の者は運が良ければまた会えるで

 あろうって」


「どういう事かと聞いたらこういう事だよ。


 とにかく、今は怒りを静めてくれないか」


「んー、別に僕は怒っているわけではなく、

 彼らの指定したルール通りに動いてる

 だけなんですけど。


 黙って殺されろ、何て言っていませんし」


俺の返しに2人は疲れた表情になり、


「とにかくいったん待ってね?

 殺し合いは中止」


びを入れさせるなら、こんな事を

 認めた教皇にしてくれ」


そこで取り敢えず白波瀬さん、熊谷さんの

要望を受け入れ、


俺は戦闘態勢を解除した。




この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?