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第106話・三派閥の訪問


そこにいたのは……

闘士テルム』・『魔術師マジクール』・『格闘家ルクタートル』の

リーダーたちで、


「師匠! お待ちしておりました!」


「それにしても雨霧あまぎり様……

 この者はいったい?


 話も通じませんし、突然やって来て

 ワタシも含めて女を寄越せだの、

 人質を差し出せだのと」


「『封印ロック・アウェイ』―――

 相手のスキルを封じる能力を持っていた

 ようだが、


 俺たちにゃ通用しませんでしたぜ!

 これも、師匠の教えのおかげだ!!」


島村を指差しながら彼らは語る。


そしてそこまで説明されて、ようやく俺も

この状況を理解した。


多分島村は、アンク王女・グリーク宰相を

暗殺した後……

俺を探しにか、それとも俺がこの国に

いなかった事への腹いせのためか、

この『ゴミ捨て場』の街を目指したの

だろう。


そこへ、なぜか来ていたグレメン国の

三派閥の人たちと鉢合はちあわせ、


『封印』スキルを使って暴れ始めようと

したのだろうが―――

彼らは俺がスキル無しでの戦い方を

レクチャーした人物。


それで多分、あっという間に取り押さえ

られたのか。


「と、とにかく中で話しましょう。

 僕たちも到着したばかりですので」


「「「ハイッ!!」」」


そこで俺たちと三派閥のリーダーは、

改めて街の中へと入っていった。




「こ、このかつ丼というのはなかなか」


「召喚者たちが作る料理は、グレメン国でも

 美味なるものが多いですが……

 ここは格別ですね。

 このフルーツサンドもイケるぅ♪」


「特にこのネギチャーシューメンは

 絶品だ!

 絶対グレメン国でも流行らせるぜ!!」


『闘士』リーダーのブレーメンさんと、

『魔術師』リーダーのイノンさん、

そして『格闘家』のニバダさんが、


食堂でそれぞれ料理を頬張りながら、

みんなと顔を会わせていた。


「島村を捕まえてくれた事、礼を言います。

 ありがとうございました」


俺がそう言って頭を下げると、


「よ、よしてください!」


「まさに雨霧様の教えが生きた、

 いい機会でしたわ」


「それに―――

 スキルに溺れ慢心まんしんしたあいつの姿……


 少し前の自分たちを見ているようで、

 恥じ入るばかりですぜ」


3人ともずいぶん変わったなあ、

と思いつつ、


「しかし、今までどこへ行っておられ

 たんですか?」


「あ、ちょっと前まで―――

 シュロランド教国へ」


そこで俺たちは彼らと情報共有を

行う事になった。




「なるほど……

 低スキル持ち同士を殺し合わせるとは」


「あそこは宗教国でしたからね。

 行き着くところまで行ったという

 感じですか」


「思い返せばグレメン国も酷ぇと思い

 ますが―――

 上には上がいるもんだ……」


3人とも複雑そうな表情で、教国への

感想を語る。


「ところで、あなた方はどうして

 こちらへ?」


武田さんが彼らに話を振ると、


「国王に命じられまして」


「我が国を訪問された返礼として―――

 という事ですが」


「実際はまあ、師匠の言う

 非戦闘系スキルへの差別解消と、

 待遇改善……


 これがどれだけ進んでいるのか、

 確かめて来い、って事だろうと

 思いますぜ」


なるほど。

それで俺に関わりの深い、彼らを

派遣する事になったのか。


そこで俺たちは包み隠さず今の状況や、

各国の対応を話し始めた。





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