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第103話・裁き03


「やー、うまくいきましたね!」


「先に敵さんが自爆してくれて―――

 助かりました。


 しかし打ち合わせもしないで、僕に

 合わせてくれてありがとうございます」


いったん、白波瀬しらはせさんと熊谷くまがやさんに

割り当てられた部屋でみんな集まり、

今回の事を振り返る。


俺と武田さんがハイタッチすると、

スフィアさんが目を丸くして、


「え? あれ演技だったんですか!?」


「いやあ、8割くらいは本気でしたけど」


俺がそう返すと同じ召喚者の男女が、


「いや、それはそれでどうなんだ」


「2割しか止める気が無かったのね……

 危なっ」


そう呆れるように感想を語られる。


「でもどうかしらね?

 これで大人しくなるかしら?」


武田さんが不安そうに首を傾げると、


「教皇を文字通り、彼らの目の前で

 踏みにじりましたからね。


 戦闘系スキルに畏怖いふや敬意を

 持っているのであれば―――

 逆らうような真似はしないでしょう。


 しばらくはれ物を扱うように、

 待遇改善に専念すると思いますよ」


俺の説明に、みんなは納得したかのように

うなずく。


「でもこれで……

 シーライド王国、グレメン国、

 シュロランド教国と―――

 この世界の主な国は回った事になります。


 後はいったん、様子見になるでしょうか」


武田さんが背伸びをしながらそう言うと、


「そうですね」


「やるべき事はやった……

 って感じかしら」


「あとはアスタイル王国に戻って、

 どうなるか見極めるって感じ

 ですかね」


他の召喚者たちとスフィアさんが、

『一仕事終えた』ような感じで―――

全員がいい感じに脱力する。


アスタイル王国に戻ったら、例の

『ゴミ捨て場』で……

自分も料理の1つも覚えるか、なんて

考えていると、


急に廊下側がバタバタと騒がしくなり、

その気配にみんなが身構えると、

ドンドン! と荒々しくノックの

音がして、


「アスタイル王国の使者はこちらですか!?


 本国より、至急お報せしたい事が―――」


俺がその言葉に応じて扉を開けると、

転がるように1人の青年が入って来て、


「どうかしたんですか?」


「は、はい!!

 アスタイル王国にて……


 アンク王女様とグリーク宰相が

 お亡くなりに―――」


その言葉に、室内にいた全員が顔を

見合わせた。




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